期日 | 日本関係 | 期日 | 露関係 | 期日 | 英米関連 | 期日 | その他 |
11月17日 | 佛国政府と大使館 | 11月1日 | 露国叛乱続報 | 11月8日 | 米国公使の厳談 | 11月10日 | トルコと列国 |
11月19日 | 日清交渉 | 11月2日 | 独裁政治の最後 | 11月11日 | ユダヤ人救助 | 11月13日 | 豪州移民法修正 |
11月20日 | 津軽の凶作(青森) | 11月2日 | 自由を得た露国人 | 11月12日 | 英国首相と日本 | 11月15日 | 露国政府の警告 |
11月27日 | 大山大将凱旋 | 11月3日 | 露国社会党の要求 | 11月16日 | 露国騒乱と米艦 | 11月23日 | 独逸海軍拡張と興論 |
11月29日 | 朝鮮と独逸新聞 | 11月5日 | フィンランドの革命運動 | 11月18日 | 在露英人の避難 | ||
11月6日 | ユダヤ人虐殺 | ||||||
11月7日 | 露国騒乱依然 | ||||||
11月9日 | 露国騒乱後報 | ||||||
11月13日 | ポーランドの状態 | ||||||
11月14日 | 要塞の叛徒攻撃 | ||||||
11月17日 | 同盟罷業の再燃 | ||||||
11月18日 | 危機愈々切迫 | ||||||
11月19日 | 露国銀行の取付 | ||||||
11月20日 | 露帝の戒厳令希望 | ||||||
11月21日 | 農民懐柔策別報 | ||||||
11月21日 | ウラジオ騒乱続報 | ||||||
11月25日 | 露国農民の蜂起 | ||||||
11月28日 | 黒海叛乱益々重大 | ||||||
11月29日 | 革命運動の傾向 | ||||||
11月30日 | ウイッテの勝利 | ||||||
11月30日 | 黒海叛乱詳報 |
明治38年11月1日(水)
露国叛乱続報 ピータスブルグに於いては、近衛兵の中に反乱が起こる恐れがあり、又在留外国人は何れも危害に瀕している
露国騒乱続報 ピータスブルグは今日までのところは、静穏である。モスコーとの交通は断絶している
露国叛乱続報 30日ワシントン特約通信員発
ピータスブルグに於いては、近衛兵の中に反乱が起こる恐れがあり、又在留外国人は何れも危害に瀕している。
ワルシャワ、モスコー、オデッサ等の場所に於いては騒動中に殺害された者は百名以上と思われる。
露帝は一般民意を代表するに足るべき代議機関の創設を約束し、モスコー市会は新憲法の制定を要求した。
露国騒乱続報(モスコー知事の哀求)31日上海経由ロンドンルータス社発
ロシアの各地から達する電報によれば、形勢は非常に暗澹たる状況であるがピータスブルグは今日までのところは、静穏である。
モスコーとの交通は断絶している。
モスコー知事は悲痛な文言の布告を発して、皇帝に忠誠であることを国民に哀求した。
明治38年11月2日(木)
露帝降伏
独裁政治の最後 内乱に対して露帝が新たに発した詔勅の内容は、露国民に身体の自由、言論の自由、ヘピアス、コルパス等で独裁政治が最後となった
新政権とウイッテ ウイッテは皇帝にこの様な詔勅を裁可し、署名させる為に当日は懸命にその力を尽くした
自由を得た露国人 露帝の詔勅はピータスブルグ市内の至る所に掲示され、人民は非常に歓喜している
露帝降伏
独裁政治の最後 31日ワシントン特約通信員発
内乱に対して露帝が新たに発した詔勅の内容は、露国民に身体の自由、言論の自由、ヘピアス、コルパス(記者注、チャールス二世の時代に通過した有名な法律の名前で、これによって英国人は正当な裁判官の裁判を受けた後でなければ監禁される事がなくなった)の権利、代議士選挙権、並びに国会に於いて法律案に協賛する権利を与えられ、独裁政治が最後となった。
新政権とウイッテ
ウイッテは皇帝にこの様な詔勅を裁可し、署名させる為に当日は懸命にその力を尽くした。
詔勅を発布した結果、ペテルスブルグの市民は非常に歓喜して、鉄道業者の罷工も終わりを告げようとしている。
ウイッテは総理台大臣となり、内閣を組織するであろうと信じられている。
自由を得た露国人 1日上海経由ロンドンルータス社発
露帝の詔勅はピータスブルグ市内の至る所に掲示され、人民は非常に歓喜している。
市内に充満している民衆は佛国の国歌マルセーユの代わりに露国の国歌を歌いつつ、自由万歳、皇帝万歳を唱えた。
民衆はコサック兵を取り囲み、諸君は郷里に帰るべきであり、最早ここに居る必要はない。我々は自由を得たと唱えたため、コサック兵は非常に困惑した。
明治38年11月3日(金曜日)
露国社会党の要求 露国の社会党は憲法に信用を措かず、同党は即時政治的犯罪者の特赦等を実行するよう要求した
英国新聞の観察 英国新聞は、露帝の詔勅に対して、時期を失したものであると論評した
露国社会党の要求 2日ワシントウン特約通信員発
露国の社会党は憲法に信用を措かず、同党は即時政治的犯罪者の特赦、民兵の組織、戒厳令の撤廃及び死刑の廃止を実行するよう要求した。
英国新聞の観察 同上
英国新聞は、露帝の詔勅に対して、時期を失したものであると論評した。
露国教務院総裁ポペドノスチエツフ辞職すべきである。
憲法の完成を期したオデッサ、カザン、キシネフ及びポルタワ地方の騒乱は鎮定している。
明治38年11月4日
天長節の翌日のため休刊
明治38年11月5日(日曜日)
フィンランドの革命運動 フィンランドの各都会に於いては、自衛隊を組織した。官吏は警官の武装を解き、秩序の維持を市民に委託すべきであるとの人民の要求に屈従した。
激昂治まらず ピータスブルグの同盟罷業委員は明日を以て、一般の同盟罷業を終了する事を決議した。しかし露国に於ける民心の激昂は今なお終わっていない。
フィンランドの革命運動 3日上海経由ロンドンルータス社発
ヘルシンキフォウルスを始め、フィンランドの各都会に於いては、自衛隊を組織した。官吏は警官の武装を解き、秩序の維持を市民に委託すべきであるとの人民の要求に屈従した。
総督は委員に総辞職を公約した。
元老院は事実上フィンラドの自治を完全に回復する事を要求する数件の決議案を可決した後、一同は辞表を提出した。そしてこの決議案と辞表をは巡洋艦でピータースブルグに送付された。
激昂治まらず 同上
ピータスブルグの同盟罷業委員は明日を以て、一般の同盟罷業を終了する事を決議した。しかし露国に於ける民心の激昂は今なお終わっていない。フィンランドに於ける革命運動は何らの支障なく安逸に進行しつつある。
海軍大将ビリレフは黒海艦隊を引率して、セバストポールに帰着した。
11月6日(月曜日)
フィンランドの自由 ロンドンタイムス露都通信員からの電報によれば、フィンランドはいよいよ自由を与えられるものと思われる。
ユダヤ人虐殺 暴徒は巡査の加勢を得て、ユダヤ人とその家族をあまさず殺害し、言語に絶する残虐をほしいままにしている。
フィンランドの自由 5日上海経由ロンドンルータス社発
ロンドンタイムス露都通信員からの電報によれば、フィンランドはいよいよ自由を与えられるものと思われる。人民側の全ての要求を入れた詔書の案文が皇帝の署名を得る為に既に皇帝に提出されている。
ユダヤ人虐殺 同上
オデッサに於ける悲惨な光景は、なお継続中である。暴徒は巡査の加勢を得て、ユダヤ人とその家族をあまさず殺害し、言語に絶する残虐をほしいままにしている。死者の数は未だどの位か知る事は出来ないが負傷者で病院に収容された者は現在までに5千五百名に及んでいる。
11月7日(火曜日)
露国騒乱依然 露国の鉄道同盟罷工は既に終わりを告げ、職員はその職務に復帰中であるが、コーカサスやオデッサ付近では突発的に騒動が発生している
露国騒乱依然 6日上海経由ロンドンルータス社発
露国の鉄道同盟罷工は既に終わりを告げ、職員はその職務に復帰中である。ウイッテは彼らに、政府は鉄道職員の要求を容れるつもりであると告げている。
コーカサスやオデッサ付近では突発的に騒動が発生しており、8か所の工場が破壊されたのみならず、民衆の蜂起に伴って虐殺が行われ、眼球を抉り出したり、或いは釘抜きを以て舌を抜き、或いは病気で動けない者を生きながら焼き殺す等の蛮行が行われたとの情報がある。
11月8日(水曜日)
山西排外熱 山西では排外熱が非常に盛んで形勢が危険となり、山西巡撫は、将来由々しき大事件が生じる恐れがあると上奏した。
米国公使の厳談 広東省重州(じゅうしゅう)宣教師殺害事件について、米国公使は元凶を処罰し、損害を賠償する等を外部に要求した。
山西排外熱 7日北京特派員発
排米運動の結果、山西では排外熱が非常に盛んで形勢が危険となり、山西巡撫は、支那人上陸禁止条約を改正しない限り、将来由々しき大事件が生じる恐れがあると上奏した。米国公使等は外人の保護を要求している。
米国公使の厳談 同上
広東省重州(じゅうしゅう)宣教師殺害事件について、米国公使は元凶を処罰し、損害を賠償し、知州総督を免職し、又一切の排米運動を厳禁する事を外部に要求した。
11月9日(木曜日)
露国騒乱後報 露国に於ける秩序回復の前途は頗る暗澹としている。
露国新内閣 今回初めて組織される露国新内閣の顔ぶれについて、既に発表された者は次のとおりである。
露国騒乱後報 8日ワシントン特約通信員発
露国に於ける秩序回復の前途は頗る暗澹としている。
オデッサとその付近では暴動が再燃し、ベサラビアに於いてはユダヤ人が虐殺され、店舗は略奪されている。
露国新内閣 8日ベルリン特約通信社発
今回初めて組織される露国新内閣の顔ぶれについて、既に発表された者は次のとおりである。
外務大臣 ラムスドルフ伯留任
逓信大臣 ヒルコフ公留任
海軍大臣 元バルチック艦隊司令長官ビリレフ大将
そして総理大臣ウイッテ伯は非常に健康を損ねているため反対党はこれを口実として、伯の辞職を求めようとしている。
11月10日(金曜日)
トルコと列国 軍艦15隻で編成された列国連合艦隊は今週末に、小亜細亜の沿岸にあるルブアンに現れる筈であり
トルコと列国 9日上海経由ロンドンルータス社発
軍艦15隻で編成された列国連合艦隊は今週末に、小亜細亜の沿岸にあるルブアンに現れる筈であり、若し艦隊が示威運動を行って、なお且つマケドニア改革案に対するトルコ政府の異論を変更させる事が出来なかったならば、列国はダータネルス海峡の平和的封鎖を宣言するであろうとウイーンに於いて噂されている。
11月11日(土曜日)
トレボフ罷む ウイッテ伯はトレボフ総督の職を罷免したと言われている。
ユダヤ人救助 ロンドンのロスチャイルド家及びニューヨークの銀行家シツプ氏はユダヤ人被害者の救助基金として各一万ポンドをロンドンの事務所に寄付した。
モロッコ会議 スペイン政府はモロッコ会議を開催する事を列国に提議した。
トレボフ罷む 9日ワシントン特約通信員発
ペテルスブルグからの報道によれば、ウイッテ伯はトレボフ総督の職を罷免したと言われている。(トレボフは本年1月22日の露都騒乱の専制主義の実行者であった)
ユダヤ人救助 10日上海経由ロンドンルータス社発
ロンドンのロスチャイルド家及びニューヨークの銀行家シツプ氏は露国在留のユダヤ人被害者の救助基金として各一万ポンドをロンドンの事務所に寄付した。この寄付金は露国駐在の英国領事に転送し、外相ランスダウン候からその分配を英国領事に訓令した。
モロッコ会議 9日ベルリン特約通信員発
スペイン政府は12月にモロッコ会議をアルヘシラス(ジブラルタル沿岸、スペインの一都市)で開催する事を列国に提議した。
解説:アルヘシーラスはスペイン・アンダルシア州にあり、1905年第一次モロッコ事件が起き、ドイツ、フランスとも軍隊の動員を始め、翌年1906年アルヘシラス会議が開かれた。
11月12日(日曜日)
英国首相と日本 英国首相は日本について演説し、日本を「我が新同盟国」或いは「極東に勃興した新英国」等の名前で呼び、
英国首相と日本 11日上海経由ロンドンルータス社発
英国首相パルフォール氏がギルドホールに於けるロンドン市長饗宴の席上で、日本について演説し、日本を「我が新同盟国」或いは「極東に勃興した新英国」等の名前で呼び、そして今日我が同盟国が今将に文明の使命を開始しようとするに当り、余は対外政策を観測する事を喜んでいる。
11月13日(月曜日)
豪州移民法修正 首相は、印度人は大英帝国の一部を構成するものとして、そして英帝国と同盟に関係がある新興の国民もまた同様である。
ポーランドの状態 露国の状態は沈静に戻りつつある。
豪州移民法修正(連邦首相の演説) 12日上海経由ロンドンルータス社発
豪州連邦首相は移民条例修正案を代議院に提出した。
首相は白色豪州主義の政策を履行するが、あえて我々の尊敬と称賛に値する二人種の国民を侮蔑する意図が無い事を熱心に論述し、印度人は大英帝国の一部を構成するものとして特別な配慮を加えなければならず、そして英帝国と同盟に関係がある新興の国民もまた同様である。故にこれら国民の感情を害さないように法案を修正するよう望む旨演説した。
なお一定の事情の下に許されるであろう契約移民の輸入に関する法案も提出された。
ポーランドの状態 11日ベルリン特約通信社発
露国の状態は沈静に戻りつつある。
ワルシャワの鉄道輸送は常態に回復した。しかし各商店は未だ開業していない。
11月14日(火曜日)
露国内乱と独帝 独逸皇帝は独逸艦隊の救援を提案したが露帝はこれを拒否した。
要塞の叛徒攻撃 要塞に立てこもっている最も熟練した砲兵隊が遂に叛徒に向かって発砲し、激闘の結果百余名を死傷させた。
露国内乱と独帝 12日ワシントン特約通信員発
クロンシュタットの暴動を鎮圧する為に、独逸皇帝は独逸艦隊の救援を提案したが露帝はこれを拒否した。
要塞の叛徒攻撃 13日上海経由ロンドン特約通信員発
クロンシュタットは一時非常に凄惨な混乱状態にあった。即ち官憲に反逆した者と思われる水兵、砲兵や歩兵等が合同して、略奪や放火をほしいままにしたので、要塞に立てこもっている最も熟練した砲兵隊が遂に叛徒に向かって発砲し、激闘の結果百余名を死傷させた。この間叛徒は頑強に抵抗した。
11月15日(水曜日)
露国政府の警告 ポーランドはフュンランドと同一の理由を期待してはならない。
ポーランド反乱と独逸 独逸はポーランド叛乱の為に何らの影響もうけていない。
ポーランドの鎮圧 ポーランドに於いて戒厳令が発布された。
露国政府の警告 13日ワシントン特約通信員発
ポーランドはフュンランドと同一の理由を期待してはならない。今後もし益々運動が激しくなるようであれば、露帝の詔勅によって許可された特典をも喪失する事になる旨露国政府はポーランドに警告した。
ポーランド反乱と独逸 13日ベルリン特約通信社発
独逸はポーランド叛乱の為に何らの影響もうけていない。従ってこれについて露国と交渉し、又は国境に軍隊を特派した事は無い。今後とも独逸政府はポーランドの事変に関係する事は無い。
ポーランドの鎮圧 同上
ポーランドに於いて戒厳令が発布された。又露国政府はポーランドの独立運動の鎮圧に関する強硬な宣言書を発表した。
11月16日(木曜日)
ユダヤ人の武装 ワルシャワは今なお恐慌の最中であり、
露国騒乱と米艦 リスボンに停泊中の米国巡洋艦ミネヤポリスは、クロンシュタットへ急行する事を命じられた。
トルコと列国 コンスタンチノープルの列国大使はトルコに対する列国の最終要求に関する公文を協議する為の会議を開いた。
ユダヤ人の武装 14日上海経由ロンドンルータス社発
ワルシャワは今なお恐慌の最中であり、家々は障害物を設け、ユダヤ人は武装しつつある。
露国騒乱と米艦 同上
リスボンに停泊中の米国巡洋艦ミネヤポリスは、米国人民を保護し且つ必要な場合には水兵を上陸させるためクロンシュタットへ急行する事を命じられた。
トルコと列国 14日ベルリン特約通信社発
コンスタンチノープルの列国大使はトルコに対する列国の最終要求に関する公文を協議する為の会議を開いた。
トルコに対する示威運動に参加すべき列国艦隊は本日二十日をもってギリシャノヒラニユウス港に集合する予定である。
11月17日(金曜日)
同盟罷業の再燃 使用者が8時間勤務の要求を拒絶したため労働者委員はピータスブルグに集会を催し、再び一般の同盟罷業を決議した。
佛国政府と大使館 佛国政府は東京の公使館を大使館に格上げしない
同盟罷業の再燃 16日上海経由ロンドンルータス社発
使用者が8時間勤務の要求を拒絶したため労働者委員はピータスブルグに集会を催し、再び一般の同盟罷業を決議した。しかし同盟罷業の目的は主として政治上にあると信じられている。
形勢は非常に危険である。
佛国政府と大使館 15日ベルリン特約通信社発
佛国政府は露国との関係を考慮し、当分の間東京の公使館を大使館に格上げしないであろうと「タム」紙は報道している。
11月18日(土曜日)
危機愈々切迫 今や官僚政治と革命との決定的な闘争が開始されたように思える。
在露英人の避難 駐露英国大使は露国に在留する英国夫人を国外に送りだすよう準備をしている。
持久力は疑問 露国の同盟罷業が如何に長く続き得るかについてはこれを疑問
危機愈々切迫 17日上海経由ロンドンルータス社発
露国の各地から来る報道を総合して判断すると今や官僚政治と革命との決定的な闘争が開始されたように思える。
同盟罷業者の総数は5万人と称せられる。
危機は日毎に増加しつつある。
在露英人の避難 同上
駐露英国大使は露国に在留する英国夫人を国外に送りだすよう準備をしている。尤も危険を冒しても在留を希望するものは自由に在留できる。
持久力は疑問 同上
資金の欠乏と労働社会の窮状とに鑑み、露国の同盟罷業が如何に長く続き得るかについてはこれを疑問をとすべき理由がある。
11月19日(日曜日)
日清交渉 第1回会見 協定事項開示
17日午後3時、我が全権から満州に関する協定事項を提出した。
露国銀行の取付 多額の金貨が露国銀行から引き出されて、皆国外に輸送された。
流石はウイッテ 露国首相ウイッテ伯が自ら労働者に論告した結果ポーランド及びモスコーの同盟罷業はやや沈静化しつつある。
日清交渉 17日北京特派員発
第1回会見 協定事項開示
17日午後3時、清国全権は東花門外の練兵場にある会議所に於いて会見し、先ず委任状を示し、互いにそれが完全である事を認めて、次いで会議の手続きを議定し、直ちに本会議に入り、我が全権から満州に関する協定事項を提出した。清国全権は会議の後なるべく早く書簡をもって回答するであろうと答え散会した。
露国銀行の取付 17日ワシントン特約通信員発
多額の金貨が露国銀行から引き出されて、皆国外に輸送された。
露国財政の危機 同上
露国の財政上の危機が今や切迫している。
流石はウイッテ 17日ベルリン特約通信社発
露国首相ウイッテ伯が自ら労働者に論告した結果ポーランド及びモスコーの同盟罷業はやや沈静化しつつある。
ポーランドの鉄道は運転を開始したが、しかし露国他の各地に於いては鉄道の交通は依然として途絶中である。
11月20日(月曜日)
露都叛乱 檄を軍人に飛ばす 同盟罷業者は海陸軍兵員の間に檄文を発して、自由の為にする義挙に加わる事を勧め、
露帝の戒厳令希望 露帝は露都に戒厳令をしく事を希望している
捕虜の不穏 義勇艦2隻に便乗している捕虜5千余名に不穏な模様がある。
捕虜不穏続報 艦長の依頼により警視1名、巡査100名を率いて艦内を警戒中である。
津軽の凶作(青森) 津軽地方では東津軽郡が最も凶作であり、去る明治35年の時よりも酷い凶作である。殆ど収穫は皆無の状態であり、地租の10年間延期を願い出る者が続出している。
露都叛乱 檄を軍人に飛ばす 18日ワシントン特約通信員発
同盟罷業者は海陸軍兵員の間に檄文を発して、自由の為にする義挙に加わる事を勧め、又例え暴徒鎮圧の為に出動するような事があっても市民に向かって発砲しないよう求めている。
露帝の戒厳令希望
露帝は露都に戒厳令をしく事を希望しているけれどもウイッテが反対する為に未だ実行を見るに至っていない。
捕虜の不穏(長崎)
停泊中の義勇艦2隻に便乗しているウラジオ行きの捕虜5千余名に不穏な模様がある。艦長から我に向かって、保護を求めてきた。
捕虜不穏続報(長崎)
義勇艦の捕虜がますます不穏となったので、艦長の依頼により警視1名、巡査100名を率いて艦内を警戒中である。水雷艇4隻が佐世保から来て義勇艦の周囲に投錨した。
津軽の凶作(青森)
津軽地方では東津軽郡が最も凶作であり、去る明治35年の時よりも酷い凶作である。殆ど収穫は皆無の状態であり、地租の10年間延期を願い出る者が続出している。当局が現在調査中であるが馬糧にもできず、そのまま刈り倒して肥料にする他ない有様である。そのためこれらの地方では家族総出で、山野に行き蕨の根を掘り出して冬季の食糧にしようとしており、大変な惨状となっている。
11月21日(火曜日)
農民懐柔策別報 現在の農民から取立てている税金を1907年に限り廃止する
頑迷派とウイッテ伯 頑迷派守旧派はこの機に乗じて、武力で国民の運動を鎮圧するよう希望した
ウラジオ騒乱続報(門司)ウラジオの騒乱は尚継続しており、兵士はウオッカ又はウイスキー等をあおっており、あたかも野獣のように手当たり次第に殺傷を行い
農民懐柔策別報 20日上海経由ロンドンルータス社発
露帝は農民に対する土地の払い下げを容易にする為、現在の農民から取立てている税金を1907年に限り廃止するような方法を取るべしとの勅諭を発した。
頑迷派とウイッテ伯 20日ベルリン特約通信社発
頑迷派守旧派はこの機に乗じて、武力で国民の運動を鎮圧するよう希望したけれども首相ウイッテ伯は極力この計画に反対した。
ウラジオ騒乱続報(門司)
独逸船が17日ウラジオを出発し、19日門司に入港した。この船にはウラジオ艦隊司令官エッセン提督の夫人、令嬢及び従者の3人が乗船しており、避難して来ている。今朝上陸し、8時20分発で長崎に向かう。
ウラジオの騒乱は尚継続しており、兵士はウオッカ又はウイスキー等をあおっており、あたかも野獣のように手当たり次第に殺傷を行い、高齢者は内地深く避難し、婦人、子供の多くは港内に停泊中の船に逃れている。
11月22日(水)
同盟罷業の頓挫 保守派に属する露国労働者の指導者は8時間労働の決議を打ち破った。
ウラジオ暴動と清国 今回のウラジオ騒動により居留清国人の家屋、財産は2商店と1工場を除く全てが焼失した。
同盟罷業の頓挫 20日ワシントン特約通信員発
保守派に属する露国労働者の指導者は8時間労働の決議を打ち破った。
同同盟罷業者の目的は失敗に終わった。
ウラジオ暴動と清国 20日ベルリン特約通信社発
ウラジオ在住の清国貿易事務官からの電報によれば、今回のウラジオ騒動により居留清国人の家屋、財産は2商店と1工場を除く全てが焼失した。その損害額は1千万両であるので露国政府に対して損害賠償を要求してもらいたい。又数万の居留民は家なく、食なく非常に困窮しているので至急数隻の汽船を派遣して頂きたい。外部部はこの為汽船2隻を派遣し、一方露国公使に向かって交渉を開始した。
11月23日(木)
独逸海軍拡張と興論 英国の諸新聞は独逸海軍の拡張の報道に接して、全く驚いた様子が見られない。
独逸海軍拡張と興論 21日ベルリン特約通信社発
英国の諸新聞は独逸海軍の拡張の報道に接して、全く驚いた様子が見られない。
独逸新聞紙は極端な自由主義のものすら海軍拡張に賛成している。
11月25日(土)
露人の国外移住 オデッサ及びその他南ロシア地方から大挙して国外に移住する者が続々として絶えない。
露国農民の蜂起ヴォルガ沿岸諸州の新聞は何れも露国農民が蜂起した事に関する記事で充満している。
露人の国外移住 23日上海経由ロンドン特約通信員発
オデッサ及びその他南ロシア地方から大挙して国外に移住する者が続々として絶えない。オデッサの移民会社は外国へ移住するための援助を求めて集まって来るユダヤ人に包囲されつつあり。
露国農民の蜂起 23日上海経由ロンドンルータス社発
ヴォルガ沿岸諸州の新聞は何れも露国農民が蜂起した事に関する記事で充満している。その報道によれば、仮の牢屋に入れられた地主、使用人及び警官等は数知れない。
同地方を通過する農民は赤旗を立て、略奪や放火を頻りにしている。
11月26日(日)
露国地方議会と憲法 露国地方議会の多数は、首相ウイッテ伯の要求に賛同する旨を議決した。
露国地方議会と憲法 24日ワシントン特約通信員発
露国地方議会の多数は、国民会議が憲法を制定するべきであるとの首相ウイッテ伯の要求に賛同する旨を議決した。
11月27日(月)
大山大将凱旋 満州軍総司令部は25日午前奉天を出発して、26日午後5時当地着の予定
大山大将凱旋 25日大連特派員発
満州軍総司令部は25日午前奉天を出発して、26日午後5時当地着の予定であるため石塚民政長官は金州まで出迎えた。大山元帥は民政長官官舎に入り、児玉総参謀長は児玉通り第一号官舎に入る予定である。
11月28日(火)
黒海叛乱益々重大 セバストポールに於ける反乱は極めて重大な事態となっており、軍隊は悉くその本分を捨て、公然と叛徒側に立ち、
黒海叛乱益々重大 27日上海経由ロンドンルータス社発
セバストポールに於ける反乱は極めて重大な事態となっており、軍隊は悉くその本分を捨て、公然と叛徒側に立ち、これに加わらないものは僅かに一個連隊のみである。但し今日まででは激しい暴行は行われていない。
これら反乱に対する鎮圧の処置について、公報で何も書かれていないのは、いよいよ軍艦乗り組みの兵士がこの反乱に加わったとの風説を確かめるに足る。
今回の暴動は、細心、周到に準備され、熟慮の末に決行されたものである。
11月29日(水曜日)
黒海叛乱の影響 セバストポールの暴動は、ペテルスブルグに恐慌を起こさせている。
革命運動の傾向 セバストポール連隊の暴動は革命の様相を帯びた闘争となった。
朝鮮と独逸新聞 独逸の諸新聞は頗る平静な態度を以て、日韓新協約を承認
黒海叛乱の影響 28日ワシントン特約通信員発
セバストポールの暴動は、去る日曜日になって、ペテルスブルグに恐慌を起こさせている。
当日内閣会議が開かれた。
革命運動の傾向 同上
セバストポール連隊の暴動は革命の様相を帯びた闘争となった。
昨日に於ける暴徒の総数は約一万と称せられている。
朝鮮と独逸新聞 27日ベルリン特約通信社発
独逸の諸新聞は頗る平静な態度を以て、日韓新協約を承認し、久しき以前から予期された出来事であると論評している。
11月30日(木)
ウイッテの勝利 露帝の勅命を以て、ペテルスブルグ総督の職を廃止し、同時に憲兵隊長及び内務次官の職も廃止した。
黒海叛乱詳報 軍艦2隻の水兵も去る24日以来赤旗を押し立てつつ暴動を始めている。
ウイッテの勝利 28日ロンドン特約通信員発
露帝の勅命を以て、ペテルスブルグ総督の職を廃止し、同時に憲兵隊長及び内務次官の職も廃止した。これらは皆トレボフ将軍の占めていた官職であり、そして一文官を露都警務部主事に任命した。
黒海叛乱詳報 29日上海経由ロンドンルータス社発
軍艦2隻の水兵も去る24日以来赤旗を押し立てつつ暴動を始めている。これらの水兵は上陸して集会を開いたがブレスト連隊の委員は連隊全部の力を挙げてこれらの水兵を援護すると誓約した。ここに陸兵と水兵がお互いに混じって赤旗を翻して市街を往来した。
軍艦は今なお政府の手にあるが、乗り組み水兵は暴動している陸兵と共に幕営内に入って出てこない。