期日 | 日本関係 | 期日 | 露関係 | 期日 | 英米関連 | 期日 | その他 |
9月18日 | 英独新聞と満州 | 9月1日 | 露国政府不安 | 9月2日 | 阿片専売料 | 9月1日 | 佛国の秦皇島占領 |
9月20日 | 又も邦人排斥 | 9月2日 | 叛乱兵処刑 | 9月5日 | 特恵関税と独逸 | 9月2日 | 憲政問題の現在及び将来 |
9月21日 | 日露両国人闘争 | 9月7日 | 恩威併行策 | 9月7日 | 英独関係論 | 9月18日 | 独逸植民政策 |
9月8日 | 革命と経済 | 9月8日 | 玖馬講和失敗 | 9月22日 | 阿片禁止上諭 | ||
9月9日 | 土地回収談判 | 9月11日 | 清国税関問題 | ||||
9月11日 | 露国平和の傾向 | 9月14日 | 玖馬叛乱後報 | ||||
9月12日 | 流血36時 | 9月15日 | 波斯に於ける英露の権勢 | ||||
9月13日 | 国有地払下の詔勅 | 9月16日 | 玖馬乱状 | ||||
9月13日 | 波蘭制圧 | 9月16日 | 玖馬叛乱後報 | ||||
9月13日 | 北満州撤兵問題 | 9月18日 | 米国干渉予防 | ||||
9月19日 | 英国陸相演説 | ||||||
9月26日 | 南阿送還清国人 | ||||||
9月27日 | 米国干渉の機会 | ||||||
9月28日 | 米国干渉 | ||||||
9月29日 | 最後通牒 |
明治39年9月1日
露国政府不安 政府部内には、非常に不安な雰囲気がある。
佛国の秦皇島占領 昨日30日の佛字新聞の報道によれば、佛国が秦皇島に於ける広大な土地に、佛国の印がある棒杭を打ちこんだ
露国政府不安 31日ロンドン特約通信員発
ペテルスブルグ来電―政府部内には、非常に不安な雰囲気がある。この上強硬な手段を取るならば、唯現在の無政府状態を益々激しくするだけであるとの考えが漸く盛んになろうとしている。汽車は、護衛兵を乗せて運行している。
佛国の秦皇島占領 31日上海特派員発
昨日30日の佛字新聞の報道によれば、佛国が秦皇島に於ける広大な土地に、佛国の印がある棒杭を打ちこんだが、これは占領の意図がある事を示すものであり、佛国公使が、本国政府の命により、占領を命じたと思われる。
この報道は、一時世間を騒がせたが、本国から何らの確報が無いのみならず、秦皇島は、元来外国との関係に面倒なものがある為、佛国は、理由なくしてこの地を占領する様な事は決してなく、多分何らかの間違いではないかと一般に信じられている。
解説:秦皇島は、北京の東方270kmにある渤海湾に面した港町
9月2日
叛乱兵処刑 フィンランドに於ける反乱に関する軍法会議が終結して、それぞれ宣告が行われた。
憲政問題の現在及び将来 立憲政治を実行する件に関して、袁世凱、端方、タイ鶴慈氏らは、最も熱心な主導者であり
阿片専売料 1カ月12万1千ドルの上納金で阿片の専売を許した。
叛乱兵処刑 1日上海経由ロイター社発
フィンランドに於ける反乱に関する軍法会議が終結して、それぞれ宣告が行われた。兵卒19名と官吏3名は銃殺され、その他5百59名の兵卒は、その罪状により、或いは監禁、或いは死刑を言い渡され、刑は午後、それぞれ執行された。
憲政問題の現在及び将来 1日北京特派員発
立憲政治を実行する上諭は、今明日中に発布されるのではとの説が支那人間で伝えられている。この件に関して、袁世凱(えんせいがい)、端方(たんぽう)、タイ鶴慈(たいこうじ)氏らは、最も熱心な主導者であり、この様に重要な事が速やかに決定したのは、一般の傾向が立憲政治説に傾いており、慶親王、クワン親王を始め、賛成派の諸大臣の意気込みが盛んであるとはいえ、主としてこの3人の力によると云うのも過言ではない。王文龍、榮慶、鐡良らに異議があったと言っても袁、端らの勢力に圧倒されて、現在泣き寝入りの状態であると言われている。
阿片専売料 1日上海特派員発
香港政庁は、1カ月12万1千ドルの上納金で阿片の専売を許した。3年前には、18万5千ドルを払っていたのである。
解説:1842年阿片戦争の結果、イギリスの植民地インドで栽培された阿片を清国に輸出し、イギリスは大量の銀を獲得できるようになった。
9月3日
伯西の珈琲保護 ブラジル政府は、関税の一割増率案を議会に提出した。
伯西の珈琲保護 1日ベルリン特約通信員発
ブラジル政府は、関税の一割増率案を議会に提出した。但しブラジルのコーヒーを毎年4百袋以上輸入し、これに関税を賦課していない国から輸入する商品に対しては、関税を2割軽減し、又毎年、ブラジルのコーヒーを最低3百袋づつ輸入する国から輸入する商品に対しては、同じく1割軽減するべき規定である。
9月4日
特恵関税政策 カナダ政府は、豪州連邦政府に対して、関税特恵政策を提案
露国機関紙再刊計画 露国の機関新聞は、大規模に再刊する為に、現在記者を募集中
特恵関税政策 2日ロンドン特約通信員発
オタワ来電―カナダ政府は、豪州連邦政府に対して、両国の間に、関税特恵政策を行う事を提案する様である。
露国機関紙再刊計画 3日北京特派員発
露国の機関新聞は、甚だ振るわないため、先般廃刊したが、その後又もや機関紙の必要を認め、大規模に再刊する為に、現在記者を募集中である。
9月5日
特恵関税と独逸 若し豪州連邦政府が提議する特恵主義の関税政策が実施されたならば、独逸は報復手段をとるであろうとの警告を受けた。
独逸水兵上陸問題 チリー政府は、独逸とチリー両国間の問題にはならないと認めている
特恵関税と独逸 4日ロンドン特約通信員発
シドニー来電―当地の英国商人は、若し豪州連邦政府が提議する特恵主義の関税政策が実施されたならば、独逸は報復手段をとるであろうとの警告を受けた。しかし連邦政府は、その提議を撤回する事は無いであろうと信じられている。
独逸水兵上陸問題 4日ベルリン特約通信社発
ヴェルパライソに於けるドイツ人の財産を保護する為に、独逸巡洋艦フォルケは、水兵を上陸させたが、この件については、様々な誤報が伝えられている。しかし今やチリー在留の佛国アゾス通信員も、チリー政府は、この水兵の上陸によって、独逸とチリー両国間の問題にはならないと認めていると通信した。
9月6日
官吏虐殺の計画 徒党を組んで官吏を皆殺しにする計画が軍隊の内部で発覚して
官吏虐殺の計画 5日上海経由ロイター社発
オデッサ来電―徒党を組んで官吏を皆殺しにし、革命党員と結託しようとする計画が軍隊の内部で発覚して、将校14名が捕縛された。
9月7日
英独関係論 「独逸評論」誌は、英独両帝の会見は、両国の親善の端緒を開くものであると論断している。
ロンドンタイムス紙は、英国の独逸に対する関係は、仏国に対する関係の様に親密になり得ない事情があると断言した。
恩威併行策 露国政府は、官報で革命的行動に対し、従来よりも一層厳重な制裁手段を取る方針であると告示し、同時に思い切って諸般の改革を実行するするであろう旨を約束した。
英独関係論 6日上海経由ロイター社発
「独逸評論」誌は、その社説で英独の関係を論評し、英独両帝は、この度の会見に於いて、非常に打解け、一般の国際関係を論じられた旨を報道し、且つこの会見は、両国の親善の端緒を開くものであると論断している。
ロンドンタイムス紙は、独逸評論の論評を論評して、英国は必ずしも独逸と争わなければならない理由が無いが、しかし現在の状況では、英国の独逸に対する関係は、仏国に対する関係の様に親密になり得ない事情があると断言した。
恩威併行策 同上
露国政府は、官報で今後の施政方針を発表した。冒頭で政府は、革命的行動に対し、従来よりも一層厳重な制裁手段を取る方針であると告示し、同時にユダヤ人に対する無益な制限を廃止し、ペルシャ及びバルト海沿岸諸州に地方議会の制度を許可すること並びに警察、その他の国務を改善する等思い切って諸般の改革を実行するするであろう旨を約束した。
8月8日
玖馬講和失敗 キュウバ政府の叛徒と講和会議を開こうとする計画は失敗に終わった。
革命と経済 露国の新聞は、地方諸官庁の金庫は空となっていると述べている。
玖馬講和失敗 7日上海経由ロイター社発
キュウバ政府の叛徒と講和会議を開こうとする計画は失敗に終わった。そして今後の成り行きは、思わしくない状況である。
解説:反乱について8月27日に関連記事がある。
革命と経済 同上
露国の新聞は、各地方経済の暗澹たる状態を描写して、農民及び大小の地主は、納税する事ができず、若しくは納税を望まず、地方諸官庁の金庫は空となっていると述べている。
9月9日
米国東洋貿易の減少 米国人は、東洋に対する貿易に於いて、米国の輸出量が減少している事を憂慮して、
土地回収談判 強硬な談判を行わせた所、相当な利権を与えるならば要求に応じてもよいとの事であった。
米国東洋貿易の減少 8日ロンドン特約通信員発
ニューヨーク来電―米国人は、東洋に対する貿易に於いて、米国の輸出量が減少している事を憂慮して、諸新聞は、政府に対してより一層、配慮ある政策を取る様に提言している。
土地回収談判 8日北京特派員発
黒竜江将軍から外務部への電報によれば、露人の為に占領された麥河(ばくが)近傍の土地は、しばしば還付を要求したが応じない為、更に劉道臺(りゅうどうたい)を派遣し、強硬な談判を行わせた所、相当な利権を与えるならば要求に応じてもよいとの事であった。現在露国委員ダニールと会って、ある利権と交換する条約草案を調整中である。
9月10日
露西亜の政情 社会革命党員は、高官の暗殺を目的とする強硬手段を引き続き決行する事を決議した。
清国税関問題 先頃朝廷が発表した税関改革の上諭が総税務司の権威及び今後の外国貿易に危害を及ぼす
露西亜の政情 8日上海経由ロイター社発
ペテルスブルグ来電―政府が施政方針を発表した後、社会革命党員は集会を催して、高官の暗殺を目的とする強硬手段を引き続き決行する事を決議した。
清国税関問題 同上
英国支那協会は、先頃朝廷が発表した税関改革の上諭が総税務司の権威及び今後の外国貿易に危害を及ぼす理由を指摘して、他の条約国と協同し、この上諭が発表される以前の状態に復帰させる事を主張する為英国政府に勧告した覚書を外相サー、グレーに提示した。
9月11日
露国平和の傾向 農民は、依然として静穏である。これは、地主が騒乱に驚き、殆どただ同様の値段で土地を売却しつつある事による。
清国税関問題 上海地方に投下した巨額の資本は、税関制度の変革により、死活的な危機に陥るであろう。
露国平和の傾向 10日ロンドン特約通信員発
露都来電―農民は、依然として静穏である。これは、地主が騒乱に驚き、殆どただ同様の値段で土地を売却しつつある事による。
久しく閉校中であった大学校を始め、諸学校が皆開校した。もし政府が、引き続き温和な措置を執るならば、或いは平和な状態に復帰するかもしれない。
清国税関問題 10日上海経由ロイター社発
ロンドンタイムス紙は、支那協会が外相サー、グレーに提示した覚書を次の様に論評した。
清国政府が先頃の急激な変革を以て、単に税関制度に関するものとし、将来の生産事業に何らの影響も無いと断ずる事は実に不都合である。英国が清国、特に上海地方に投下した巨額の資本は、税関制度の変革により、死活的な危機に陥るであろう。従って我が英国は、先般の上諭を取り消すか、或いはこれに代わるべき上諭の発布を要求すべき絶対的権利を有すると論断した。
9月12日
流血36時 ポーランドのシードルツエ市が大いに乱れ、虐殺、略奪が36時間に亘り行われ、死者百名、負傷者3百名であった。
波蘭官僚頑強 総督は、革命党の党首等が降伏しないのであれば、市街を砲撃するであろうと答えた。
流血36時 11日上海経由ロイター社発
ポーランドのシードルツエ市(ワルシャワの東南マイル)が大いに乱れ、虐殺、略奪が36時間に亘り行われ、死者百名、負傷者3百名であった。ユダヤ人居住区域は、略奪の難に遭い、抵抗した者は射殺された。キリスト教徒は、戸口に十字架を掛け、辛くも略奪を免れた。逮捕されたものは1千名で、大部分はユダヤ人で、無慈悲に殴られた。
波蘭官僚頑強 同上
ポーランドのシードルチェの市民総代は、総督に対して、群来の発砲を禁止する事を要請したが、総督は、革命党の党首等が降伏しないのであれば、市街を砲撃するであろうと答えた。
9月13日
国有地払下の詔勅 露帝は、国有地千百万エーカを農民に払い下げる詔勅に署名された。
波蘭制圧 暴民を捕縛の為、軍隊は、ワルシャワに於いて2百の民家に対して家宅捜索を行い、捕縛された者は千名に及んだ。
北満州撤兵問題 良く知られている様な国内の情勢であるので、帰還兵中、反乱を企てる者が無いとは限らないので、従って撤兵は、徐々に成らざるを得ない。
国有地払下の詔勅 12日上海経由ロイター社発
露帝は、国有地千百万エーカを農民に払い下げる詔勅に署名された。
波蘭制圧 同上
暴民を捕縛の為、軍隊は、ワルシャワに於いて2百の民家に対して家宅捜索を行い、捕縛された者は千名に及んだ。
もし暴民で警察官及び兵士の殺害を中止しなければ、シードルチェに於けると同様の虐殺を免れないと思われる。
北満州撤兵問題 12日北京特派員発
北満州の撤兵問題に関して、露国側に於いては、今日、満州の駐屯軍は、一日も早く撤退し、軍政も速やかに撤廃する事を欲していない訳ではない。しかし良く知られている様な国内の情勢であるので、帰還兵中、反乱を企てる者が無いとは限らないので、従って撤兵は、徐々に成らざるを得ない。その為明年4月の撤兵時期までに、北満州の占領を徹する事は不可能であると弁解している。
9月14日
清国利権問題 清国は外国の投資家を排斥し、且つ既に外国に譲渡された利権を破棄しつつある
玖馬の叛乱と米国 米国の陸海軍省は、キュウバの反乱に関連して、非常に多忙を極めつつある。
玖馬叛乱後報 キュウバ政府は、官兵が反乱を制圧した後、革命党に対して強硬な手段を執り、
清国利権問題(英国政府の抗議) 12日ワシントン特約通信員発
米国政府が入手した情報によれば、清国は外国の投資家を排斥し、且つ既に外国に譲渡された利権を破棄しつつあると言われている。この為に最も多く影響を被るものは英国であり、同国政府は清国に向かって抗議を提出した。
玖馬の叛乱と米国 12日上海経由ロイター社発
米国の陸海軍省は、キュウバの反乱に関連して、非常に多忙を極めつつある。尤も米国政府は、全く干渉の意思はないと称している。
解説:9月8日に関連記事がある
玖馬叛乱後報 12日ベルリン特約通信社発
キュウバ政府は、官兵が反乱を制圧した後、革命党に対して強硬な手段を執り、三州に戒厳令を施行した。今後は、従来の様に寛大な待遇を叛徒に与えない旨公言している。
9月15日
波斯に於ける英露の権勢 今や英国の権勢が隆々であるのに対して、露国の勢力は、全く地に落ちた
清国海関問題 遠からずして再び、今回と同様に、重大な条約違反が行われるのを見ることになる
米兵玖馬に入る 百名の米国水兵がハバナに上陸し、大統領官邸前に陣取った。叛乱が発生し、ハバナを攻撃する事を恐れた為である。
波斯に於ける英露の権勢 14日ロンドン特約通信員発
露都来電―ペルシャの近況に対して、注意深い新聞記者は、今や英国の権勢が隆々であるのに対して、ペルシャに於ける露国の勢力は、内政が紛糾している為、全く地に落ちたと論断した。ノウオエやウレミヤ紙もペルシャは、英国の保護国となりつつあると認めている。
清国海関問題 14日上海経由ロイター社発
タイムス紙は、総税務司ハート氏の地位に関する清国の証言は不十分であるとして、若し英国がこれらの証言を現在考えることのできる最良の解決方法と見なし、これを受け入れる事があるならば、遠からずして再び、今回と同様に、重大な条約違反が行われるのを見ることになるであろうと痛論した。
解説:9月10日清国税関問題、9月14日清国利権問題の記事がある。
米兵玖馬に入る 同上
百名の米国水兵がハバナに上陸し、大統領官邸前に陣取った。叛乱が発生し、ハバナを攻撃する事を恐れた為である。
解説:8月24日玖馬の叛乱の記事があり、以後反乱が続いている様である。
9月16日
玖馬乱状 キュウバ大統領パルマ氏は、叛徒が市街を攻撃した場合でも、自らはどうする事も出来ない
玖馬叛乱後報 キュウバの叛徒の首領ゲラ将軍は、現在ハバナに向かって進軍中である。
玖馬乱状 15日ワシントン特約通信員発
米国軍艦の水兵は、米国の利益を保護する為、ハバナに上陸した。キュウバ大統領パルマ氏は、叛徒が市街を攻撃した場合でも、自らはどうする事も出来ないと述べている。
叛徒は、米国兵に降参する事になるであろう。
玖馬叛乱後報 14日ベルリン特約通信社発
キュウバの叛徒の首領ゲラ将軍は、一旦敗北の後、更に勢力を回復し、現在ハバナに向かって進軍中である。その為同港の人心は戦々恐々としている。叛徒は、米国政府が干渉を始める前に、その希望を貫徹するように努めている。
5月17日
干渉警告 大統領は、キュウバ大統領に対して、速やかに反乱を鎮圧しないならば、米国は干渉するであろうと警告した。
無政府党警戒 植民地博覧会に臨場の際に於ける大統領乗用の馬車は、爆弾に耐え得る様に外部を鋼鉄で張り詰めてある。
玖馬叛乱続報 キュウバに於いては、大統領パルマ氏が合衆国に訴えて、その干渉を求めたとの風説がある。
干渉警告 15日ワシントン特約通信員発
大統領ルーズベルト氏は、キュウバ大統領に対して、若し速やかに反乱を鎮圧しないならば、米国は止むを得ず干渉するであろうと警告した。
12隻の米国軍艦が、現在キュウバの沖合を遊弋中である。
無政府党警戒(鋼鉄張の馬車) 15日上海経由ロイター社発
佛国大統領ファリエール氏は、マルセイユに赴いたが、無政府党の脅迫に対する警戒は、非常に厳重であり、植民地博覧会に臨場の際に於ける大統領乗用の馬車は、爆弾に耐え得る様に外部を鋼鉄で張り詰めてある。
玖馬叛乱続報 15日ベルリン特約通信社発
キュウバに於いては、大統領パルマ氏が合衆国に訴えて、その干渉を求めたとの風説がある。氏がこの要求の根拠としたのは、叛徒が米国市民の財産を破壊する恐れがある事である。
米国陸軍卿タフト氏は、現場に向かっている。
9月18日
英独新聞と満州 ローカル、アンツアイゲル紙の通信員は、満州の状況を視察して、日本が他国を阻害して、独りで有利な地位を占めている事を非難した。
独逸植民政策 独逸政府は、南阿ダマラランドに於ける臨時事件費として、来る11月に更に5百万マルクを帝国議会に要求するであろうとの風説がある。
米国干渉予防 キュウバ政府は、叛徒の首領と協議をした上で、交戦を無期限で停止する旨の布告をした。
英独新聞と満州 17日ロンドン特約通信員発
ベルリン来電―ローカル、アンツアイゲル紙の通信員は、満州の状況を視察して、日本が他国を阻害して、独りで有利な地位を占めている事を非難した。
しかし英国の新聞デイリー、テレグラフ紙は、軍政及び下級官吏の失策により、満州に於いて時々問題が発生する事はあるが、外国人が訴える苦情の大半は、誇張か、或いは無根であると述べている。
独逸植民政策 17日上海経由ロイター社発
独逸政府は、南阿ダマラランドに於ける臨時事件費として、来る11月に更に5百万マルクを帝国議会に要求するであろうとの風説がある。しかし植民地の行政事務に関する国民の不満は非常に激しく、帝国議会が果たして、前記の様な巨額な経費に賛成するかどうかは非常に疑わしい状況である。
解説:ダマラランドは、現在のナンビアにある。ナンビアは、1884年南西アフリカとして、ドイツの保護国となっている。
米国干渉予防 同上
キュウバ政府は、叛徒の首領と協議をした上で、米国国務卿代理のタフト氏が到着する以前に平和を回復する為、交戦を無期限で停止する旨の布告をした。そうでなければ米国の干渉を受けざるを得なくなるであろう。
9月19日
佛国大統領歓迎 佛国大統領は、歓迎会の席上に於いて、英仏の親交を祝賀した。
英国陸相演説 独逸がドイツ領南西アフリカから7千の兵を引き揚げたのは、親英の目的によるものである
佛国大統領歓迎 17日ベルリン特約通信社発
佛国大統領は、マルセイユに到着した。歓迎会の席上に於いて、大統領は英仏の親交を祝賀した。道歓迎会には、英国地中海艦隊司令官以下、将校も出席した。
英国陸相演説 同上
英国陸相ハルデーン氏は、次の演説を行った。
独逸がドイツ領南西アフリカから7千の兵を引き揚げたのは、親英の目的によるものであると言い、同時に海軍縮小に反対の意を漏らした。
明治39年9月20日
又も邦人排斥 英領商工業者大会は、政府に対して、印度人と日本人の移住を制限するよう要求する決議案を採択した。
玖馬叛乱現状 大統領の幕僚は、米国国務卿代理タフト氏及び同次官ベーコン氏の到着以前に、叛徒と妥協する為に必死に努力中のようである。
独逸製造業者の苦情 米国大統領に面会し、同国の税関吏の狡猾な手段について訴え
又も邦人排斥 19日ロンドン特約通信員発
オタワ来電―ビクトリアで開かれた英領商工業者大会は、政府に対して、印度人と日本人の移住を制限するよう要求する決議案を採択した。しかし日本人は、カナダ人が日本に於いて居住できると同じく、カナダに居住すべき十分な権利有する為、政府はこの様な決議得御認める事にはならないであろう。
玖馬叛乱現状 19日上海経由ロイター社発
その後キュウバから格別新しい情報は無いが、大統領の幕僚は、米国国務卿代理タフト氏及び同次官ベーコン氏の到着以前に、叛徒と妥協する為に必死に努力中のようである。しかし叛徒の首領は、未だ政府の提案の同意していない。
独逸製造業者の苦情 18日ベルリン特約通信社発
独逸製造業者の代表者は、米国大統領に面会し、同国の税関吏の狡猾な手段について訴え、大統領は、その実否を大蔵省に照会した。
9月21日
日露両国人闘争 カムチャッカに於いて、露国蒸気船乗組員と日本人漁夫との間に闘争が起こり、
官制改革行悩 その後反対派の運動が盛んとなり、中立派も今や反対の位置に立ち、形勢が一変した。
日露両国人闘争 19日ベルリン特約通信社発
英国新聞の報道によれば、カムチャッカに於いて、露国蒸気船乗組員と日本人漁夫との間に闘争が起こり、日本人12名と露国人19名が即死したと言われている。
官制改革行悩 20日北京特派員発
中央官制改革中、既に審議終了された分は、去る16日、上奏されたが、その後反対派の運動が盛んとなり、中立派も今や反対の位置に立ち、形勢が一変した。
官制編纂大臣を任命する上諭の中に、各総督からその部下の大官を派遣し、賛同参加させなければならないとの規定があり、総督はこの規定を盾にしている。要するに形勢は、今尚動揺している。
9月22日(日)
平和談判開始 米国国務卿代理タフト氏は、ハバナに到着し、大統領パルマ氏と協議を開始した。
阿片禁止上諭 阿片の禁止が緩んで以来、その流毒が全国に波及し、国家自民を非常に害している。
平和談判開始 20日ベルリン特約通信社発
米国国務卿代理タフト氏は、ハバナに到着し、大統領パルマ氏と協議を開始した。自由党の議院5名は、叛徒の代表者として、これに参加する。
解説:9月20日に関連記事がある。
阿片禁止上諭 20日北京特派員発
阿片の禁止が緩んで以来、その流毒が全国に波及し、国家自民を非常に害している。中国が貧弱である原因の第一は、これに起因している。現在、朝廷が富強を図ろうとするならば、国民を戒めて、その流通を止めさせなければならない。従って10年以内に、アヘンの吸引を止めさせなければならない。政務處は、その禁止の方法並びに芥子の栽培を禁止する方法について、詳細な規定を検討し、上奏せよとの上諭が出された。
9月23日(月)
豪州関税と独逸 独逸総領事は、正式に新関税に抗議し、不本意であるが独逸は、これに対して報復手段を取るであろうと警告した。
露国宮廷陰謀露見 露帝がトレボフの葬儀に出席しなかった理由は、トレボフが死去した際、根深い革命の陰謀が露見した為である
豪州関税と独逸 22日ロンドン特約通信員発
シドニー来電―独逸総領事は、正式に新関税に抗議し、不本意であるが独逸は、これに対して報復手段を取るであろうと警告した。
露国宮廷陰謀露見 22日上海経由ロイター社発
露帝がトレボフの葬儀に出席しなかった理由は、トレボフが死去した際、根深い革命の陰謀が露見した為である事が、今明らかになった。この件に関して、非常に多くの人々が逮捕され、その中には宮中に奉仕する者も居た。
9月24日(火)
米国干渉の機会 米国政府は、いつ何時、干渉を始めるかもしれないとの噂が、ワシントンで日を追って強くなっている。
飢餓と暴民 21日までの約1週間続いた降雨により、開花しようとしていた稲が水没してしまい、民心が不穏となった。
米国干渉の機会 22日上海経由ロイター社発
キュウバ政府と叛徒との意見の相違は、到底融和する事が出来ないので、米国政府は、いつ何時、干渉を始めるかもしれないとの噂が、ワシントンで日を追って強くなっている。
飢餓と暴民 23日上海特派員発
浙江省杭州一帯の土地は、地勢が低く、21日までの約1週間続いた降雨により、開花しようとしていた稲が水没してしまい、民心が不穏となった。その為に、大東汽船会社も、蘇州と杭州間は、日本人の船員を乗り込ませ、警戒を怠らない様にしていたが、22日蘇州を出発した汽船が、平望(へいぼう)付近に来た時、暴民等が橋の上から大きな瓦や石を投げ、通行を妨げたので、已むを得ず乗客を降ろして、蘇州に引き返した。
9月26日
南阿送還清国人 清国労働者が、南阿から本国に送還される事になり、十月早々ダーバンを出発する予定となっている。
愛蘭党動 政府は、しばしば約束を破り、アイルランド党は、間に合わせの約束を甘受しない。
南阿送還清国人 25日上海経由ロイター社発
清国労働者が、南阿から本国に送還される事になり、十月早々ダーバンを出発する予定となっている。この内483人は病身で、467人は、好ましからざる性質との理由で、送還費は、鉱山が負担する。又448人は、契約条文第14条により送還費を自便し、303人は、送還告示により、政府が送還費を負担する事になっている。
解説:ダーバンはヨハネスブルグの外港で、現在の人口はヨハネスブルグに次いで第2位である。39.1.12 南阿支那人問題に関連記事がある。
愛蘭党動 同上
代議士ヒドモンド氏は、ライムニックに於いて、次の様な演説を行った。
政府は、しばしば約束を破り、アイルランド党は、間に合わせの約束を甘受しない。最早自治の完成を妨げるものは無い。政府はアイルランド人民の希望に反しており、なお且つこれを統治するに足る力を有していない。
解説:現在の北アイルランド問題には、約900年の歴史があり、第1次世界大戦、第2次世界大戦中も紛争が継続していた。この記事はその一端である。
9月27日
クレテと英国 列国軍隊と叛徒の間に銃火の交換があり、双方に負傷者を出した。
米国干渉の機会 更に多数の軍艦がキューバに派遣を命じられ、7千の米兵は、上陸の準備を既に終わっている。
クレテと英国 26日上海経由ロイター社発
ジョージ親王は、クレテを出発した。同島の叛民は、親王が乗船の場合には、列国軍隊の行動が一致しない事を予想して、ハレバに集合した。そして列国軍隊と叛徒の間に銃火の交換があり、双方に負傷者を出した。その為英国巡洋艦パルハムは、海兵隊及び機関砲を陸揚げした。
解説:クレタ島は、オスマン帝国領であったが、1888年以降住民の多数がギリシャへの併合を目指す様になる。1906年現在は、ギリシャの派兵を欧州列強が阻止し、オスマン帝国の下で自治権を持ったクレタ州となっている。1913年ギリシャ領となる。
米国干渉の機会 同上
キュウバ政府は、平和談判の条件を拒否したが、キュウバ政府の態度に関する米国国務卿代理タフト氏の報告に不満がある。更に多数の軍艦がキュウバに派遣を命じられ、7千の米兵は、上陸の準備を既に終わっている。
9月28日
米国干渉 米国国務卿代理タフト氏が、叛徒側に同意した為、キューバ政府の官吏は残らず辞職した。1万5千の陸戦隊と2千の海兵は、キューバへ出発を命じられた。
米国干渉別報 米国大統領は、何時でもキューバに向け出発し得る様、軍隊に準備を命じた。
キューバ大統領辞職 キューバ大統領は、辞職するであろうと伝えられている。
米国干渉 26日ワシントン特約通信員発
米国国務卿代理タフト氏が、叛徒側に同意した為、キューバ政府の官吏は残らず辞職した。
米国大統領の干渉宣言は、水曜日に発表されるのではないかと期待されている。
1万5千の陸戦隊と2千の海兵は、キューバへ出発を命じられた。キューバの領海に居る米国の兵員は、これで総計7万に達した。
汽船シャーマン号は、軍隊輸送の委託を受けた。
タフト氏は、談判の結果を漏らさず、唯実力を行使する必要がある旨明言した。
米国干渉別報 27日ロンドン特約通信員発
ニューヨーク来電―米国大統領は、何時でもキューバに向け出発し得る様、軍隊に準備を命じた。
大統領の干渉宣言は、今にも発表される模様である。
8千の陸兵は、数日中にキューバに上陸し得るであろう。
キューバ大統領辞職 26日ベルリン特約通信社発
キューバ大統領は、米国政府から譲歩を強制され、その結果、辞職するであろうと伝えられている。
米国は、7千の兵を上陸させる様準備中である。
9月29日
露国総選挙 総選挙は、全露国を通じ、明年正月の祭日を通じて挙行される予定である。
最後通牒 米国国務卿代理タフト氏は、終に最後通牒を発して、
露国総選挙 28日ロンドン特約通信員発
露都来電―総選挙は、全露国を通じ、明年正月の祭日を通じて挙行される予定である。そして3月5日までには、議会の招集が行われるのではと期待されている。
最後通牒 28日上海経由ロイター社発
米国国務卿代理タフト氏は、終に最後通牒を発して、キューバ政府及び叛徒の双方とも、米国政府の提言に耳を傾けないのであれば、米国は、キューバに軍政を樹立するであろうと脅迫した。
キューバ政府は、タフト氏に係争事項の決定を一任し、急いで叛徒と妥協するであろうと信ずべき理由がある。
9月30日
英米金融の関係 国庫に於ける各市銀行の預金2千6百万ドルは、市中の金融ひっ迫が終わった後に払い出されるであろう。
英米金融の関係 29日上海経由ロイター社発
ワシントンにて公表された情報によれば、国庫に於ける各市銀行の預金2千6百万ドルは、市中の金融ひっ迫が終わった後に払い出されるであろう。これはロンドンに於ける金の流出を防ぐのに効果があるものと推測される。