期日 | 日本関係 | 期日 | 露関係 | 期日 | 英米関連 | 期日 | その他関連 |
1月15日 | 乃木大将の復命書 | 1月1日 | モククワ鎮定 | 1月9日 | 婦人参政権要求 | 1月6日 | 独逸の戦備 |
1月18日 | 帰朝中の末松男 | 1月3日 | 露国現状 | 1月12日 | 南ア支那人問題 | 1月12日 | モロッコ問題の魂胆 |
1月20日 | 凶作地の惨状 | 1月6日 | 騒乱鎮圧の惨虐 | 1月17日 | 英独関係の改善 | 1月27日 | モロッコ会議経過 |
1月23日 | 凶作地の請願 | 1月10日 | その後の露西亜津 | 1月26日 | フィリピン売渡問題 | ||
1月24日 | 独逸汽船と末松男 | 1月14日 | 露国国会開設期 | ||||
1月24日 | 凍死記念祭 | 1月25日 | 赤日曜 | ||||
1月27日 | 露国農民懐柔策 | ||||||
1月28日 | ウラジオの第争闘 | ||||||
1月30日 | ウラジオの現状 |
明治39年1月
1月1日
モククワ鎮定 モククワに於いては、秩序は完全に回復され、
露国公使の術策 露国公使ポコチロフは、密かに実力を以て北満州の経営を実行しようとする計画であれば露清間の交渉は何時になるか不明である。
モククワ鎮定 31日上海経由ロンドンルータス社発
モククワに於いては、秩序は完全に回復され、商業、交通共に平時の如く行われる様になった。
露国公使の術策 31日北京特派員発
当地外交社会の観察によれば、現在清国官民が露国にたして非常な悪感情を持っており、あくまで露国の勢力を満州及び蒙古から排除しようとする風潮が盛んである。露国公使ポコチロフは、この様な時に、清国と満州問題の交渉を開く事は最も不利である事を悟り、種々の口実を設けて交渉を遅らせ、もって清国官吏の排露感情の気勢を殺ぎ、出来るならば曖昧の裡に葬り、一方に於いて密かに実力を以て北満州の経営を実行しようとする計画であれば露清間の交渉は何時になるか不明である。
1月3日
第二の革命戦準備 職工会議は、月曜日の同盟罷業を中止し、更に武装を整えた大規模な一揆を組織する事を決議した。
露国現状 モスコーの反乱は鎮定した。この乱の為に受けた財産上の損害は莫大である。
モスコーの鎮定結果 モクコー叛徒の壊滅は、早速ピータスブルグに影響し、同地の罷業者は12月31日から再び就業した。
第二の革命戦準備 31日ワシントン特約通信員発
ピータスブルグにある職工会議は、月曜日の同盟罷業を中止し、更に武装を整えた大規模な一揆を組織する事を決議した。彼らは、十分に準備が整わない内に、ウイッテによって革命を強いられたと主張した。
露国現状 露帝の癲癇 1日ロンドン特約通信員発
モスコーの反乱は鎮定した。この乱の為に受けた財産上の損害は莫大である。
オデッサに於いて1月22日を期して、新同盟罷業をしようとして、目下その準備に苦心惨憺としている。
露都からの報道によれば、露帝は現在癲癇(てんかん)に罹っているとの事である。
南露ドネッツの鉱夫等は二個連隊の兵器を取り上げた。
モスコーの鎮定結果 1日上海経由ロンドンルータス社発
モクコー叛徒の壊滅は、早速ピータスブルグに影響し、同地の罷業者は12月31日から再び就業した。
露国政府はモスコーの叛徒を打ち破った結果、これで革命の運動に対抗できると信じた。
1月5日
英国首相の演説 バルフォーワ氏は、リー・シトンに於ける熱烈な長い演説で、南アフリカのラント鉱山に於ける支那人労働者の使用を擁護した。
独逸の弁解 佛国は独逸がモロッコ問題に対して積極的な態度を取る事を危惧していた
1月6日
独逸の戦備 独逸は、佛国との開戦に対して既に準備を整えている。
騒乱鎮圧の惨虐 モスクワの反乱を鎮圧した結果、莫大な数の革命党員が殺傷され、或いは捕縛された。その他の地方に於いても騒動の鎮圧はただ時間の問題だけである。
独逸の戦備 4日ワシントン特約通信員発
独逸は、将来起こるであろう佛国との開戦に対して既に準備を整えている。
騒乱鎮圧の惨虐 5日上海経由ロンドン特約通信員発
ピータスブルグの官報の情報によれば、モスクワの反乱を鎮圧した結果、同市では革命党の勢力を永遠に撲滅する程、革命党員の殺傷され、或いは捕縛された者が莫大な数となった。その他の地方に於いても騒動の鎮圧はただ時間の問題だけである。軍隊の忠誠はモスクワに於いて最も重要な教訓となっている。
バルチック諸州の鎮圧も着々と進行中であり、列車の運行を拒否した駅長は全員オルロフ将軍の手によって絞首刑に処せられた。
1月7日
露国小康 同盟罷工をしていた労働者は皆その職に就いた。モスクワに於いては、至る所で革命党員の捕縛が尚継続している。
其後の露西亜 依然として同国各地の状態は容易でなく、革命運動は決して完全に鎮定されたのではない
露国小康 6日上海経由ロンドン特約通信員発
同盟罷工をしていた労働者は皆その職に就いた。モスクワに於いては、至る所で革命党員の捕縛が尚継続している。露国皇帝は軍隊の忠実な働きに対して感謝の意を述べた。
其後の露西亜 6日上海経由ロンドンルータス社発
露国からの通信によれば、依然として同国各地の状態は容易でなく、革命運動は決して完全に鎮定されたのではないと報告している。
1月8日
米国政府の警戒 支那に暴動が発生する事を予期して、マニラの駐屯兵を移動させようとしている。
モロッコ問題と米国 米国の委員は、佛独の衝突を防止し、且つ門戸開放主義を維持すべき旨の訓令を帯同している。
南ア支那人問題 植民大臣エルボン卿が、南アに於ける支那人労働者の入国を拒否する事は、不法な行為であり
米国政府の警戒 7日ワシントン特約通信員発
米国政府は、支那に暴動が発生する事を予期して、予防の為現在マニラの駐屯兵を移動させようとしている。
モロッコ問題と米国 7日上海経由ロンドンルータス社発
モロッコ会議に参加する米国の委員は、佛独の衝突を防止し、且つ門戸開放主義を維持すべき旨の訓令を帯同している。
南ア支那人問題 同上
スタンダード新聞は、植民大臣エルボン卿が、南アに於ける支那人労働者の入国を拒否する事は、不法な行為であり、この様な措置を断行する事は、独り枢密院の専権に属するとのある法律家の意見を掲載した。
1月9日
婦人参政権要求 英国の婦人が選挙権を要求して、保守党の会合を妨害しつつ
モロッコ会議と伊国 イタリ―は、仏伊両国の融合を図る
婦人参政権要求 8日ロンドン特約通信員発
英国の婦人が選挙権を要求して、その真面目な要求により保守党の会合を妨害しつつある間は、同党の演説会は一回として聴衆の喧騒的妨害を免れる事はないであろう。
モロッコ会議と伊国 7日ベルリン特約通信員発
イタリ―は地中海問題及び三国同盟の利害に関して、仏伊両国の融合を図る為にベノスエネヲゲシラスのモロッコ会議に参加させる予定である。
1月10日
露帝暗殺の陰謀 露帝が宮城外に出る時を狙って陛下を暗殺する計画がある
その後の露西亜 同盟罷工者はベルム及びカーザン等の地方に於いて一網打尽に捕縛された。
露帝暗殺の陰謀 9日ロンドン特約通信員発
露国政府の当局者は、露帝が宮城外に出る時を狙って陛下を暗殺する計画があるとの通告を、何者からか受けた。
その後の露西亜 同上
シベリア鉄道及びその線路沿いの重要な都市は、現在予備兵が占領している。
同盟罷工者はベルム及びカーザン等の地方に於いて一網打尽に捕縛された。
1月11日
英国の選挙演説 演説中の主要な題目となったのは、関税問題及び支那労働者問題であり、アイルランド問題も又一般にその中で論じられた。
露国内部沈静 ロシア内地は現在沈静化している。
英国の選挙演説 10日上海経由ロンドンルータス社発
昨夜は両派の首脳が何れも選挙演説を行った。演説中の主要な題目となったのは、関税問題及び支那労働者問題であり、アイルランド問題も又一般にその中で論じられた。
バルフォール氏はマンチェスターに於いて、長時間支那人の問題を論じ、自由派は未だかって現組織を変更しようとした事も無く又変更を敢てするような事はしないであろうと公言した。
露国内部沈静 9日ベルリン特約通信社発
暴徒に対する政府の厳格な処置により、ロシア内地は現在沈静化している。
1月12日
コーカサスの形勢 コーカサス地方の形勢は非常に不安定であり、革命党員は爆発物によって多数のコサック兵を殺害しており
モロッコ問題の魂胆 佛国政府の提議する改革案では、モロッコに対する佛国の完全な管理権を要求している。
南ア支那人問題 植民大臣は、既に許可した支那人1万4千人の乗船を差し止める為あらゆる措置を取るよう訓令したが、セルボルン氏の強烈な異議を受けて終に乗船許可の電報を発信した。
コーカサスの形勢 10日ロンドン特約通信員発
コーカサス地方の形勢は非常に不安定であり、革命党員は爆発物によって多数のコサック兵を殺害しており、又若干のイスラム教徒がアルメニヤ人の為に殺害されたとの警報がコンスタンチノーブルに届いた。
モロッコ問題の魂胆 上海経由ロンドンルータス社発
モロッコ問題に関する独逸政府の議院公書が発表され、この公書によればモロッコ王は、佛国が同国の指名者となる事を要求中である旨を明白に独逸の代表者に告げている様である。
欧州の各地から到達する報道によれば、モロッコ会議で論争を引き起こすと思われる諸々の事項があり、即ち佛国政府の提議する改革案では、モロッコに対する佛国の完全な管理権を要求している。
宰相ビューロウ公は、独逸がモロッコ問題に関して列国会議を要求した理由を説明し、よって列国の利益を防衛したい考えを主張している。
南ア支那人問題 同上
英国政府は、南ア支那人問題に関する往復文書を発表した。植民大臣は、既に許可した支那人1万4千人の乗船を差し止める為あらゆる措置を取るよう訓令したが、セルボルン氏の強烈な異議を受けて終に乗船許可の電報を発信した。
首相パナマン氏は、リバプールに於ける演説で、一旦許可した支那人の入国を取り消す事が出来ない事を遺憾とし、また昨年11月新たに入国を許可された1千3百名の支那人労働者については、なお調査を要する件があり、政府は現在南アに居る責任者の通報を待っている旨を明言した。
39年1月13日
露国政局の変転 露国政府は自由主義の政策を放棄する意思があり
露国政局の変転 12日ロンドン特約通信員発
露国政府は自由主義の政策を放棄する意思があり、首相ウイッテ伯は革命運動を撲滅の為に満州軍に期待している様である。
1月14日
露国国会開設期 露国の国会は4月下旬迄開かれない様である。この延期に理由は投票権を拡張した結果、新たに投票人名簿調整に日時を要する為である。
モロッコと佛国 佛国は欧州列国に対して、モロッコ国に対する全権委任を得るよう主張している
露国国会開設期 13日ロンドン特約通信員発
露国の国会は4月下旬迄開かれない様である。この延期に理由は投票権を拡張した結果、新たに投票人名簿調整に日時を要する為である。
露国政府の告示によれば、国民の希望する国会は、国内に一つの同盟罷工も無く、又一つの騒乱が無くなり初めて開かれ、又国会に対して上院である帝国参議院は170名の議員を以て成立すると思われる。
モロッコと佛国 12日ベルリン特約通信社発
佛国は欧州列国に対して、モロッコ国に対する全権委任を得るよう主張しているが列国のこれに対する態度は皆反対のようである。
1月15日
乃木大将の復命書 斯くの如き忠勇の将卒を以て旅順の攻城には半歳の長日月を要し、多大の犠牲を供し
乃木大将の復命書 (抜粋)
斯くの如き忠勇の将卒を以て旅順の攻城には半歳の長日月を要し、多大の犠牲を供し、奉天付近の会戦には○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○又敵騎大集団の我が左側背に行動するに当り、これを撃破するの好機を獲ざりしは、臣が終生の遺憾にして恐愕措く能はざる所なり
今や閥下(けっか)凱旋し戦況を伏奏するの寵遇(ちょうぐう)を荷い恭しく部下将卒と共に、天恩の優渥なるを拝し顧みて戦死病没者にこの光景を分かつ能はざる所なり
解説:乃木大将は、「旅順の攻城に半年の長年月を要して多くの犠牲を出したこと、奉天会戦で敵をのがしたこと、さらにミシチェンコ騎兵集団を撃滅できなかったこと」の3点を奏上し、「臣が終生の遺憾にして恐愕措く能ざるところなり」と深く明治天皇にお詫び申し上げ、人目もはばからず号泣した。そして明治天皇は、この様に勝者の奢りを微塵も見せない乃木希典を愛し、学習院院長とし迪宮(後の昭和天皇)の教育を託した。
1月16日
威海衛の将来 英国は依然として威海衛の租借を継続したい意向である
威海衛の将来 15日北京特派員発
英国は依然として威海衛の租借を継続したい意向であるが、我が国が清国海軍の留学生を引き受けた事により、清国大官の間で海軍再建の話題が起こり、威海衛を英国から取り戻して軍港としたいとの意見が強くなっている。
1月17日
左もあるべし 「威海衛からの撤去を英国に要求するよう清国政府に勧告した」との報道は完全な誤報であった。
英独関係の改善 駐独英国大使は両国感情の行き違いは元来自然に反する現象であり、今や親密な感情が英独の間に現存する事を確信すると述べ
左もあるべし 15日ベルリン特約通信員発
先日東京朝日新聞が「駐清独逸公使が威海衛からの撤去を英国に要求するよう清国政府に勧告した」との北京発の電報を掲載したが、この報道は完全な誤報であった。
英独関係の改善 同上
英独の親善を図る為、ベルリンで開催された集会で、駐独英国大使は両国感情の行き違いは元来自然に反する現象であり、今や親密な感情が英独の間に現存する事を確信すると述べ、演説の終わりに臨んで、熱誠を面に表して、独逸皇帝及び皇后健康を祝した。これに対してシーメンス婦人は、来会者を代表して英国皇帝及び皇后の健康を祝し、一同杯を挙げてこれに和した。
1月18日
帰朝中の末松男 末松男爵は独逸汽船ツアイテン号の待遇について非常に深刻な苦情を訴えている。
帰朝中の末松男 17日上海経由ロンドンルータス社発
末松男爵はポートサイドから英国の新聞に投書して、男爵及びその他日本人の乗客に対する独逸汽船ツアイテン号の待遇について非常に深刻な苦情を訴えている。その原因は、航海中いつも日本人が最下等の船室と食卓を与えられた事による。
1月19日
英国総選挙大勢 今日までの結果、自由党134名、労働派24名、統一派52名が当選した。
英国正選挙と独仏 佛国の諸新聞は、今回の総選挙に於ける英国自由党の勝利を歓迎した。
英国総選挙大勢 18日上海経由ロンドンルータス社発
今日までの結果、自由党134名、労働派24名、統一派52名が当選した。その内自由党の得た新議席は65名、労働派の新議席は21名である。
英国正選挙と独仏 17日ベルリン特約通信社発
佛国の諸新聞は、今回の総選挙に於ける英国自由党の勝利を歓迎した。しかし独逸の諸新聞は自由党の勝利に過大な期待を持つべきでないと解説している。
1月20日
佛国大統領選挙と独逸 佛国新大統領ファリエル氏は第1回の投票に於いて449票を得た。
凶作地の惨状(福島) 郡部では餓死者数名が発生し、小学校に於いても登校した生徒が他人の弁当を盗み食べるまでになっている。
佛国大統領選挙と独逸 18日ベルリン特約通信社発
佛国新大統領ファリエル氏は第1回の投票に於いて449票を得た。氏の当選は独逸に於いて平和の象徴として歓迎されている。
凶作地の惨状(福島)
餓死者数名あり、生徒弁当を争う
凶作を救済する工事は至る所で行われているが、全員に行きわたる迄には至らず、昨今の寒風と降雪の為に一層の困難に陥っている。そのため郡部では餓死者数名が発生し、小学校に於いても登校した生徒が他人の弁当を盗み食べるまでになっている。なお餓死者、凍死者が続出する恐れもあり、窃盗、追剥等も非常に増加し、安全や秩序が破壊されようとしている。
1月21日
清国居留地経営 漢口及び天津に於ける独逸の居留地に町村制を設ける
阿片専売の議 台湾の制度に倣って阿片の専売を実行して、且つ英国と交渉して阿片の輸入を禁止
清国居留地経営 20日ベルリン特約通信社発
独逸国連邦会議は、漢口及び天津に於ける独逸の居留地に町村制を設ける権限を付与した。
阿片専売の議 20日北京特派員発
張之洞、周観、袁世凱の三氏及び岑春煊氏は、財政の利益と阿片の害毒を除く事を目的として、台湾の制度に倣って阿片の専売を実行して、且つ英国と交渉して阿片の輸入を禁止又は制限する事を上奏した。
1月21日
大連湾一部結氷 普通商船が停泊している海面が結氷して、本船と艀との交通が途絶した。
宮城県凶作惨状 同地の惨状は、日を追って加わり、山地方面では毎夜、夜逃げのため、空き家となるもの必ず二三戸がある。
大連湾一部結氷 20日大連特派員発
普通商船が停泊している海面が結氷して、本船と艀との交通が途絶した。しかし商船会社は荷役等に若干の不便があるがこれを我慢して、当分航海を継続するようである。この上若し一層厚く結氷する時には大桟橋の使用も不可能となるであろう。
宮城県凶作惨状
代議士星松三郎氏は凶作を視察する為、宮城県県下を旅行し、昨日帰京した。同地の惨状は、日を追って加わり、山地方面では毎夜、夜逃げのため、空き家となるもの必ず二三戸がある。又食物が不良の為、悪疫が流行して、その惨状は見るに忍び難いものがある。差し当たり救助金として金百円を寄付した。
1月23日
露国漸く静穏 露国各地からの電報は、一般に平穏なことを示している。
凶作地の請願 田租の特免を願う請願書を昨日、衆議院に提出した。
露国漸く静穏 22日ロンドン特約通信員発
露国各地からの電報は、一般に平穏なことを示している。バルト地方も静穏となりつつある。
凶作地の請願
宮城県柴田郡槻木町の日下長三郎外540名は議員村松亀一郎氏、同県黒川郡大衝村の早坂運之丞外340名は議員首藤陸三氏の紹介を持って、田租の特免を願う請願書を昨日、衆議院に提出した。
1月24日
佛独兵備の対抗 本年度の佛国陸軍予算は、昨年度に比べて136万フラン増加している。
独逸汽船と末松男 コロンボに到着した独逸汽船ツアイテン号の船長は、自分は今まで乗客の中に末松男爵が居る事を知らなかったと語った。
凍死記念祭(青森) 歩兵第五連隊補充大隊に於いて、本日凍死記念祭を行う。
佛独兵備の対抗 23日ロンドン特約通信員発
本年度の佛国陸軍予算は、昨年度に比べて136万フラン増加している。その説明では昨年に於ける独逸の陸軍費が佛国の5倍であり、佛国としては如何なる事変にも対応する必要があると述べている。
独逸汽船と末松男 23日上海経由ロンドンルータス社発
コロンボに到着した独逸汽船ツアイテン号の船長は、末松男爵に対して、出来るだけ丁重な待遇をする必要があったが、一等室は既に満員である為、最早日本の船客を入れる事が出来なかった。なお自分は今まで乗客の中に末松男爵が居る事を知らなかったと語った。
解説:1月18日に末松男爵が抗議している記事がある。
凍死記念祭(青森) 23日
歩兵第五連隊補充大隊に於いて、本日凍死記念祭を行う。
折柄吹雪が激しく、寒気が強くて参列者は皆当年の事を回想し、暗涙を催す。
解説:1902年に起きた青森第五連隊の八甲田雪中行軍遭難事件の慰霊祭が行われている。
1月25日
赤日曜 露国革命党の記念日の一周年記念日は露国の各地を通じて平穏であった。
モロッコ会議 モロッコに兵器を輸入し、或いは密輸入する問題は、列国委員の意見が一致する事になった。
赤日曜 24日上海経由ロンドンルータス社発
露国革命党の記念日である昨年1月の第4日曜日、即ち赤日曜(22日)の一周年記念日は、露国の各地を通じて平穏であった。
(備考)神父ガボンが露国の労働者を引き連れて、冬宮に押し寄せたのは、昨年の1月22日であり、実に露国に於ける革命運動の発端とも言うべき記念日である。
解説:1905年1月22日は、「血の日曜日」とも、又後に第1次ロシア革命といわれるようになった。昨年の第一報は次のように報道されていた。
「露都の暴動鎮圧 23日ベルリン特約通信社発
ピータースブルグにおけるデモ隊の活動は軍隊の力で鎮圧された。軍隊はデモ隊の群れに向かって数回一斉射撃を行い、多数の死者が発生したがその中に職工等の指導者であった僧侶「ガボン」がいた。」
モロッコ会議 23日ベルリン特約通信社発
モロッコに兵器を輸入し、或いは密輸入する問題は、面倒な議論の末にようやく列国委員の意見が一致する事になった。
1月26日
フィリピン売渡問題 米国政府がフィリピン群島を日本に売渡す気がある旨ロンドンタイムスが報道している。
フィリピン売渡問題 24日ベルリン特約通信社発
米国政府がフィリピン群島を日本に売渡す気がある旨ロンドンタイムスが報道している。
米国政府の意思は、フィリピン群島に対する日本政府の意図を探求する事であるとベルリンの外交社会は観測している。
この問題に関して、ベルリンには未だロンドンから何ら情報が無い。
1月27日
露国農民懐柔策 露国政府は、飢餓による農民の蜂起を防ぎ、且つ彼らに仕事を与える為に公共事業を起こすよう現在計画中である。
モロッコ会議経過 兵器輸入及び密輸入の防止に関する問題は無事決着した。
露国農民懐柔策 26日ロンドン特約通信員発
露国政府は、飢餓による農民の蜂起を防ぎ、且つ彼らに仕事を与える為に公共事業を起こすよう現在計画中である。その一つとして、ペテルスブルグから伝わってきた話によると、リガ市とケルソン市の間に運河を掘る議案がある。
モロッコ会議経過 26日ベルリン特約通信社発
モロッコ会議に於いて討議中である、同国への兵器輸入及び密輸入の防止に関する問題は無事決着した。
次回の議題はモロッコの財政整理である。
1月28日
自由党と南ア トランスバールに於ける現在の制度は英国の主権を危うくするものである
ウラジオの第争闘 (長崎)
24日夜9時からコサック兵と日本から帰還した兵士との間で闘争が起こり、コサック兵によって死傷した者1400名
自由党と南ア 27日ロンドン特約通信員発
ブレトリア電報によれば、トランスバールに於いては自由党の方針が一変した事を怒り、トランスバールに於ける現在の制度は英国の主権を危うくするものであるとの説が非常に勢いを得ている。
ウラジオの第争闘 (長崎)
25日ウラジオ発、当地露人への通信によれば、24日夜9時からコサック兵と日本から帰還した兵士との間で闘争が起こり、コサック兵によって死傷した者1400名で、その三分の一は病院に入ったがその他は道路に横たわっており、死者の血潮と積雪が混ざって、その惨状は言葉に表す事が出来ない。
ハルピンからの汽車が途中で行方不明となっていたが、暴徒によって爆破されて、川に落ち、3千名の死傷者があった。民心の動揺はその極に達している。
1月29日
凱旋46万人 昨日27日迄に通過した総員数は、傷病者を含めて46万人の多数となった。
韓国大使叙勲 韓国大使李載完(りさいかん)殿下に対し、勲一等旭日桐花大授章を贈らせられ
凱旋46万人 28日大連特派員発
昨秋、我が満州軍が光栄ある凱旋輸送を開始したが、その先頭が11月2日当地を経由してから昨日27日迄に通過した総員数は、傷病者を含めて46万人の多数となった。
韓国大使叙勲
昨日午前10時、岩倉侍従職幹事を帝国ホテルに差し遣わされ、韓国大使李載完(りさいかん)殿下に対し、勲一等旭日桐花大授章を贈らせられ、なお随員8名に対しても統監府を経て叙賜せられた。
1月30日
妖しき尼僧 爆弾等を懐にした二人の尼僧がアルスコエ、ヒロに於いて逮捕された
モロッコ会議形勢 モロッコ政府の委員は、モロッコがその税法改革を実行する能力が十分あると主張して、頑として譲らない
ウラジオの現状 反乱兵は今なお同地を占領している。コサック兵は反乱兵の命に従い、24日同地を去っている。
妖しき尼僧 30日ロンドン特約通信員発
爆弾等を懐にした二人の尼僧がアルスコエ、ヒロに於いて逮捕されたとの電報がピータスブルグから来た。
モロッコ会議形勢 同上
モロッコ政府の委員は、アルゲシラス会議に於いて、モロッコがその税法改革を実行する能力が十分あると主張して、頑として譲らないので、そのため同国の財政を監督しようとする提案の前途はやや困難である。
ウラジオの現状 29日上海特派員発
28日付ロイドへのウラジオからの来電によれば、反乱兵は今なお同地を占領している。コサック兵は反乱兵の命に従い、24日同地を去っている。
同地司令官は殺されているが、財産は今のところ破壊されるには至っていない。政府側で奪い返そうとすれば、又もや大騒動になると思われる信ずべき理由がある。