期日 | 日本関係 | 期日 | 露関係 | 期日 | 英米関連 | 期日 | その他 |
4月20日 | 日本労働者問題 | 4月6日 | 満州に於ける露清 | 4月2日 | 南阿植民の激昂 | 4月1日 | 南昌教案談判 |
4月21日 | 又々戸惑い論 | 4月12日 | 露国新債 | 4月6日 | 支那人排斥法改正 | 4月3日 | モロッコ問題結了 |
4月26日 | 桑港の日本人 | 4月14日 | 露国内政現状 | 4月14日 | 北京政府の狼狽 | 4月3日 | 独領阿弗利加 |
4月27日 | 桑港震災御救恤 | 4月16日 | 自由主義の勝利 | 4月21日 | 震災の区域 | 4月8日 | 独逸宰相の宣言 |
4月23日 | ネボガトフ弁明 | 4月23日 | 桑港震災戦後策 | 4月9日 | 噴火の惨状 | ||
4月25日 | 桑港震災後報 | 4月10日 | モロッコ会議結果 | ||||
4月25日 | 南昌教案と英仏 | 4月10日 | 墳石三千尺 | ||||
4月12日 | 噴火惨状 | ||||||
4月18日 | 独逸の余憤 | ||||||
4月22日 | 仏蘭西人の杞憂 | ||||||
4月28日 | 支那人疎外 | ||||||
4月30日 | 埃土問題と佛国 |
明治39年4月
4月1日
南昌教案談判 佛国は断じて知懸(ちけん)が殺害された事を認めず、8名の紳士を懲罰し、保護を怠った役人を免職し、
南昌教案談判 31日上海特派員発
南昌からの来電によれば、佛国は断じて知懸(ちけん)が殺害された事を認めず、8名の紳士を懲罰し、保護を怠った役人を免職し、教会及び被害者の為に53万両、毎年教会の経費として1万両を支払う事並びに殺害された宣教師の記念碑を建てる事を求めた。しかし清国当局者は、決してこれを認めようとはせず、談判はまさに決裂する情勢である。佛国委員は談判を中止して、帰朝するかもしれない。
解説:39年2月29日の報道によれば、佛国宣教師が知懸氏をサーベルで殺害している。
4月2日
南阿植民の激昂 悲憤慷慨する集会を開いたが、植民地の細部に干渉される事は到底忍ぶ事はできないと決議した。
南阿植民の激昂 31日上海経由ロンドンロイター社発
ダーバン港及びピーテルマリックブルグ市に於いて、悲憤慷慨する集会を開いたが、満場立錐の余地がなく、植民地の細部に干渉される事は到底忍ぶ事はできないと決議した。
4月3日
モロッコ問題結了 モロッコ会議はいよいよ完全な合意に達し、完全な意味に於いて協調を図る事が出来た。
独領阿弗利加 ホッテントット族等が独逸の警備兵を襲って
モロッコ問題結了 2日ロンドン特約通信員発
アルゼシラス来電―モロッコ会議はいよいよ完全な合意に達し、完全な意味に於いて協調を図る事が出来た。
その結果として、佛国は、なおモロッコに於いて優越的な地位を失わず、英仏の親交を破ろうとする独逸の画策は完全に失敗に終わった。モロッコ人は独逸の勢いが拍子抜けして、静かになった事に失望している。
独領阿弗利加 3日上海経由ロンドンロイター社発
独領アフリカ植民地に於いて、ホッテントット族等が独逸の警備兵を襲って、士官1名、土兵10名を殺害し、土兵4名を負傷させた。
4月5日
モロッコ会議の結果 今回のモロッコ会議は、露佛同盟を強固にし
露都総選挙状勢 ピータスブルグの選挙人の6割は、昨日投票を終わった。
モロッコ会議の結果 4日上海経由ロンドンロイター社発
今回のモロッコ会議は、英露の意思疎通を助け、その結果露佛同盟を強固にし、且つ英仏の関係も益々親密になるであろう事を期待する英人が少なからずいる。
露都総選挙状勢 同上
ピータスブルグの選挙人の6割は、昨日投票を終わった。そして官吏は一切干渉を差し控えた。
4月6日
満州に於ける露清 清国の抗議が再三行われたにも拘わらず、露国の満州撤兵が、遅々として進まない為、露清間の関係は非常に切迫している。
支那人排斥法改正 支那人排斥法を修正し、支那人の合衆国への入国に対して課せられたあまたの無用な制限を除去した。
満州に於ける露清 サンフランシスコ特約通信員発(5日接受)
清国の抗議が再三行われたにも拘わらず、露国の満州撤兵が、遅々として進まない為、露清間の関係は非常に切迫している。
露国軍隊は、支那農民に対して、種々の暴虐をほしいままにし、強制的に軍隊用の諸工事に使用しつつある。
清国側に於いては、リネウイッチの後任者クロアコフ将軍は、甚だしい侵略政策を取るものと認めており、露清両国軍隊間の衝突が何時か必ず起こると思われる。
支那人排斥法改正 同上
商工務卿メットカーフ氏は、本日支那人排斥法を修正し、支那人の合衆国への入国に対して課せられたあまたの無用な制限を除去した。これは、大統領ルーズベルト氏及び陸軍卿タフト氏の同法に対する十分は支持があった為と信じられている。
4月7日
ナタルの小戦 英兵は激戦の後、グレータウンに退却せざるを得なくなった。
ナタルの小戦 6日上海経由ロンドンロイター社発
英兵は激戦の後、グレータウンに退却せざるを得なくなった。警官3名がこの戦闘で死亡した。24時間以内に優勢な民兵を送る予定である。グレータウンは、完全な防御の準備を行っている。この戦闘では、英兵の一部は退路を断たれた。
解説:ナタルは、イギリスの植民地である南アフリカにあり、土人の反乱が起こっている。
4月8日
独逸宰相の宣言 帝国議会に於ける演説で、独逸はモロッコ問題の為に戦端を開くつもりはない旨言明した。
雲南暴動の風説 雲南に暴動が発生し、教会が焼かれ、危険な情勢である
独逸宰相の宣言 7日上海経由ロンドンロイター社発
独逸宰相ビューロー公は、帝国議会に於ける演説で、独逸はモロッコ問題の為に戦端を開くつもりはない旨言明した。ただ我が独逸は、モロッコ問題に関して、埒外に置かれるべきでない事を証明したいが為に、本件を処理したとの趣旨で従来の政策を弁明した。
雲南暴動の風説 7日上海特派員発
佛字新聞は、雲南に暴動が発生し、教会が焼かれ、危険な情勢であるとの電報を掲載した。
4月9日
噴火の惨状 イタリヤのベスビオス山に大噴火が起こり
列国会議の独仏 先般のアルゼシラス会議に於いて、独逸は自分の地位が孤立している事に驚いている。
噴火の惨状 サンフランシスコ特約通信員発
イタリヤのベスビオス山に大噴火が起こり、山腹にある数個の村が沸騰する焼け石に包まれて、多数の人命が失われた惨事が発生し、イタリヤ政府は救援を急いでいる。
列国会議の独仏 同上
先般のアルゼシラス会議に於いて、独仏間で成立した協約条項は、調印を終え、ここに欧州の政治舞台の一幕は終わりを告げた。そして佛国が四面皆、自国の友邦である事を発見したのに対して、独逸は自分の地位が孤立している事に驚いている。
4月10日
モロッコ会議結果 佛国は、モロッコ及び欧州に於いて、その地位を確立する事を得ると同時に、独逸はモロッコに於いて、解放の保障を獲得した。
墳石三千尺 ベスビオス火山の噴火は、その後ますます激しくなり、
モロッコ会議結果 9日ロンドン特約通信員発
アルゼシラス会議は、いよいよ終結した。この会議の結果、佛国は、モロッコ及び欧州に於いて、その地位を確立する事を得ると同時に、独逸はその主張通りモロッコに於いて、解放の保障を獲得した。但し独逸が、露佛同盟及び英仏の提携を破ろうとする計画は全く失敗した。
墳石三千尺 9日上海経由ロンドンロイター社発
ベスビオス火山の噴火は、その後ますます激しくなり、ボンベイ側の山頂が崩壊し、その反対側に新火口が生まれた。重なる火口から赤熱した岩石を噴出し、三千尺の高さに達した。ネブルスには避難民が充満しており、同地の家屋も噴火により振動する為、多数の人は、夜間市内の広場に集まり、警戒している。
4月11日
噴火惨状 ベスビオス火山の噴火は、大変な壮観であり、ネーブルス市に降り積もった灰は、数寸に達し、地震が頻発している。
噴火惨状 4日上海経由ロンドンロイター社発
ベスビオス火山の噴火は、大変な壮観であり、ネーブルス市に降り積もった灰は、数寸に達し、地震が頻発している。
アオスタ公は、被害地の秩序を維持する為に派遣された軍隊の指揮を取っている。各汽船は、皆万一の場合に備えている。そしてイタリ―艦隊もネーブルスに急行を命じられ、アオタス公の指揮に属する。又2隻の戦艦は、現在トレ、デル、フレコの住民を他に避難させつつある。
4月12日
露国新債 露国の新国債の交渉は、将に成功しようとしている。
噴火惨状 ベスビオス火山を中心とした半径10里の間に在る全村落を破壊しつつある。
露国新債 11日上海経由ロンドンロイター社発
露国の新国債の交渉は、将に成功しようとしている。その額は8千万乃至9千万ポンドであり、利率は5朱 内5千万ポンドを佛国が引き受け、残りを露、英、米、蘭が引き受けると思われる。
噴火惨状 11日サンフランシスコ特約通信員発
ベスビオス火山は、依然として激しい勢いで噴火を継続し、同火山を中心とした半径10里の間に在る全村落を破壊しつつある。同火山の西北9里にあるネーブルス市も又将に破壊されようとしており、今朝、同市の公設市場にある大きな建物が、降り積もった灰の重量に耐えきれず崩壊した。その惨状は、まるで地獄の様であり、市場で売買していた商人200名が生きながらその下に埋められてしまった。
4月13日
ベスビオス イタリ―最大の都市で、且つ主要港であるネーブルス市は、破滅の悲運に見舞われている。ベスビオス火山から13里の有名なボンベイ市も又埋没した。
ベスビオス 12日サンフランシスコ特約通信員発
イタリ―最大の都市で、且つ主要港であるネーブルス市は、破滅の悲運に見舞われている。ベスビオス火山は、13個の村落や美しいネーブルス市の上に、焼け石を降り注ぎつつある。同市住民の2千名は、この為に死亡し、その付近の汽車も悉く灰に埋まり、動く事は出来ない。ネーブルス湾内の船舶は、恐れ騒ぐ市民を救出しようとするが力及ばず、欧州各国は救助隊を急派しつつある。ベスビオス火山から13里の有名なボンベイ市も又埋没した。
4月14日
露国内政現状 露国内相及び法相は辞任した。首相ウイッテ伯は、総選挙に於ける革命派の勝利に顧みて、これ等大臣を犠牲に供した。
北京政府の狼狽 英米両国が、日本に清国の警察権を委任すべきであるとの意見を唱えているとの風説がある。
露国内政現状 13日ロンドン特約通信員発
ピータスブルグ来電―露国内相及び法相は辞任した。首相ウイッテ伯は、総選挙に於ける革命派の勝利に顧みて、これ等大臣を犠牲に供した。
ロンドンタイムスは、露国の危険な情勢と改革の必要な所以を忌憚なく指摘して、公約の履行を露帝に勧告した。
北京政府の狼狽 13日北京特派員発
英米両国が、日本に清国の警察権を委任すべきであるとの意見を唱えているとの風説がある。その為清国政府の驚愕は一方ならず、直ちに両国駐在の清国公使に緊急電を発して、事実の調査を命じたと伝えられている。
4月15日
天地漸く清明 ネーブルスに於いては、降雨、降灰共に完全に止み、空晴れ、日輝き
佛国と英露 佛国外務卿ブウルジヨア氏は、同盟国ロシア及び忠誠な友人イギリスに感謝の意を表した。
天地漸く清明 14日上海経由ロンドンロイター社発
ネーブルスに於いては、降雨、降灰共に完全に止み、空晴れ、日輝き、ベスビオスの山容も又初めて見る事が出来るようになった。市民も又ようやく安どし、日常生活に戻りつつある。
佛国と英露 同上
佛国外務卿ブウルジヨア氏は、議院に於いて、アルビシラス会議に関する演説を行った中で、佛国の堅実な同盟国ロシア及び忠誠な友人イギリスの毅然とした援助に言及し、感謝の意を表した。
4月16日(火)
モロッコ問題と佛独 佛国外務卿ブウルジョア氏は、モロッコ会議の結果が関係列国にとって満足に終了した事を承認すると宣言した。
自由主義の勝利 ウイッテ首相は、ペテルスブルグに於いて開かれる予定の立憲民主党の大会を認可した。
モロッコ問題と佛独 14日ベルリン特約通信員発
佛国外務卿ブウルジョア氏は、代議員に於ける演説に於いて、独逸宰相ビューロー公と同じく、モロッコ会議の結果が関係列国にとって満足に終了した事を承認すると宣言した。佛国新聞デパは、佛国外務卿と独逸宰相の意見が一致した事実を捉えて、モロッコ問題は、今や完全に解決されたと論評している。
自由主義の勝利 同上
ウイッテ首相は、ダルノウオー将軍の自由主義撲滅手段が余りにも激烈であることを認めて、緩和の方針を取り、5月4日ペテルスブルグに於いて開かれる予定の立憲民主党の大会を認可した。
4月17日
米国戦艦爆破 米国戦艦キーセージは、実弾射撃演習の際、突然爆破し
湖南の排外運動 数日前、湖南省(地名不明)に於いて、7千余名の暴徒が蜂起して、清国の主権回復及び外国人排斥等の文字を大旗に書いて
米国戦艦爆破 16日上海経由ロンドンロイター社発
米国戦艦キーセージは、実弾射撃演習の際、突然爆破し、大尉1名、水兵5名が即死し、その他多数の負傷者が発生した。
解説:当時の主砲である12インチ砲に於いて、砲弾が発射時に砲塔内で爆発したのではないかと思われ、英国海軍、日本海軍でも同様な事故が発生している。
湖南の排外運動 16日香港特派員発
広東にて発行されている漢字新聞の報道によれば、数日前、湖南省(地名不明)に於いて、7千余名の暴徒が蜂起して、清国の主権回復及び外国人排斥等の文字を大旗に書いて、これを押し立てて、集会を行った。総督張之洞(ちょうしどう)氏は、この報道に接すると直ちに蘆漢(ろかん)鉄道で歩兵2千名、騎兵5百名、砲兵2中隊を派遣し、解散させたと言われている。
4月18日
独伊疎隔 イタリ―の諸新聞は、ベスビオス火山の噴火について、独り独逸政府のみ、未だ一言も慰めの言葉を発しない事を憤っている。
独逸の余憤 独逸の諸新聞は、オーストリー外相ゴルフォースキー伯に送った独帝の電報に遺憾を表す傾向がある。
独伊疎隔 17日ロンドン特約通信員発
イタリ―の諸新聞は、ベスビオス火山の噴火について、各国政府が何れも心からの同情を寄せてきたのに対して、独り独逸政府のみ、未だ一言も慰めの言葉を発しない事を憤っている。且つ又独帝のオーストリー外相に与えた電報を以て、イタリヤに対する威嚇であると解釈しつつある。
独逸の余憤 17日上海経由ロンドンロイター社発
独逸の諸新聞は、オーストリー外相ゴルフォースキー伯に送った独帝の電報に遺憾を表す傾向がある。その電報は、至る所でイタリヤのアルゼシラス会議に於ける態度に対して、間接的にイタリヤを非難しているものと考えられる。
又独逸が今回の露国国債を拒絶したのは、アルゼシラス会議に於ける露国の態度に対して不満の表示をしたものと信じられている。
4月19日
独逸電報論評 英仏両国の新聞は独帝の電報を誤解している。
独逸電報論評 16日ベルリン特約通信員発
英仏両国の新聞が、オーストリー外相ゴルホウスキー伯に送った独帝の電報を以て、暗にイタリヤを誹謗したものと解釈している。しかしこれは独帝の電報を誤解したものである。
イタリヤの国民も最初はこの電報に対して、多少は激昂したけれども、その後、一般の感情は一変している。
4月20日
日本労働者問題 アラスカの缶詰製造所に使用する為、ハワイの日本人を雇い入れたが、これが労働法に違反している
日本労働者問題 18日サンフランシスコ特約通信員発
アラスカの缶詰製造所に使用する為、ハワイのホノルルから契約により、日本人を雇い入れたが、これが労働法に違反している疑いがあるとして、米国人の激昂を惹起している。同法は、一カ月に2千人以内の人夫の入国を許可しているが、今回は制限を超えている様である。
4月21日
震災の区域サンタ、ロオサ市も地震と火事の為に破壊され、千名の死者が発生した。
又々戸惑い論 我が政府が、奉天を6月1日、安東懸、大東溝を5月1日に開放する様清国に照会した。
震災の区域(甚だ広し) 20日ロンドン特約通信員発
サンフランシスコ来電―サンタ、ロオサ市も地震と火事の為に破壊され、千名の死者が発生した。その他5カ所の都市も破壊された。(サンタ、ロオサ市は、サンフランシスコから北北西約50マイルにある)
又々戸惑い論 20日北京特派員発
我が政府が、奉天を6月1日、安東懸(あんどうけん)、大東溝(だいとうこう)を5月1日に開放する様清国に照会したのに対して、一部の大官は、満州解放の期日は、清国が決定すべき事であるのに日本が勝手に解放時期を列国に約束している。これは清国の主権を犯したものであるとして、解放を妨害しようとする者が居る。
4月22日
仏蘭西人の杞憂 仮令如何なる犠牲を払ってでも、強い同盟国を引き入れなければ、日本の侵略を防ぐ事は困難である。
佛国の罷工騒動 同上
ノールリエ炭坑の同盟罷工は、荒れ狂っており、軍隊と衝突した。
仏蘭西人の杞憂 20日ロンドン特約通信員発
ボアロン大将は、インドシナ視察の帰途、マルローに於いて記者会見を行い、次の様に述べた。本国と同じような気候であるリアンバン山に、風土に合った兵営を建築すべきであると政府に建議する事を決心した。又仮令如何なる犠牲を払ってでも、強い同盟国を引き入れなければ、日本の侵略を防ぐ事は困難である。そして今後は、土人を訓練して予備隊を編成する予定で、彼らの忠実は十分信用できる。
佛国の罷工騒動 同上
パリー来電―ノールリエ炭坑の同盟罷工は、荒れ狂っており、軍隊と衝突した。無政府党員や扇動者も参加するようになり、危険な情勢となってきた。当局大臣は、現地に出発しようとしている。
4月23日
桑港震災戦後策 住むに家無く、飢餓に悩んでいる者が30万人居り、警官は、得られる限りの食糧を調達して、十分に配布している。
ネボガトフ弁明 露国の敗将ネボガトフ提督ハ、ペテルスブルグ新聞に「降伏始末」と題する一文を公にしたがその大要は次のとおり。
桑港震災戦後策 22日上海経由ロンドンロイター社発
最早、現在の望みは、サンフランシスコ市街の4分の1を焼失から守る事である。
住むに家無く、飢餓に悩んでいる者が30万人居り、警官は、得られる限りの食糧を調達して、十分に配布している。
米国政府は、災害地に近い市場に於ける食料の買収を命令した。且つ最も適当な救済手段の調査に着手する為、当該大臣を派遣した。
ネボガトフ弁明
露国の敗将ネボガトフ提督ハ、ペテルスブルグ新聞に「降伏始末」と題する一文を公にしたがその大要は次のとおり。
一、ニコライ一世の12インチ砲は、前日に破損して使用不能、その他の砲は、敵に対して威力が無い。
二、予の手に残っているのは4隻の装甲艦とイズムルドのみ、敵の27隻の戦艦と無数の水雷艇に包囲されつつある。
三、我が艦隊の砲の射程は、50ケーブルで、又敵の照準は確実であり、我が艦隊の射撃は効果が無い。
四、我が艦隊の士気は、非常に衰えている。
五、敵は、我が艦隊を海底に沈める決心をしており、子らは数分後に行われる。
以上の五件は、余をして艦隊の人員を救う途が無いと決心させた。
1899年発布、海軍法規第354条に
無益の人命損失を避けるため、次の条件下では、降伏する事が出来る。
各士官の同意があり、砲弾が尽き、防御材料が尽き、砲は効力を失い、艦船は沈没し、
司令部は短艇或いは陸岸に移す事が出来ない時
余の行った一切は、法律の命じるところである。
4月24日
佛国政府不人気 石炭坑夫の罷工騒動を鎮圧する為に政府の取った措置が不十分である
桑港震災後報 海辺の火災は、今やっと鎮火する事が出来た。
佛国政府不人気 23日ロンドン特約通信員発
パリー来電―石炭坑夫の罷工騒動を鎮圧する為に政府の取った措置が不十分であるとして、政府の人気は非常に低くなり、次の総選挙では、政府側の投票が大幅に減少する情勢である。
桑港震災後報 (列車開通、銀行営業開始) 23日上海経由ロンドンロイター社発
海辺の火災は、今やっと鎮火する事が出来た。
渡船は無事で、列車はサンフランシスコまで通じた。同市は25万マイルが灰燼に帰した。
銀行は水曜日から営業を開始する予定であり、サンフランシスコ郵便局の郵便物は全部被災を免れた。
4月25日
桑港震災後報 サンフランシスコでは、次々と復旧工事が始まっている。
本日までに発見された死者の総数は、約500名であるが、この上どの位増えるかは未だ全く予想がつかない。
南昌教案と英仏 24日上海特派員発
英仏公使は、清国外務部と南昌教案に対する交渉を開始した。
桑港震災後報 24日上海経由ロンドンロイター社発
サンフランシスコでは、次々と復旧工事が始まっている。
本日までに発見された死者の総数は、約500名であるが、この上どの位増えるかは未だ全く予想がつかない。
評価に堪能な者の計算によれば、今回の震災に於ける損害の総額は、約6億円で在り、この内保険入っていたもの約3億5千万円と言われている。
ここに注目すべきは、鋼鉄造りの高層建築は、有名なコール新聞社を始め、内部には多少の損傷を受けたものの、外部は完全に無事であった事である。
南昌教案と英仏 24日上海特派員発
英仏公使は、清国外務部と南昌教案に対する交渉を開始した。
英国は、単に3万両(テール)を要求するだけで、決着すると思われるが、佛国は、江西(こうせい)巡撫(じゅんぶ)、布政使(ふせいし)、安察使(あんさつし)に対する上諭(じょうゆ:君主が諭す事)の処分をされたのに不満足で、更に南昌(なんしょう)知府(ちふ:府の長官)、新建懸知懸(ちけん:懸の長官か)並びに参将(さんしょう)1名も更迭し、3名の紳士を懲罰する事、73万5千両を賠償すること、紳士等は教会に来て、謝罪し、亡くなった宣教師の為に記念碑を建設する事等を要求した。外務部はこの要求に対して反発している。
解説:明治39年2月29日、4月1日に関連記事がある。
4月26日
桑港の日本人 ワシントンが震災の際、居留外国人の中で、日本人ほど多量に荷物を運び出した人は居ない。
三国同盟と独伊 イタリヤ政府は、三国同盟問題に関して、独逸政府と協議する事を好まない様子がある
桑港の日本人 24日ワシントン特約通信員発
ワシントンが震災の際、居留外国人の中で、日本人ほど多量に荷物を運び出した人は居ない。その理由は、荷造りが素晴らしく機敏な為であり、死亡者も他国の居留民に比べれば、至って少ない。
遭難の日本人は、何れも労働救済会から本国並みに、他の外国人と全く同様の取扱を受けている。
死亡者は、総計で1500名と推定される。
三国同盟と独伊 24日ベルリン特約通信社発
イタリヤ政府は、三国同盟問題に関して、独逸政府と協議する事を好まない様子があるが、これは独逸の同情を引き出そうとする意図が明白に伺える。
4月27日
独逸公使の手際 独逸公使ムンム男爵は、清国に於いて非常に成功したという事が出来る。
桑港震災御救恤 陛下には桑港震災の惨状を思召され、御救恤金を御下賜される。
独逸公使の手際 26日ロンドン特約通信員発
北京来電―独逸公使ムンム男爵は、清国に於いて非常に成功したという事が出来る。しかし支那人は、独逸守備隊の一部引揚を以て、独逸皇帝の友情に帰せず、完全に財政上の理由に基づくものであると解釈しており、今もなお独逸の政策に信用を置いていない。
桑港震災御救恤 内国電報(26日発)
陛下には桑港震災の惨状を思召され、昨日次の様な御救恤(きゅうじゅつ)金を御下賜される旨の御沙汰があったとお聞きしている。
一金 20万円 米国震災地へ
西園寺外相は、直ちに啓志を米国大統領電報したと言われている。
4月28日
支那人疎外 在留支那人には救助手当を与えなかった為、清国人が非常な不満を訴えていた
パリーの警戒 パリーに於いては、5月1日ゼネストが行われるとの予想で
支那人疎外(大統領の是正) 26日ニューヨーク特派員発
サンフランシコ来電―在留支那人には救助手当を与えなかった為、清国人が非常な不満を訴えていたが、この時早くも大統領ルーズベルト氏の知るところとなった。その為26日サンフランシスコ市で取り扱い始めた救助の手続きを、赤十字に移すことになった。今回の場合、人種の差別があってはならず、とかく偏狭なサンフランシスコ人の処置は、実に卑劣の極みであると非難する人も居る。
パリーの警戒 27日上海経由ロンドンロイター社発
パリーに於いては、5月1日ゼネストが行われるとの予想で、大規模な軍隊の警備態勢が取られつつあり、パリ―市中は未曾有の光景を呈している。
4月29日
米国義援金を断わる 米国大統領は、清国西太后から寄贈された震災救恤金十万両(テール)を受ける事を断わられた。
満州解放準備 奉天将軍趙璽巽(ちょうじそん)氏は、奉天停車場付近を居留地とする計画で、解放を準備中である。
米国義援金を断わる 28日上海経由ロンドン特約通信員発
米国大統領は、清国西太后から寄贈された震災救恤金十万両(テール)を受ける事を断わられた。但し西太后の好意は大統領の感謝するところである。
満州解放準備 28日北京特派員発
奉天将軍趙璽巽(ちょうじそん)氏は、奉天停車場付近を居留地とする計画で、解放を準備中である。追々安東懸大東溝でも解放準備に着手する予定である。又外務部に於いても、この解放に関して、税関吏を派遣して、開放規則について協議させる予定の様である。
4月30日
駐清英使の功労 ロンドンタイムスは、駐清英国公使サトー氏が、英蔵条約の談判を終了させた成功を深く祝賀して
埃土問題と佛国 佛国は、トルコとエジプト間の紛争に対して、誠実に英国を援助すべきである。
駐清英使の功労 29日上海経由ロンドンロイター社発
ロンドンタイムスは、駐清英国公使サトー氏が長い日時の苦心を経て、英蔵条約の談判を終了させた成功を深く祝賀して、これによってその在職期間に素晴らしい光栄を添えるものであると述べている。
埃土問題と佛国 同上
パリーのタン新聞は、社説で次のように述べている。
佛国は、トルコとエジプト間の紛争に対して、先日英国がアルゼシラス会議に於いて佛国を援助した様に、誠実に英国を援助すべきである。
解説:エジプトは埃及、トルコは土耳其と書かれている。