期日 | 日本関係 | 期日 | 露関係 | 期日 | 英米関連 | 期日 | その他 |
7月1日 | 鞍馬の武装 | 7月1日 | 官僚派の末路 | 7月1日 | 埃及暴行事件 | 7月3日 | 英独親和の傾向 |
7月2日 | 鴨緑江の林業 | 7月2日 | ユダヤ人虐殺問題 | 7月4日 | 米国の缶詰問題 | 7月3日 | 浙江暴動 |
7月7日 | 不思議なる要求 | 7月4日 | 南部露西亜不穏 | 7月5日 | 南阿叛乱後報 | 7月9日 | 佛国海軍計画 |
7月8日 | 満州解放問題 | 7月5日 | 死刑廃止案可決 | 7月8日 | 英国外相演説 | 7月10日 | 青島税関収入 |
7月21日 | 日米綿布競争 | 7月12日 | ロ提督の声望 | 7月10日 | 英国軍備縮小 | 7月13日 | 独艦隊の諾威訪問 |
7月27日 | 列国現在艦隊 | 7月14日 | 露艦又暴動 | 7月11日 | 非陸軍縮小 | 7月15日 | ポーランド又不穏 |
7月30日 | 東清鉄道受領 | 7月21日 | 露国危機増進 | 7月12日 | 英国艦隊露国訪問 | 7月15日 | 鉄道敷地課税 |
7月31日 | 満州現状論評 | 7月22日 | ステッセル死罪 | 7月13日 | 英国海軍緊縮問題 | 7月22日 | 佛国新要求 |
7月24日 | 議会解散後の形勢 | 7月19日 | 英国と阿片問題 | 7月23日 | 佛国要求後報 | ||
7月27日 | 露西亜の騒乱 | 7月20日 | ナタル土民処罰問題 | 7月25日 | 独逸東亜協会稟議 | ||
7月30日 | 露国農民蜂起 | 7月26日 | 日本労働者の不足 | ||||
7月29日 | 英国製艦計画変更 |
7月1日
埃及暴行事件 英国将校に暴行を加えたエジプト人の内、4名は絞首刑、6名は鞭打ち刑に処せられた。
官僚派の末路 近衛連隊に容易ならざる暴動が発生し、首謀者は捕縛された。
鞍馬の武装 建造中である装甲一等巡洋艦鞍馬は、来る8日、進水の予定である。
埃及暴行事件 29日上海経由ロイター社発
英国将校に暴行を加えたエジプト人の内、4名は絞首刑、6名は鞭打ち刑に処せられた。
外相サー、エドワルド、グレーは、今後エジプトのいる英国将校の鳩狩りを禁止する旨を下院に明言した。
解説:6月30日に関連記事がある。
官僚派の末路 29日ベルリン特約通信社発
ブレオブラセンスク近衛連隊に容易ならざる暴動が発生し、首謀者は捕縛された。同連隊は、親衛の資格を喪失した。露都に於ける官僚社会の意気は非常に消沈している。
鞍馬の武装 内国電報
横須賀海軍工廠に於いて、建造中である装甲一等巡洋艦鞍馬は、来る8日、進水の予定である。同艦は、先に呉工廠に於いて進水した筑波、生駒の2艦よりもやや大きく、排水量は1万4千6百トンで、平均速力20ノット以上である。武装は12インチ主砲が4門の外、8インチ砲4門、速射砲以下60余門と水雷発射管3個を備え、現有戦闘艦以上の勢力を有するものである。
7月2日
ユダヤ人虐殺問題 ユダヤ人の虐殺問題を調査中である国民会議の委員は、闘争の原因について、罪を警察官に帰した。
露国慣用の政策 露国は、条約の文言に拘束される事を嫌い、故意に交渉を延期しており、
鴨緑江の林業 本社は、これを東京に置き、規模の大なる製材所を設ける事になるであろう。
ユダヤ人虐殺問題 30日上海経由ロイター社発
露都来電―ピアリストツに於けるユダヤ人の虐殺問題を調査中である国民会議の委員は、闘争の原因について、罪を警察官に帰した。又現在引き続き、暴動、略奪及び虐殺を扇動中である警察長官並びに陸軍将校の若干の行為を非難した。
露国慣用の政策 1日上海特派員発
露国は、条約の文言に拘束される事を嫌い、故意に交渉を延期しており、交渉を中断中に、何事かを成そうとしている様子であると駐露公使胡イ徳(こいとく)氏から外務部に電報があった。
鴨緑江の林業(日清合同材木会社) 内国電報
日清合同材木会社に関する計画や調査材料は、既に内閣に提出し、法制局に於いて審査中である。その資本金は、250万円とし、日清両国に於いて、各々125万円づつを出資する予定である。本社は、これを東京に置き、安東懸に支所を設け、ここで事業を管理する予定である。会社の事業は、伐木と製材の二つになるので、規模の大なる製材所を設ける事になるであろう。
7月3日
缶詰法案否決 米国缶詰組合派は、下院に於いて、缶詰検査法案を否決した。
英独親和の傾向 独逸新聞記者の英国訪問は、見事に成功し
浙江暴動 新城懸は30日朝、遂に土匪に落とされる。
缶詰法案否決 30日ベルリン特約通信社発
米国缶詰組合派は、下院に於いて、缶詰検査法案及び元老院の修正を否決した。
解説:6月3日腐った肉が缶詰にされた事件が報道され、以後7日、9日、10日にも関連記事がある。
英独親和の傾向 同上
独逸新聞記者の英国訪問は、見事に成功し、英国人の一行に対する歓待は、独逸に深甚な感想を与えた。
浙江暴動 2日上海特派員発
新城懸は30日朝、遂に土匪に落とされる。昨1日、兵士が杭州から三方に分かれて派遣された。
解説:清の統治力が地方まで十分に及ばず、地方では、村落の自衛組織や盗賊集団等が出現したが、反社会的なものが土匪(匪賊)と呼ばれた。巨大な武装集団の中には、後に政府軍として公認されたものもあり、張作霖もその一つである。
7月4日
米国の缶詰問題 米国下院は、肉類缶詰法案を可決した。
南部露西亜不穏 南部ロシアに間もなく革命運動が起こりそうな気配がある。
米国の缶詰問題 3日上海経由ロイター社発
米国下院は、肉類缶詰法案を可決した。しかし検査を行った月日を一つ一つに表記すべきとの条項は削除され、検査費用は政府の負担となった。缶詰業者の大勝利である。
解説:7月3日に関連記事がある。
南部露西亜不穏(露国貴族の避難) 同上
多数の露国貴族を搭載した汽船が、オデッサからローマのコンスタンザに到着した。南部ロシアに間もなく革命運動が起こりそうな気配がある。
7月5日
南阿叛乱後報 ナタルの叛徒は、猛烈にバアカー支隊の前衛を襲撃した
教育法案混戦 自由党の修正動議は、僅かに16票の多数で政府案の勝利に帰した。
死刑廃止案可決 国民議会は、昨日死刑廃止法案を起草し、激烈な討論の末に、終にこれを可決した。
南阿叛乱後報 3日上海経由ロイター社発
ナタルの叛徒は、猛烈にバアカー支隊の前衛を襲撃したが、折よく本隊が到着した為に英軍は損傷を免れ、叛徒600名を斃した。因みにダートネル将軍は、現在叛乱地へ行進中である。
解説:ナタルはイギリスの植民地南アフリカにある。
教育法案混戦 同上
宗教に無関係な学課には、生徒を必ず出席させなければならないと規定する教育法案第6条を否決するに等しい自由党の修正動議は、僅かに16票の多数で政府案の勝利に帰した。ランカスター公尚書、フーラーアイルランド事務大臣、ブライイス鉄道総監、バックストン等の各員もこの修正案に賛成したが、しかし原案は、247票に対して294票の多数を持って可決された。
パナマン内閣は、政府党に、本案に対して自由行動をとらせた。
死刑廃止案可決 同上
露都来電―国民議会は、昨日死刑廃止法案を起草し、激烈な討論の末に、終にこれを可決した。内閣大臣が、この案に反対すると委員は、「人殺し、泥棒、暗殺人」等と連呼して、これに報いた。
7月6日
缶詰検査の事 肉類は、今後、牧場から缶詰工場に至るまでの間に、これを検査できる十分な方法を準備するであろう。
南阿叛乱続報 叛徒によって虐殺された白人の死体は、無残に切断されており
缶詰検査の事 5日上海経由ロイター社発
米国農務卿は、以下のとおり明言した。
肉類は、今後、牧場から缶詰工場に至るまでの間に、これを検査できる十分な方法を準備するであろう。又缶詰に合衆国の印紙を貼り付ける事により、健全な生獣が、衛生上の設備の行き届いた工場で、食用肉にされた事を保証するであろう。
解説:7月3日、4日に関連記事がある。
南阿叛乱続報 同上
英軍がメシニ土人の家屋に対し、攻撃を行ったが、この攻撃は、唯叛徒が占拠する渓谷を占領し、牛馬を捕獲し、土人の家屋を破壊した外、特別な結果を生じなかった。
叛徒によって虐殺された白人の死体は、無残に切断されており、叛徒はその匕首を死体に突き刺し、又指を血に浸して、その唇を染める等していたそうである。この為に英兵は、非常に憤慨した。
7月7日
米国法官任命 フィリピン検事総長は、在清米国裁判所裁判官に任命された。
不思議なる要求 撫順の炭坑中、千金塞の炭坑は、元支那商人が経営しており、露国銀行の所有ではなかった。
米国法官任命 6日ロンドン特約通信員発
ニューヨーク来電―フィリピン検事総長は、在清米国裁判所裁判官に任命された。これは、領事裁判の弊害を是正する為である。
不思議なる要求 6日北京特派員発
外務部は、撫順の炭坑中、千金塞の炭坑は、元支那商人が経営しており、露国商人から資本金六万円を借りただけで、露国銀行の所有ではなかった。そのために、楊樞公使に、早く清国に返還するよう日本政府に交渉せよと電命した。しかし同炭鉱は、露清銀行のものであった事は、完全な事実である。
7月8日
英国外相演説 日本は今や卓越した能力と公的精神を傾けて、韓国の指導及び韓国における資源の開発を企図している。
満州解放問題 7日北京特派員発
当地の外交団専任公使は、上海領事団先任領事から
(一) 南満州を解放し、各国の利益を均等にすること
英国外相演説 日英同盟 7日上海経由ロイター社発
英国外相サー、エドワルド、グレーは、外交問題の討議に際して、日英同盟は、極めて健全な状態にあり、日本は今や卓越した能力と公的精神を傾けて、韓国の指導及び韓国における資源の開発を企図している。そして日英同盟は、他の何れの国にも甚だしい不安の念を起こさせることなく、同盟両国の間には、相互に保証の気持ちを抱かせる。余はこの状態が長く継続するであろうと確信していると宣言した。外相は、更に公果(コンゴ)自由国の問題に言及し、英国は、列国と協同して、政治組織の変更を強制する意思があると言明した。
解説:コンゴ王国は、1910年フランス領となる。
満州解放問題 7日北京特派員発
去る6日、当地の外交団専任公使は、上海領事団先任領事から
(二) 南満州を解放し、各国の利益を均等にすること
(三) 大連、その他の満韓の境界に、速やかに税関を設けること
(四) 遼河の鉄橋を破壊すること
を日清両国に警告されたいとの申請を受け取った。
解説:遼河は満州南部を流れる大河であり、日露戦争の初期、この川の渡河作戦は、極めて重要であった。
7月9日
佛国海軍計画 佛国海軍卿トムソン氏は、本年末までに戦闘艦6隻の竣工に着手する予定
佛国海軍計画 8日上海経由ロイター社発
佛国海軍卿トムソン氏は、本年末までに戦闘艦6隻の竣工に着手する予定である事及び佛国は、潜航艇の建造に於いても、他国に先行する決心であると報告した。
7月10日
英国軍備縮小 政府は、陸軍を縮小する事を決定した。
青島税関収入 青島税関収入の全部を独逸銀行に預けいれるべしとの独逸の要求は、拒絶された。
英国軍備縮小 9日上海経由ロイター社発
英国植民次官チャーチル氏は、アルトリンゴムに於いて、次の演説を行った。
政府は、陸軍を縮小する事を決定した。これについて、来る7月12日、陸軍大臣ハルデーン氏が意見を発表し、国家の安全に必要な限度で陸軍の兵力を縮小する事並びに軍事費の節約について、間違いなく概略の方針を示すであろう。
青島税関収入 9日北京特派員発
青島税関収入の全部を独逸銀行に預けいれるべしとの独逸の要求は、数回にわたる交渉の結果、先例が無いとの理由で拒絶された。従来の様に独逸銀行に半額を預け入れる事に決定した。
7月11日
非陸軍縮小 新聞は、英国陸相ホルデーン氏の軍備縮小案を驚愕すべきものであるとして、英国国民がこの様な計画に盲従するであろうとは信じられないと論じた。
軍政署撤廃準備 当地には、軍政署の事務を引き継ぐ為の出張所を設置し、副領事及び書記生4名、警官数十名を置く事に決定した。
非陸軍縮小 10日上海経由ロイター社発
モーニング、ポスト及びデイリー、テレグラフの2新聞は、英国陸相ホルデーン氏の軍備縮小案を驚愕すべきものであるとして、英国国民がこの様な計画に盲従するであろうとは信じられないと論じた。
デイリーテレグラフ紙は、特に回教徒の不穏な現状(エジプトの現状を指すのか)を極論し、もし現在の英国議会の様な、驚くべき愚かで見識の無い状態が中止されないならば、英国の滅亡は遠からず訪れるに違いないと結論している。
解説:7月10日に関連記事がある。
軍政署撤廃準備 10日遼陽特派員発
当地には、軍政署の事務を引き継ぐ為の出張所を設置し、副領事及び書記生4名、警官数十名を置く事に決定した。
鉄嶺も本日限り軍政署を廃止し、出張所を置く事になる。昌岡、新民屯にも分館若しくは出張所を置く予定であり、近く副領事3,4名警官500名が来る事になっている。
7月12日
英国艦隊露国訪問 合計13隻の戦艦及び巡洋艦で編成された英国艦隊は、6日間クロンシュタットに錨泊する。
ロ提督の声望 諸新聞は、軍法会議に於いて無罪の宣告を受けたロゼンストウエンスキー提督について、提督の男らしい態度を称賛した論評をしている。
英国艦隊露国訪問 11日ロンドン特約通信員発
合計13隻の戦艦及び巡洋艦で編成された英国艦隊は、今月の21日出発し、バルト海を巡航し、6日間クロンシュタットに錨泊する予定と公表された。
ロ提督の声望 同上
露都来電―諸新聞は、軍法会議に於いて無罪の宣告を受けたロゼンストウエンスキー提督について、国に対する処置について、提督の男らしい態度を称賛した論評をしている。
提督の部下数名は有罪の宣告を受けたけれども、対馬海峡の海戦に実際責任のある者は、ついにその罪を問われなかった。
7月13日
英国海軍緊縮問題 英国下院は、海軍予算の議事を延期した。
独艦隊の諾威訪問 独逸装甲艦隊は、ノルウエーの諸港を訪問する
英国海軍緊縮問題 11日上海経由ロイター社発
英国下院は、内閣にドレッドノート型戦艦の建造を一旦中止させる問題を討議させるため、海軍予算の議事を延期した。
独艦隊の諾威訪問 11日ベルリン特約通信社発
独逸装甲艦隊は、親交の意を表する為、ノルウエーの諸港を訪問する予定である。
7月14日
土米交渉 米国政府は、先日大使館をコンスタンチノープルに置きたい旨を正式に土帝に通告した。
露艦又暴動 露国巡洋艦テレークの乗組み水兵が暴動を起こした。
土米交渉(大使館設置問題)12日上海経由ロイター社発
米国政府は、先日大使館をコンスタンチノープルに置きたい旨を正式に土帝に通告した。トルコ政府は、これに反対して、米国政府に異議を申し立てたが聞かれず、その結果米国政府に大使館の設置は、土米両国がお互いに承諾する事が必要であり、そしてトルコ政府は、米国大使館の設置に同意しない旨を通告した。
露艦又暴動 12日ベルリン特約通信社発
露国巡洋艦テレークの乗組み水兵が暴動を起こした。同艦は、現在スペインのウイゴにおり、乗組みの水兵を交代させる筈である。
7月15日
ポーランド又不穏 またもや動乱が起ころうとする気配がある。
鉄道敷地課税外務部は、鉄道敷地に課税する事を奏上し、裁可を得ている。
留学生の資格 高等学校又は専門の学校に入る為に、日本に留学する学生は、中等卒業又はそれ以上の学識があり
ポーランド又不穏 13日上海経由ロイター社発
またもや動乱が起ころうとする気配がある。ワルシャワの人心は、非常に恐れおののいている。4万人のユダヤ人は、老若男女が相携えて、昨日各地に避難した。
鉄道敷地課税 14日北京特派員発
清国に於ける鉄道敷地は、従来無税であった。しかし今回、外務部は、財政上の都合により、清国人や外国人の経営を問わず、鉄道敷地に課税する事を奏上し、裁可を得ている。
留学生の資格 同上
学部は、高等学校又は専門の学校に入る為に、日本に留学する学生は、官費と私費留学とを問はず、中等卒業又はそれ以上の学識があり、日本語に通じる者でなければならない。
7月16日
林公使着任 林公使は、本日14日着任した。
林公使着任 14日北京特派員発
林公使は、中村大佐と共に、本日14日午後7時着任した。居留民の歓迎が盛んであった。
7月17日
飢饉救済案 露国帝国参議院(上院)は、政府の救済基金案を否決し
飢饉救済案 13日上海経由ロイター社発
露国帝国参議院(上院)は、政府の救済基金案を否決し、下院の修正案である即時ⅰ5百万ルーブルを支出する救済案を採用した。
7月18日
トレポフ免かる コブロフ将軍は、トレポフ将軍と見誤れて射殺された。
トレポフ免かる 17日上海経由ロイター社発
コブロフ将軍は、ペテルホフ公園を散歩中に、トレポフ将軍と見誤れて射殺された。犯人は、直ちに逮捕されたが、彼はこの暴挙は、革命熱の再発であると自白した。
解説:トレポフ将軍については、明治38年11月30日等に関連記事が多数あるがペテルスブルグ総督であった。(トレボフ将軍と記していた)
7月19日
埃及の動揺と英国 フランス国民は、グレー氏及びクロマー卿がエジプトに於ける回教徒の熱狂の再発について、一般の注意を喚起した事を諒とした。
英国と阿片問題 植民次官チャーチルは、シンガポール及び香港に於ける阿片収入の制度が悪弊を生じているとの事情は、未だこの詳細が明らかになっていない。
埃及の動揺と英国 18日ロンドン特約通信員発
パリー来電―フランス国民は、グレー氏及びクロマー卿がエジプトに於ける回教徒の熱狂の再発について、一般の注意を喚起した事を諒とした。
諸新聞は、アフリカにおける佛国の利益が英国のそれと一致することを指摘している。
解説:6月30日に埃及人処刑問題に記事がある。
英国と阿片問題 18日上海経由ロイター社発
英国下院に於いて、植民次官チャーチルは、次の様に述べた。
シンガポール及び香港に於ける阿片収入の制度が悪弊を生じているとの事情は、未だこの詳細が明らかになっていない。従ってこの制度に代えて、如何なる制度にすれば利益があるのか知る事が出来ない。
又印度と支那の間の阿片貿易に関して、政府は支那に改革を促すつもりがあるかとの質問に対して、印度事務大臣モレー氏は、政府は先ず印度政府の意見がどうであるかを調べ、その後これに応じる手段を講じる事を提議したと述べた。
7月20日
阿片問題 印度大臣モーレー氏は、許可されるべきブレット阿片に関し、インド総督に照会中である
ナタル土民処罰問題 ナタル暴虐事件に関して、英国下院に於いて、激烈な討議が行われた。
阿片問題 19日上海経由ロイター社発
印度大臣モーレー氏は、次期の収穫期から、許可されるべきブレット阿片に関し、インド総督に照会中であるが、現在まで公表する段階ではないと明言した。
ナタル土民処罰問題 同上
ナタル暴虐事件に関して、英国下院に於いて、激烈な討議が行われた。植民次官チャーチル氏は、ナタル政府の長文の回答を朗読したが、この回答書は、暴虐の風説を否定したものである。ナタルの急進派は、南阿の諸問題を調査し、且つ土民兵の使用を禁止する事を本国政府に求めている。
自由派の諸新聞は、所謂暴虐事件なる者に関する従来の報告では、不十分であるとし、犯罪人の処罰問題について、更に本国政府に於いて、委員を任命する事を要求した。
7月21日
露国危機増進 露国は、近いうちに無政府状態に陥ると思われる。
独露両帝国会見中止 露国皇帝は、国内の現状に鑑み、海外旅行を一切見合わせた。日米綿布競争 米国綿布の独占市場であった満州に、本年4月以降、日本シーチングの輸入が増加し、しかも売れ行き良好
露国危機増進 19日ワシントウン特約通信員発
流血の惨劇となる争議が間もなく露国に発生しようとしているが、内閣の大臣は現在の情勢を誤認していると信じられる。
露国上院議員の3分の2は、下院に同情を示しつつある。
露国は、近いうちに無政府状態に陥ると思われる。
独露両帝国会見中止 19日ベルリン特約通信社発
露国皇帝は、国内の現状に鑑み、海外旅行を一切見合わせた。従って独帝との会見も中止となった。
日米綿布競争(大阪) 内国電報20日
米国綿布の独占市場であった満州に、本年4月以降、日本シーチングの輸入が増加し、しかも売れ行き良好であるのに反して、米国綿布の商況は、委縮して振るわず、在庫が増加した。この為日本綿布の駆逐策として思い切った値下げを決行した。即ち我がシーチングが満州に入らない当時、1反7円50銭内外で販売していたものを昨今は、5円50銭の値段としている。日本綿布は、1反4円50銭であるので日米両製品は、僅か1円の値段の差に縮まった。
7月22日
露国議会形勢 露国議会は、国民に対して過激な宣言書を配布すべきとの動議を否決した。
ステッセル死罪 ステッセル将軍を死刑に処し、その他の将官も重罪に処すことを奏上した。
佛国新要求 佛国は、天津の佛国租界外にあるタイショウを租界に組み入れることを外務部に交渉した。
露国議会形勢 20日ベルリン特約通信社発
露国議会は、百四票の多数によって、国民に対して過激な宣言書を配布すべきとの動議を否決した。これにより議会と皇帝との関係は、円満となる事が期待される。
ステッセル死罪 同上
露国新聞ノウエー、ウレーミヤ紙の報道によれば、旅順開城に関する査問が終了した。開城した事に対する委員の意見は、非常に重い罪過とする事に一致し、ステッセル将軍を死刑に処し、その他の将官も重罪に処すことを奏上した。
佛国新要求 21日上海特派員発
佛国は、北清から撤兵する報酬として、大沽(たいこ)に於いて土地を買収すること、天津(てんしん)の佛国租界外にあるタイショウを租界に組み入れることを外務部に交渉した。しかし清廷は、未だに何らの回答も与えていない。
解説:大沽は、北京、天津の海の玄関である。
7月23日
運河公債発行 スエズ運河の公債3千万ドルが発行された。
佛国要求後報 佛国公使は、またもや外務部に対して、大沽(たいこ)に於いて若干の土地及び天津の租界外に400畝の土地を要求した。
運河公債発行 21日ワシントン特約通信員発
スエズ運河の公債3千万ドルが発行された。打歩約4分で、応募額は、既に募集額を大幅に超過し、巨額になっている。
解説:打歩(いちぶ)公債とは、応募金額が額面金額より高い公債である。
佛国要求後報 22日上海特派員発
北京来電―佛国公使は、またもや外務部に対して、大沽(たいこ)に於いて若干の土地及び天津の租界外に400畝の土地を要求した。又博文書院の近くにある薬王廟を該書院の敷地に充てたいと求めてきたが、外務部は、団匪(だんひ)事変後に締結された議定書の趣旨に反するとしてこれを拒絶した。
解説:400畝は、約4万㎡である。 団匪(だんひ)事変とは義和団事件のことである(義和団は団匪とも言われた)
7月24日
議会解散後の形勢 軍隊の不平再発の兆候が見え、クロンシュタットに動乱が発生し、守備隊と戦闘中である。騎兵隊が同地に急派された。
議会解散後の形勢(軍隊暴動の再発) 23日上海経由ロイター社発
露帝の議会解散令には、来年3月5日に新たに議会を招集する予定であると宣している。議事堂は既に閉鎖され、巡査が警備して、人の出入りを禁止した。
ペテルスブルグは、非常防衛地域と見做され、戒厳令が宣告された。各国大使館は、軍隊が警備している。
軍隊の不平再発の兆候が見え、クロンシュタットに動乱が発生し、守備隊と戦闘中である。騎兵隊が同地に急派された。
又セバストポールに於いては、2500名の水兵等が黒海艦隊司令長官スクリドロフ提督に提出すべき要求書を作成した。その要求が入れられない場合には、黒海艦隊の全員が謀叛すると思われる。
ペテルスブルグの下層社会は、全て穏やかにストライキを行う準備を全て終えている。
7月25日
佛人の目に映る露国政変 佛国の与論は、一般的に露国議会の解散は、非常な失政であると認めている。
独逸東亜協会稟議 独逸は英国と協同して浙江(せっこう)その他の海賊を退治しなければ列国の商業は非常な被害を受けるであろうと通知した。
佛人の目に映る露国政変 24日ロンドン特約通信員発
パリー来電―佛国の与論は、一般的に露国議会の解散は、非常な失政であると認めている。そして露国議会の態度は、誠に容易ならぬ問題であると考えられる。
独逸東亜協会稟議 24日上海特派員発
香港の東亜協会支部は、独逸ハンブルグ市並びに北京公使館に電報を送り、独逸は英国と協同して浙江(せっこう)その他の海賊を退治しなければ列国の商業は非常な被害を受けるであろうと通知した。
7月26日
日本労働者の不足 労働賃金も高騰して、現在11時間働き、1ドル50セント以上、2ドルの間にある。
日本労働者の不足 ワシントン通信
本年は、6月に入り時期遅れの降雨があり、果物の作柄が心配であったが、その後天候に恵まれ、格別の障害が無い事が明らかになった。又一度播きつけた砂糖大根も、降雨の為に撒き直して、今草取りの季節となった。その為現在日本人の労働者の需要が非常に増え、地主や労働請負業者は、非常に狼狽している。労働賃金も高騰して、現在11時間働き、1ドル50セント以上、2ドルの間にある。最近ホノルルから来る人が毎月1千人以上になっているがなお供給不足な程である。
7月27日
露西亜の騒乱 規模の拡大した騒乱がオデッサの再発し、ユダヤ人は又殺戮の憂き目にあった。
列国現在艦隊
英国政府が発表した列国艦隊の現在の数は次のとおり
露西亜の騒乱 25日上海経由ロイター社発
ロイボルグに於ける会議の結果、軍隊を政府に反抗させるために、更に大規模な団体を組織する事に決定した。
規模の拡大した騒乱がオデッサで再発し、ユダヤ人は又殺戮の憂き目にあった。市中は騒然としており、市民は遠方に避難中である。
諸会社の株券は、引き続き値下がりしている。
列国現在艦隊
英国政府が発表した列国艦隊の現在の数は次のとおり
戦闘艦の隻数
英国61隻、佛国29隻、露国12隻、独国31隻、伊太利16隻、北米合衆国25隻、日本11隻
解説:巡洋艦、水雷艇、潜航艇の隻数は省略した。日本の戦艦は6隻であり、11隻には旧式戦艦が含まれている。
7月28日
英国国防会議 クローメル卿が同会に出席して、エジプトの情勢について説明したと言われている。
林公使袁総督会見 林公使は、来る29日、袁世凱氏を訪問する予定であり
英国国防会議 27日上海経由ロイター社発
英国国防委員会は、首相バンナーマン氏を会長として、開会した。クローメル卿が同会に出席して、エジプトの情勢について説明したと言われている。
林公使袁総督会見 27日北京特派員発
林公使は、来る29日、袁世凱氏を訪問する予定であり、鴨緑江伐木、大連の支那税関設置問題及び満州駐屯の日清軍隊の境界地に関する件等は必ず話題になるであろうと信じられている。
7月29日
英国製艦計画変更 海軍当局者は、予定の建造計画を変更した、ドレッドノート型4隻は3隻に、巡洋駆逐艦5隻を2隻に、潜航艇12隻を8隻に減少させ
英国製艦計画変更 28日上海経由ロイター社発
ロバートソン氏は、下院に於いて次の説明を行った。海軍当局者は、予定の建造計画を変更した、ドレッドノート型4隻は3隻に、巡洋駆逐艦5隻を2隻に、潜航艇12隻を8隻に減少させ、これによって250万ポンドの費用を節約する事に決定した。第二平和会議に関して、政府は既に議会を通過した軍備縮小決議に注意しなければならないと述べ、1907年から翌年にかけての年度に、装甲巡洋艦4隻を建造の予定であるが、これを3隻に減少する。但しヘーグ会議が不成立となった時には、更に1隻の建造に着手するつもりであり、政府がヘーグ会議に対する好感を示す為である。
7月30日
露国農民蜂起(軍隊の敗北) クルスク懸ポリソエカに於いて、軍隊と農民との間に合戦があり、軍隊は敗北したとの情報がある。
東清鉄道受領 東清鉄道中、公主嶺と長春間は、いよいよ明後日1日を以て受領を完了し
露国農民蜂起(軍隊の敗北) 28日上海経由ロイター社発
モスコー及びイエル懸に於いて、農民の大蜂起があり、又クルスク懸ポリソエカに於いて、軍隊と農民との間に合戦があり、軍隊は敗北したとの情報がある。
東清鉄道受領 内国電報(29日発)
東清鉄道中、公主嶺と長春間は、いよいよ明後日1日を以て受領を完了し、同時に守備兵(1kmに15名、即ち64kmであるので約1千人)の配置を、恰も哨兵の交代の様に迅速に行って、諸器具の散乱を防ぐであろう。某師団の所属部隊は、即時その任務に服する為に、先日から公主嶺に集合中である。
7月31日
満州現状論評 モリソン博士は、日本が満州からの撤兵等の義務を誠実に実行中であることを認めるが、満州に渡航する日本人の中には好ましからぬ性格のものも多くいると明言した。
満州馬賊の陰謀 30日北京特派員発
馬賊の頭領エンボと称する者が数カ月まえから、満州全土の馬賊を糾合して、日本人を殺害し、日清間の交渉を起こさせ、
満州現状論評 30日ロンドン特約通信員発
ロンドンタイムスの北京通信員モリソン博士は、満州の視察を終わって、北京に帰着した。
博士は、日本が満州からの撤兵等の義務を誠実に実行中であることを認めるが、満州に渡航する日本人の中には好ましからぬ性格のものも多くいると明言した。
ロンドンタイムスは、社説に於いて、日本があくまでも名誉を重んじる行為に満足の意を表し、英国は今まで一点の疑心も抱いた事が無いと断言した。それより外国人の苦情に対しては、これをよく調査する事を日本に勧告し、最後に奉天及び安東懸に英国の商業事務官を派遣する事を提唱した。
解説:モリソン博士は、義和団の乱の際にも、北京籠城戦で活躍した英国随一の支那通である。
満州馬賊の陰謀 30日北京特派員発
馬賊の頭領エンボと称する者が数カ月まえから、満州全土の馬賊を糾合して、日本人を殺害し、日清間の交渉を起こさせ、その期に乗じて漁夫の利を占めようと計っている。ビシカに於ける襲撃事件は、その第1歩であり、間もなく奉天に於いても暴動を起こす予定と言われている。