期日 | 日本関係 | 期日 | 露関係 | 期日 | 英米関連 | 期日 | その他 |
12月2日 | 米国大統領決意 | 12月16日 | 日露通商談判難局 | 12月9日 | 海豹密漁事件 | 12月1日 | 摩洛哥と佛国 |
12月3日 | 佛国新聞の誤解 | 12月28日 | 海戦降将処刑別報 | 12月12日 | 大統領と平和 | 12月2日 | 摩洛哥と佛国 |
12月5日 | 米国大統領の苦心 | 12月31日 | 露国極東艦隊 | 12月15日 | 米国の大艦新造 | 12月5日 | 摩洛哥の形勢 |
12月6日 | 米国大統領教書 | 12月17日 | 特別教書 | 12月8日 | 独領南阿守備 | ||
12月7日 | 教書と米国人 | 12月20日 | 玖馬合併の警告 | 12月13日 | 佛国政教分離問題 | ||
12月9日 | 桑港事件益々重大 | 12月27日 | 英国の日米観 | 12月14日 | 佛国政教問題 | ||
12月11日 | 排日運動益々猖獗 | 12月29日 | 玖馬形勢不穏 | 12月15日 | 独逸議会解散始末 | ||
12月12日 | 労働者の放言 | 12月16日 | 佛国政教紛憂 | ||||
12月20日 | 桑港の我が児童と訴訟 | 12月17日 | 加特力教派陰謀 | ||||
12月21日 | 大統領の鉄鎚 | 12月18日 | 教会干渉程度 | ||||
12月23日 | 日露談判現状 | 12月21日 | 伊国外交方針 | ||||
12月29日 | 排日問題情勢 | 12月22日 | 政教分離騒動後報 | ||||
12月25日 | 佛国の婦人選挙権運動 |
明治39年12月
12月1日
摩洛哥と佛国 佛国政府は、ツーロン艦隊をモロッコに派遣したのは、タンジールに停泊している艦隊と交代させるに過ぎない旨を通告した。
摩洛哥と佛国 ベルリン特約通信員発
佛国政府は、関係列国に対し、ツーロン艦隊をモロッコに派遣したのは、従来、タンジールに停泊している艦隊と交代させるに過ぎない旨を通告した。
尤もモロッコ駐屯の佛国軍隊は、モロッコ沿岸都市の騒乱を鎮定する業務に従事する予定であり、同国内地には、進入しないはずである。
12月2日
米国大統領決意 大統領ルーズベルト氏は、強制的にカルフォルニア州の各学校に、日本学童の入学を許可させる決心であり、
摩洛哥と佛国 佛国政府は、モロッコに於ける居留外国人を保護する事を唯一の目的として、全く侵略主義の政策を取る意思はない。
米国大統領決意 30日ワシントウン特約通信員発
大統領ルーズベルト氏は、強制的にカルフォルニア州の各学校に、日本学童の入学を許可させる決心であり、日本政府の主張は、条約により支持されるものであると明言している。
なお大統領は、強権を行使しても、その意図を遂行する決意であると信じられている。
摩洛哥と佛国 30日ベルリン特約通信員発
佛国外務卿ロシヨン氏は、代議員に於いて議員の質問に次の様に答えた。
佛国政府は、モロッコに於ける居留外国人を保護する事を唯一の目的として、全く侵略主義の政策を取る意思はない。そしてアルへシラス条約は、あくまでも維持されなければならない。
解説:アルヘシラス会議は、独逸皇帝の主張を退け、1906年モロッコに於けるフランスとスペインの優越権を認めた国際会議
12月3日
佛国新聞の誤解 佛国の諸新聞は、日本艦隊のサンフランシスコ訪問を以て、脅迫の意思を包蔵するものであると認めている。
佛国政府の廻章 佛国外務卿ビション氏は、列国に廻章を発して、佛とスペイン両国がモロッコに干渉せざるを得ない理由を説明
佛国新聞の誤解 1日ワシントン特約通信員発
米国陸海軍将校は、日本に戦意が無い事を確信しており、若し日本に戦意があれば、フィリピン、ハワイ、アラスカの占領を企てる筈であると明言している。
佛国の諸新聞は、日本艦隊のサンフランシスコ訪問を以て、脅迫の意思を包蔵するものであると認めている。
佛国政府の廻章 1日上海経由ロイター社発
佛国新聞タン紙の報道によれば、佛国外務卿ビション氏は、列国に廻章を発して、佛とスペイン両国がモロッコに干渉せざるを得ない理由を説明し、且つこれに対して何れの国にも異議が無い旨を通知した。
12月4日
独逸議会の激論 植民地問題に関し、社会民主党党首ベーベル氏は、タマラランドの反乱は、金鉱請負業者の仕業であると述べ、カメローンに於ける恐ろしい残虐な仕打ちを記載した書面を読み上げ
独逸議会の激論 3日上海経由ロイター社発
土曜日、独逸議会に於いて、植民地問題に関し、騒々しい論戦があった。社会民主党党首ベーベル氏は、タマラランドの反乱は、金鉱請負業者の仕業であると述べ、カメローンに於ける恐ろしい残虐な仕打ちを記載した書面を読み上げて、有罪将校の名を明らかにした。さらに小盗が絞殺されたのみで、植民省の官吏は、悉く法廷の審判を受けなければならず、且つ代議士3名の名を明らかにし、彼らは代議士の地位を濫用したと述べた。他の民主党代議士1名は、罪人を糾弾せよと怒鳴り、議事は遂に中止された。
12月5日
米国大統領の苦心 合衆国南部諸州の元老院議員及び下院議員は、大統領の態度を以て、暗に南部諸州に於ける国人の隔離学校に対する攻撃の意味も含むものと推察している。
摩洛哥の形勢 佛、スペイン両国は、アルビシラス条約に規定された治安保護の任務を履行しようとしている。
米国大統領の苦心(憲法問題と対日問題) 3日ワシントン特約通信員発
合衆国南部諸州の元老院議員及び下院議員は、大統領ルーズベルト氏が、カルフォルニア州の諸学校に強制的に日本学童の入学を許可させるために尽力中であるとの報道に接して、非常に激昂している様子である。彼らは、大統領の態度を以て、暗に南部諸州に於ける国人の隔離学校に対する攻撃の意味も含むものと推察している。
摩洛哥の形勢 4日ロンドン特約通信員発
パリー来電―モロッコ政府の権勢が日を追って衰退する事実を顧みて、佛、スペイン両国は、なるべく迅速に、軍艦及び軍隊をタンジールに派遣して、アルビシラス条約に規定された治安保護の任務を履行しようとしている。
12月6日
米国大統領教書 日本人帰化法を制定する事並びに外国人に対する条約上の義務の履行を強制する権利を合衆国政府に付与すべき事を説き
米国大統領教書(対桑港事件方針) 5日ロンドン特約通信員発
米国大統領の議会に対する教書は、高尚な精神と公明正大な主義を含めた稀有な教書である。
大統領は、教書に於いて、日本人の性質、事業に対して賛辞を並べ、且つ若し米国が日本人に対するに、日本が米国人に対するのと同様な礼儀を以てする事を怠るならば、これは,取りも直さず我が文明の劣等である事を自白する様なものであると述べ、日本人帰化法を制定する事並びに外国人に対する条約上の義務の履行を強制する権利を合衆国政府に付与すべき事を説き、尚自ら日本人にその権利を得させる為にあらゆる正当な方法や手段を尽くすであろうと述べた。
12月7日
教書と世論 当国の一流外交家は、何れも大統領の日本人事件に対する所見は正当であると言明した。
教書と米国人 カルフォルニア州民は何れも、大統領の教書に対して、非常に立腹している。
教書と世論 6日ロンドン特約通信員発
ワシントン来電―当国の一流外交家は、何れも大統領の日本人事件に対する所見は正当であると言明した。
バリー来電―ル、タン紙は、大統領の用いた語句を称揚した。
教書と米国人 6日上海経由ロイター社発
カルフォルニア州民は何れも、大統領の教書に対して、非常に立腹している。又南部諸州の国民は、人種問題に対して、深くカルフォルニア州民に同情を表した。
12月8日
独領南阿守備 独逸政府は、南西アフリカに5千の守備兵を永遠に駐屯させる計画を発表した。
摩洛哥問題 佛とスペイン両国の行動は、唯モロッコが無政府状態に陥る事を気遣って、これに備えるのみで、絶対に必要な場合でなければ、決して干渉を試みない方針である
独領南阿守備 7日ロンドン特約通信員発
ベルリン来電―独逸政府は、南西アフリカに5千の守備兵を永遠に駐屯させる計画を発表した。この為、今後15カ月間に要する費用は、950万ポンド乃至千万ポンドであり、兵士一人に付、平均480マルクの割合である。
解説:独逸領南西アフリカは、現在のナンビアで、喜望峰のある南アフリカの北側に位置している。ホッテントット族の反乱で有名であり、1907年から8年にかけての戦闘で、数万人の原住民と約2千名のドイツ兵が戦死している。
摩洛哥問題 7日上海経由ロイター社発
佛国代議院に於いて、社会党の党首ジョウレ氏は、モロッコ問題に関し、激しい言葉で政府を攻撃し、佛国は、モロッコの内地に引き込まれる恐れがあると発言した。これに答えて、外務卿ビション氏は、佛とスペイン両国の行動は、列国も是認しており、両国政府は、唯モロッコが無政府状態に陥る事を気遣って、これに備えるのみで、絶対に必要な場合でなければ、決して干渉を試みない方針であると明言した。そして代議院は、結局政府の政策を信任する旨決議した。
12月9日
桑港事件益々重大 完全にサンフランシスコの政治家(特に労働党)の連中が、好個の日本人問題を取り上げて、それによって人気を挽回しようとしていると述べている。
海豹密漁事件 今年の夏期、日本人は、合衆国の領海内に於いて、数千の海豹を捕獲した。
桑港事件益々重大 8日ロンドン特約通信員発
タイムス紙に届いたサンフランシスコ特電によると、同地の日本人排斥運動は、理由の無い人為的な不正行為であり、完全にサンフランシスコの政治家(特に労働党)の連中が、好個の日本人問題を取り上げて、それによって人気を挽回しようとしていると述べている。
サンフランシスコの市民は、現在、完全に思慮分別を失い、日本人は米国を危うくする者であり、この排斥運動を太平洋沿岸諸州に広めようと運動している。
海豹密漁事件 8日上海経由ロイター社発
ワシントン来電―プリビロフ群島に於ける日本人の海豹密漁事件を調査している調査員の報告によれば、今年の夏期、日本人は、合衆国の領海内に於いて、数千の海豹を捕獲した。その為に海豹は、以前数百万頭であったが、現在は18万頭と減少した。
解説:プリビロフ群島は、ベーリング海にあるアメリカ領の諸島であり、当時の日本では、アザラシ猟が盛んに行われ、皮と共に脂も灯火用として利用されていた。
12月10日
桑港事件形勢 日本人排斥運動は、全く原因の無い故意の悪事であり、完全に労働派の扇動に基づくものである。
桑港事件形勢 9日上海経由ロイター社発
タイムス紙のサンフランシスコ特派員は、日本人排斥運動について次の様に述べている。これは、全く原因の無い故意の悪事であり、完全に労働派の扇動に基づくものである。日本人は種々様々な恥辱を加えられているが、なお忍耐している。しかしながら日本人の暴行も多くなりかけており、形勢は危険になりつつある。
12月11日
排日運動益々猖獗 日本人排斥論者は、各鉄道会社を説得し、黒人に対すると同様に、日本人様に別に隔離された車両を備えさせようとしている。
鯡漁暫定条約 新ファンドランド島の政庁は、植民地の内政に帝国政府が干渉する権利は無いと抗議した
排日運動益々猖獗(汽車隔離運動) 10日ロンドン特約通信員発
ロンドンタイムスのサンフランシスコ通信員は、次の様に報道した。
排日運動は、益々その度を高め、日本人排斥論者は、各鉄道会社を説得し、黒人に対すると同様に、日本人様に別に隔離された車両を備えさせようとしている。
彼らは、集会を開いて大統領の教書を否認し、あらゆる手段を尽くして、排日的感情を鼓舞している。
鯡漁暫定条約 10日上海経由ロイター社発
新ファンドランドのニシン漁暫定条約に関する公文書が発表された。新ファンドランド島の政庁は、植民地の内政に帝国政府が干渉する権利は無いと抗議したが英国植民地大臣エルジン卿は、英帝国と外国と外国との関係に影響する問題については、本国政府がこれに干渉する権利がある旨主張した。
12月12日
労働者の放言 労働者の首脳は、千人の日本人が輸入されるのであれば、千個の殺人事件が生じるであろうと述べた。
大統領と平和 ノルウェー議会は、米国大統領ルーズメルト氏に高貴な平和賞を授与した。
労働者の放言 11日上海経由ロイター社発
タイムス紙に届いたサンフランシスコ電報によれば、サンフランシスコ市民は、今尚テントに住んでいる位で、サンフランシスコ市を再興する為には、緊急に労働者を必要とするにも拘わらず、労働者の首脳は、千人の日本人が輸入されるのであれば、千個の殺人事件が生じるであろうと述べた。
解説:今尚、市民はテントに住んでいるとあるが、サンフランシスコは、4月20日に大震災を受けている。4月23日に関連記事「桑港震災戦後策」がある。
大統領と平和 同上
ノルウェー議会は、米国大統領ルーズメルト氏に高貴な平和賞を授与した。
同国駐在の米国公使は、議会に謝意を表して、且つルーズベルト氏は、この賞金をワシントンにある常設工業平和委員会の設立に使用する予定であり、これは、工業会に於ける平和は、国際間の平和と同様に重要なためであると述べた。
解説:ノーベル賞は、1901年から始まっているが、平和賞の選定は、スウェーデンの機関ではなくノルウェー国会に委任されている。理由は諸説ありはっきりしないが、当時のスウェーデンとノルウェーは同君連合を組んでいたこと、またノルウェーは平和を探求する方針を国際的に表明していたこと、などが理由と考えられている。
(ウイキペデアより)
12月13日
摩洛哥不穏 間もなくキリスト教徒が進入してくる
佛国政教分離問題 法王使節モンタクニキ神父は、家宅捜査を受けた上に逮捕された。国境まで護送される筈である。
法王亦甚強硬 同上
佛国政教分離法がいよいよ実施されることになった為、法王庁は大変激昂している様子である。
摩洛哥不穏 12日ロンドン特約通信員発
タンジール来電―間もなくキリスト教徒が進入してくると思われるので、国民は、神聖戦争の準備を十分に行うべしとの布告がなされた。
解説:12月8日にモロッコの紛争に関する関連記事がある。
佛国政教分離問題 12日上海経由ロイター社発
パリーに於ける法王使節モンタクニキ神父は、家宅捜査を受けた上に逮捕された。国境まで護送される筈である。
佛国内閣会議は、早速、寺院財産の清算を行い、且つ5500名の神父に対して、兵役に就く事を求める決定を行った。
法王亦甚強硬 同上
佛国政教分離法がいよいよ実施されることになった為、法王庁は大変激昂している様子である。法王は、この問題の情勢について、自らも断固たる手段を採らざるを得なくなってしまった事を悲しみ、迫害に会おうとも、殉教者を出そうとも、私は、宗教と我が神の道を防護する事を辞せずと述べた。
12月14日
憲法改正論 若し各州が国家に対する各州の義務を理解していたなら、今回の様な連邦政府の干渉は不要である。
佛国政教問題 教会が若し戦闘を希望するならば政府は、あえてこれを避けず、これを避ける道は、唯彼らが法律に服従する事であると宣言した。
憲法改正論 13日ロンドン特約通信員発
ニューヨーク来電―国務卿ルート氏は、重大な関係がある演説を行い、次の様に述べている。若し各州が国家に対する各州の義務を理解していたなら、今回の様な連邦政府の干渉は不要である。そして連邦政府は、各州の法律に対する管理権を握る必要はない。
佛国政教問題 12日上海経由ロイター社発
佛国首相クレマンソウ氏は、代議院に対して、モンタグニ神父が放逐された理由を次の様に説明した。神父は、佛国の法律を遵奉しない事を訓示した一人の外国人、即ちローマ法王の命令を、佛国の神父に交付したと明言した。且つ教会が若し戦闘を希望するならば政府は、あえてこれを避けず、これを避ける道は、唯彼らが法律に服従する事であると宣言した。
12月15日
独逸議会解散始末 独逸帝国議会は、167票対178票の多数で、西南独領アフリカの叛乱鎮圧に関する追加予算3千万マルクを否決した。
米国の大艦新造 米国海軍卿は、ドレッドノートと同型で、更に強力な大型戦闘艦数隻の新造設計案を議会に提出した。
独逸議会解散始末 14日上海経由ロイター社発
独逸帝国議会は、167票対178票の多数で、西南独領アフリカの叛乱鎮圧に関する追加予算3千万マルクを否決した。この為首相ビューロー公は、直ちに議会解散の詔勅を朗読した。この投票が行われる前に、首相は、言葉を強くして、議員の愛国心に訴えようとしたが、遂にその効果は無かった。
米国の大艦新造 同上
ワシントン来電―米国海軍卿は、ドレッドノートと同型で、トン数2万2千トン、舷側の備砲がこれより更に強力な大型戦闘艦数隻の新造設計案を議会に提出した。
解説:明治39年10月8日にドレッドネートに関する記事『最速最良の戦艦』がある。
12月16日
日露通商談判難局 日露通商条約談判に関して、露都に於ける信頼すべき筋から得た情報によれば、日本の要求を、列国の判断に訴えるべきであるとの議論が露国政府の一部に唱えられ始めたと言われている。
佛国政教紛憂 数名の神父及び多数の学校付き神父は、小紛争の内に、佛国内の住所から放逐された。
日露通商談判難局 25日ロンドン特約通信員発
日露通商条約談判に関して、露都に於ける信頼すべき筋から得た情報によれば、日本の要求を、列国の判断に訴えるべきであるとの議論が露国政府の一部に唱えられ始めたと言われている。
ロンドンタイムスの露都通信員は、次の電報をしている。
日露戦争の再発を促す様な失策を繰り返す事は、万に一つも無いと思われるが、露国新聞が筆を揃えて、日本は、ポーツマス条約以外に露国が承服できない様な要求を提起したと報道した為、不安の念を引き起こしている。
佛国政教紛憂 15日上海経由ロイター社発
数名の神父及び多数の学校付き神父は、小紛争の内に、佛国内の住所から放逐された。
リオンの市民は、神父がその住まいを去ろうとする時、道路に跪いて、その祈祷を受けた。
又アルラでは、寺院が樹木等で柵壁を築いて防いだために、憲兵は、実力を行使して院内に入らざるを得なくなった。
12月17日
特別教書 外国人に関係する事件については、連邦政府が各州を管理する必要がある加特力教派陰謀 富裕層のカトリック教徒に勧告して、株式を暴落させようとした事が明らかになった外、様々な意外な事実が発見された旨佛国新聞は報道した。
特別教書 15日ワシントン特約通信員発
大統領ルーズベルト氏は、今週の初め、更に特別教書を議会に送り、外国人に関係する事件については、連邦政府が各州を管理する必要がある事を改めて宣言すると思われる。
加特力教派陰謀 15日上海経由ロイター社発
ローマ法王の代表者であるモンタンニ監督の邸宅に於いて、警官が差し押さえた書類によれば、監督は佛国のある政治家等と陰謀を企て、又世論を扇動する為、富裕層のカトリック教徒に勧告して、株式を暴落させようとした事が明らかになった外、様々な意外な事実が発見された旨佛国新聞は報道した。
12月18日
教会干渉程度 佛国政府は、殆ど教会における礼拝や祈祷に干渉する事は無い。
江西暴動現状 実際は、暴徒の勢力は衰える模様も無く、今や返って各地に蔓延している。彼らは、その通過地の人民を騒がさず、唯武器や糧食を求めるのみ
教会干渉程度 17日上海経由ロイター社発
佛国政府は、殆ど教会における礼拝や祈祷に干渉する事は無い。これは、神父が法王庁に服従すべき義務があるとはいえ、現法王の政策には賛成していないと信じているからである。
15戸の監督住宅及び28個の宗教学校が昨日閉鎖された。
江西暴動現状 17日上海特派員発
江西の匪賊に関する官軍側の電報では、或いは撃退したとも或いは数千名を捕縛、惨殺したとも次々と様々な報道がある。しかし実際は、暴徒の勢力は衰える模様も無く、今や返って各地に蔓延している。彼らは、その通過地の人民を騒がさず、唯武器や糧食を求めるのみで、殺害されるのは地方団練の紳士のみであり、岑春煊(しんしゅんけん)の官邸は焼かれ、その勢力を侮る事は出来ない。
江西巡撫は、16日又も陸軍2営を派遣した。
解説:地方団練とは、地方の地主が編成した部隊
岑春煊は、西太后の信任を得て昇官した政治家で袁世凱と対立していた。
陸軍の1営とは、 約500名程度の部隊と思われる。
12月19日
北満州解放 清国政府は、明年1月14日から、吉林、長春、満州里及び哈爾濱(はるぴん)等を開放する
中清暴動の原因 江西、湖南両省に於いて暴徒が蜂起した原因は、(一)炭坑に於ける坑夫の賃金が減少した為に坑夫が激怒した
北満州解放 18日北京特派員発
清国政府は、明年1月14日から、吉林、長春、満州里及び哈爾濱(はるぴん)等を開放する旨、本日18日夜、我が公使に通告して来た。これは、露清交渉の一部が終了した結果であると推察される。
中清暴動の原因 同上
江西、湖南両省に於いて暴徒が蜂起した原因は、(一)炭坑に於ける坑夫の賃金が減少した為に坑夫が激怒した(二)湖南一帯の米価が高騰して、貧民が米を得難くなった(三)集会中の坑夫が罪に問われ、重い罪を科された事を恨んだ為であり、革命党と気脈を通じていたと言われている様な事は、浮浪者の噂に過ぎない。
12月20日
玖馬合併の警告 キューバ問題について、紛争が依然として継続する場合には、米国は同島を合併する事もあり得る旨を宣言した。
桑港の我が児童と訴訟 サンフランシスコ問題について、カルフォルニア州裁判所に、条約違反の訴訟を提起する準備が、いよいよ整った
玖馬合併の警告 18日ベルリン特約通信社発
米国陸軍卿タフト氏は、キューバ問題の顛末を議会に報告し、紛争が依然として継続する場合には、米国は同島を合併する事もあり得る旨を宣言した。
桑港の我が児童と訴訟 19日付内国電報
サンフランシスコ問題について、青木某を原告として、カルフォルニア州裁判所に、条約違反の訴訟を提起する準備が、いよいよ整ったので、近日中に、法廷に提出する事になると思われる。尚迫害を受けた本邦の児童90余名は、現在のところ、領事館及び日本人協会の有力者で教育機関を組織して、相当の学業を授けていると言われている。
12月21日
大統領の鉄鎚 大統領ルーズベルト氏は、兵力を用いても、日本人の権利を保護する決意である旨を宣言した。
伊国外交方針 イタリアは、三国同盟の維持を希望するが、しかし同時に佛国とも友好な関係を維持しなければならないと明言し
大統領の鉄鎚 19日ワシントン特約通信員発
大統領ルーズベルト氏は、サンフランシスコに於ける日本学童問題に商務卿の報告を議会に転送し、同時に特別教書を送り、連邦政府は兵力を用いても、日本人の権利を保護する決意である旨を宣言した。
この特別教書の草案は、非常に激烈なものであったが発表される際には、相当穏やかなものに修正されたと言われている。
伊国外交方針 18日ベルリン特約通信社発
伊国外相チトニ氏は、代議員に於いて、次の演説を行った。
イタリアは、三国同盟の維持を希望するが、しかし同時に佛国とも友好な関係を維持しなければならないと明言し、猶又独、オーストリア、イタリアとの間に異論があるとの噂を打ち消した。
解説:イタリアは、オーストリアとの間に南チロルやトリエステ等の「未回収のイタリア」と呼ばれる領土問題があった。そのため三国同盟には無理な側面があり、1902年ドイツがフランスを攻撃してもドイツに味方をしないという秘密の協約を結んだ。1015年イギリスとの間で「未回収のイタリア」をイタリアのものとする秘密条約を結び、第1次世界大戦では、連合国側で戦った。
12月22日
流言否認 日本艦隊は、昨年発生したサンチャゴに於ける米艦メーン号の爆発事件に鑑み、サンフランシスコ寄港を見合すと云う訓令を受けたとの風説があった。
政教分離騒動後報 佛国に於いて、今日までに明け渡しを終了した宗教施設は、105カ所であり
流言否認 20日サンフランシスコ特約通信員発
日本艦隊は、昨年発生したサンチャゴに於ける米艦メーン号の爆発事件に鑑み、サンフランシスコ寄港を見合すと云う訓令を受けたとの風説があった。これに対して上野領事は、艦隊がこの様な訓令を受けた事は断じて無いと語り、且つ日本艦隊は、サンフランシスコに於いて、何らの危害も受ける事は無いであろうと明言した。
政教分離騒動後報 20日上海経由ロイター社発
佛国に於いて、今日までに明け渡しを終了した宗教施設は、105カ所であり、その中に34カ所の監督住宅が含まれている。
又昨日ナントでは、神父の追放に際して、暴民と憲兵が衝突し、多数の者が捕縛された。
12月23日
日露談判現状 談判は、依然として行き悩みの状態である。両国の代表者は、先月19日以来、未だ一度も会議するに至っていない。
日露談判現状(目下行悩中)21日露都特約通信員発
談判は、依然として行き悩みの状態である。両国の代表者は、先月19日以来、未だ一度も会議するに至っていない。
両国の争点
信頼すべき筋からの情報によれば、公海(?)での漁業権及びシベリアにおける通商上の特恵措置に対する日本の要求は、共に露国が排斥している。露国の主張は、ポーツマス条約の規定は、領海の漁業権のみを規定しており、公海の漁業権についての規定は無い。又シベリアの貿易は、日本陸軍の勢力が及ぶ範囲でなく(誤字の為意味不明)との主張である。
これに対して日本の主張では、露国のポーツマス条約に対する解釈は、あまりにも狭すぎ、到底正常資する事は出来ないとしている。
12月24日
佛国の潜航艇 佛国海軍卿は、他の海軍国を一歩リードする為に、500トンの潜航艇(複数)を建造しようとしていると明言した。
独亜総督帰独 独領西南亜弗利加総督フリリードリッヒ、フォン、リンデグイスト氏は、ロンドンからベルリンに帰った。氏は、ロンドンに於いて、その任地の国境地警察隊に関し、英国と交渉していた。
佛国の潜航艇 22日ベルリン特約通信社発
佛国海軍卿は、元老院に於ける演説で、佛国は、他の海軍国を一歩リードする為に、攻撃用の兵器として、500トンの潜航艇(複数)を建造しようとしていると明言した。
独亜総督帰独 同上
独領西南亜弗利加総督フリリードリッヒ、フォン、リンデグイスト氏は、ロンドンからベルリンに帰った。氏は、ロンドンに於いて、その任地の国境地警察隊に関し、英国と交渉していた。
解説:ドイツは、イギリスの植民地である南アフリカの北側に植民地を持っていた。
12月25日
日露談判の昨今 露国政府は、自国の国庫に損失を与えずポーツマス条約上の義務を履行する事を誠実に希望しており
佛国の婦人選挙権運動 佛国に於いては、英国社会党の例に倣って、婦人に選挙権を与える運動が開始された
日露談判の昨今 24日ロンドン特約通信員発
露都来電―信頼すべき報道によれば、露国政府は、自国の国庫に損失を与えずポーツマス条約上の義務を履行する事を誠実に希望しており、日本が漁業権問題の細目に対して、もっと細心の考慮を払う必要がある事を悟らなければならないと信じている。
解説:12月23日に関連記事がある。
佛国の婦人選挙権運動 同上
パリー来電ー佛国に於いては、英国社会党の例に倣って、婦人に選挙権を与える運動が開始された。代議士は、同法案を議会に提出する事に同意し、各新聞紙は、真面目にこの問題を論評した。
12月26日
独逸政情 総選挙の結果は、面白くない状勢の様であり、政府の考えが当を得たものであるかどうか、今や真面目な研究の題目である。
奉天商業会議所 近い内に領事館令を発して、一つの商業会議所を設け、支那商人の団体である公議会と連絡を取ることになっている。
独逸政情 25日ロンドン特約通信員発
ベルリン来電―総選挙の結果は、面白くない状勢の様であり、政府の考えが当を得たものであるかどうか、今や真面目な研究の題目である。そして議会が未だ成立していない現在、既に財源を作って必要な経費に充てることが必要との議論が既に行われている。
解説:12月15日「独逸議会解散始末」の記事がある。
奉天商業会議所 25日奉天特派員発
従来、奉天に居る日本商人は、協力して互いに利益を図る為の機関が無く、各々が孤立している結果、事業の発達を害することが少なからずあった。その為近い内に領事館令を発して、一つの商業会議所を設け、支那商人の団体である公議会と連絡を取ることになっている。
12月27日
英国の日米観 我々は、日本の同盟国であり、また合衆国の親戚である者は、あの不幸なカルフォルニア事件を直視することができない。
法王の告諭 予及び諸子にフランスに於いて我が同僚が受けている迫害の一部でも受けるよう念じたいと思う
英国の日米観 26日上海経由ロイター社発
タイムスは、次の社説を掲げている。
現在の国際関係で、唯一暗雲が晴れたのは、
新世界のみである。我々は、日本の同盟国であり、また合衆国の親戚である者は、あの不幸なカルフォルニア事件を直視することができない。両国政府の間には、現在の所、激しい破裂が近く迫っている理由は無い。日本の流星的な急速な進歩は、将来の最大問題の一つである東西両人種の対立という問題が、今や我らの戸口にその姿を現してきた。
法王の告諭 同上
ローマ法王は、クリスマスに際して、法王庁の職員に対して次の演説を行った。
余は今、諸子に何ら吉報を与えられない事を残念に思う。予及び諸子にフランスに於いて我が同僚が受けている迫害の一部でも受けるよう念じたいと思う。
12月28日
海戦降将処刑別報 対馬海戦で降伏したネボガトフ、スミルノフ、グリコリエフ等は、死刑の宣告を受けた
海戦降将処刑別報 27日浦潮特派員発
対馬海戦で降伏したネボガトフ、スミルノフ、グリコリエフ等は、死刑の宣告を受けたが、皇帝の命により10年の禁固に減刑され、クロスは4年、ウイテルニックは3年の宣告を受け、アリヨール艦長以下は無罪となった。
解説:ネボガトフ少将は、第2太平洋艦隊(司令長官ロゼストウェンスキー中将)指揮下の第3装甲艦戦隊(旗艦ニコライ一世)司令官であった。スミルノフ大佐は、旗艦ニコライ一世の艦長であった。
12月29日
排日問題情勢 中央政府は、方針を一変し、訴訟以外の方法で、学童問題を解決するのではないかと言われている。
玖馬形勢不穏 キューバの情勢は、益々不穏となり、米国軍隊は、遂に干渉せざるを得ない事態となった
排日問題情勢 28日桑港特派員発
検事召還 検事レゾリン氏は、総長の召還によりワシントンに赴いた。
学務課員招集 なお大統領ルーズベルト氏は、更にサンフランシスコ学務課員数名を、近日中に招集するであろうと言われている。これに対して、学務課員は命令であれば赴くが、譲歩の余地はないと明言している。
中央政府の方針 中央政府は、方針を一変し、訴訟以外の方法で、学童問題を解決するのではないかと言われている。
玖馬形勢不穏(米国政府の干渉) 27日ベルリン特約通信社発
キューバの情勢は、益々不穏となり、米国軍隊は、遂に干渉せざるを得ない事態となった。そして米国政府は、更に軍隊を増派中である。
12月30日
海軍處編成 海軍部は、当分陸軍部に属させることとし、その間海軍處と称する。
海軍處編成 29日北京特派員発
海軍處の編成は、次の様な大要である。
一 海軍部は、当分陸軍部に属させることとし、その間海軍處と称する。
一 海軍軍人、軍艦、船渠及び海軍学堂の事務を管轄する。
以下略
12月31日
馬賊討伐 過日、海龍城方面に向かった馬賊討伐隊は、その後日清の男女240名を捕縛し、
露国極東艦隊 露国は、明年秋、極東艦隊を極東に派遣したいと考えており、そして東洋艦隊は、全て新造艦で編成されるであろう。
馬賊討伐 30日鐡嶺特派員発
過日、海龍城方面に向かった馬賊討伐隊は、その後日清の男女240名を捕縛し、当地へ護送したがその内の支那人は、軍票の偽造者であった。
露国極東艦隊 30日内国電報
スウエト紙の報道によれば、露国は、明年秋、極東艦隊を極東に派遣したいと考えており、そして東洋艦隊は、全て新造艦で編成されるであろう。なお同新聞の報道では、露国艦隊の復活問題は、大蔵大臣が将来建造する艦型が確定するまで建造費の支出を拒絶している為、中断している。