5月1日
参議院初衝突 29日北京特派員発
▽役員選挙問題
参議院は午後、役員選挙の秘密会を開いたが、議場に於いて各省の民選議員は旧南京の参議院は民選でないので議員の資格がなく、林議長も議長の資格なしとの動議が出て、決議したが、旧議員は正式に開院式に参列した以上議員たる資格があると、決議に服さず、遂に大衝突を引き起こした。
林議長辞表 同上
新議員の反対にあった林議長は30日、辞表を提出した。
在墨米人救護 29日桑港特派員発
米国軍用船が墨西哥西部に避難している米人救出の為に、28日午後9時、陸軍大尉の率いる40名の兵士、数名の看護卒を乗せ、当港を出港した。
西蔵の動乱 29日上海経由路透社発
▽支那兵包囲される
シムラ来電=ラッサより到着した報道に依れば、同地の戦闘は継続してなお止まずチベット人側は1万人で編成され、9百名が戦死し、支那兵は3百名が戦死した。約1千の支那軍隊はチベット軍の為にラッサ市南方の地に圧迫され、多数の軍兵が包囲している。(一部抜粋)
5月2日
ベルギー借款返済難 1日北京特派員発
ベルギー借款の取消に関する同シンジケートと唐紹儀との協議が漸く纏まり、既に払い込まれた125万ポンド及びこれに8分の利子を付けて支那政府より返済する事となったが、四国公使は、四国銀行団の貸付中より支払ってはならないとの要求を行っているので、支那政府はその財源に窮し始めている。
5月3日
党争激烈 2日北京特派員発
孫文、黄興、唐紹儀等の率いる東京派(トンキンは)である同盟会に対抗する為、袁派である趙秉鈞、黎元洪等の旧官吏派統一党及び民主派の大連合が成立し、共和党という名称で一大政党を組織した。現在政府の官吏及び議員は共和党、同盟会は相半ばしており、その暗闘は日を追って激烈になっている。
日本無関係 1日桑港特派員発
大統領タフト氏は1日、日本がメキシコに於いて領土を獲得しようとする意志や希望を直接的にも間接的にも有する証拠はないと上院に通牒した。
土耳古強硬 1日伯林特約通信社発
露国はダータネルス海峡の閉鎖について、通牒を以て激烈に抗議したけれども、土耳古はなお閉鎖を固辞して譲らない。「ダ海峡の再開は全く我が決定如何によるべきものとする。露国は同海峡の閉鎖の為に露国穀物貿易に与える損失に付き、賠償を要求するが之を承認する事はできない」と言明した。
5月4日
四国借款交渉 3日北京特派員発
▽監督権にて行悩み
唐紹儀は、2日内閣に於いて四国銀行団代表と会見し、5月より10月迄、毎月1千万両及び軍隊解散等に要する2千6百万両の貸渡を請願したが、銀行団代表は詳細な使用項目の明細書及び貸付金支出の監督権を要求した。唐紹儀は監督権については参議院との協議が必要と述べ、明日の再開を約して解散した。(一部抜粋)
ダ海峡再開 3日上海経由路透社発
コンスタンティノープル来電=土耳古内閣は、必要な場合には再びこれを閉鎖する権利を維持するとして、一応ダータネルス海峡を再開することに決定した。
5月5日
支那借款と英国 4日上海経由路透社発
英国外務大臣サー、グレーは支那借款に関する質問に答え、英国政府は同借款を是認する旨を説き、更に「何人も少しも支那の独立を侵害する様な望を有していない。但し若し支那が借金しようとするならば、適当な担保を条件として決定するのは、貸主対関係国政府の任務である」と言明した。
伊太利軍勝利 同上
ローマ来電=伊太利気球隊は、アジジャスマニ、スペナデンの土耳古陣地を偵察し、40個の爆弾を投下したが、その結果は恐ろしいものがあった。又ホムスの伊太利軍はレブタを占領し、土耳古軍を撃退したが、土耳古軍は3百名の死者を生じたが伊太利軍の死傷者は極めて少なかった。
5月6日
日本も然るか 5日北京特派員発
六国銀行団の財政監督権要求は、非常に輿論を沸騰させ、列強は財政的に支那を滅亡させようとしていると激昂する者が多い。去る2日の借款協議に日本銀行団代表者も列席したのを見て、日本も又四国の中に加わって、隣邦を圧迫しようとしていると憤慨している。
憤慨罷工 5日ハルピン特派員発
露都来電に諸工場の労働者は、レナの金曜日の事件を憤慨して、3日より同盟罷工を行い、4日午前には5万4千名が罷工した。未だ大規模の示威運動は無いが、当時拘引された者が135名あった。モスクワにてもこの事件に関し、罷工が始まっている。
5月7日
伊軍ロ島占領 別報 6日上海経由路透社発
伊太利軍は、アメグリオ将軍の統率下にある一師団の軍兵を土耳古領ローデス島に上陸させたが、その際何等の抵抗も受ける事は無かった。将来土耳古軍隊がトリポリを撤退するならば、同地をトルコに返還すると説明した。
墨国革軍大統領 5日桑港特派員発
墨西哥叛軍総司令官オロズコ将軍の宣言により、ゴメヅ将軍は、4日革命軍大統領に就任した。就任式は楽隊の演奏等を禁じ、極めて秘密裏に挙行された。そして叛軍は米国が速やかにこれを承認する事を希望している。
5月8日
六国公使借款決議 7日北京特派員発
日英米露佛獨六国公使は、6日の借款問題会議に於いて次の決議を行った。
第一、 支那政府に外人財政顧問を招聘させるのみならず、六国銀行団は、借款担保物及び借款費の使途に関する監督権を要求する事を至当と認める。
第二、 唐総理が去る4日書信にて請願した様に、理財総長熊希齢と交渉を開始する事を六国銀行団に勧告する。
借款と監督権限 同上
▽日本の調停を望む
借款問題に関する支那財政当局者の意見は、全ての行政費まで、監督官の意見によって左右され、行政が六国の意見に支配される事を恐れており、深く日本の調停を望んでいる。
巴運河開通式 6日伯林特約通信社発
巴奈馬運河開通式の参加招待状を携える米国委員が伯林に到着した。
5月9日
熊希齢好評 8日北京特派員発
▽借款交渉継続
六国銀行団代表との、7日午後の初会見に於いて、財政総長熊希齢(ユウキレイ)の真摯にして協調的な態度は銀行団に頗る良好な印象を与え、借款交渉を継続することとなった。
ロ島土軍の戦略 7日上海経由路透社発
公報によれば、ローデス島に於ける土耳古守備隊は、3千名より成り、弾薬食料の供給は十分であり、彼らは伊軍に対抗し、蛮人流の小競り合いを行うと予期される。
水夫同盟罷業 同上
ピー、オ汽船会社は、水夫,火夫同盟の要求を拒絶した。よって同盟幹事は、チルベリー(テームス河口付近)に於ける同会社船舶で就業する水夫、火夫の全員に罷業を命じた。
5月10日
借款協議進捗 9日上海特派員発
▽使途監督問題解決
北京からの報道によれば、国務院は今回変更を加えた外人の借款使途監督方法に同意する様である。多分6百萬両が、至急を要する費用に処する為に支那に支払われると思われ、最後約定の成立見込みも非常に有望となっている。(一部抜粋)
海軍飛行演習 8日タイムス社発
皇帝は無事ポートランド水道に着水された。英国海峡に於ける艦隊の演習は濃霧の為に延期された。4名の海軍飛行家は、爆弾投下等の妙技を演じ、又水上飛行機は、再三再四、水上高く飛び、非常な速力を以て、偵察を行った。
日米誤解一掃 8日桑港特派員発
国務卿ニックス氏は、8日桑港記者団に招待され、日米問題に関し、現在頻りに種々の風説若しくは捏造によって日米の親交を阻害しようとする企てがあるが、この誤解を解くために、大統領の大博覧会参加招待状を読み上げ、これに対する日本政府の公文書を読み、終わって関係が深い太平洋沿岸の市民に、米人が日本を恐れる理由は絶対に無く、日本は米国に対し、最も厚い友情を有している事を保証すると述べた。
5月11日
財政監督承認 10日北京特派員発
軍隊解散に外国武官を立ち会わすべしとの資本団の要求は、内閣会議に於いて否決されたが、財政監督の件は、財政検査官の名義でその監督権を縮小し、承認する事に決し、本日資本団と協議をする事に議決した。
英帝潜航 10日上海経由路透社発
ポートランド来電=英帝は潜航艇に乗艇され、2マイル潜航され、自ら潜航を体験された。
5月12日
断じて承認し難し 11日北京特派員発
▽熊希齢の宣明
財政が危機に瀕しているのは事実であるが、軍隊解散に武官の立会や、或いは借款使用に関して、一々外国人の財政監督官の許可を受けるべしとの銀行団の要求は、完全に支那の独立を無視するものであり、国家の廃滅をみるもので、断じて承認できない。(一部抜粋)
水上飛行大成功 11日上海経由路透社発
ウエーマスに於ける英国海軍演習に於いて最も注目すべきは、飛行家の妙技であり、特に水上飛行機は大成功であった。各飛行機は陸上より、海上より、また軍艦の飛行台より飛行し,能く1トンの重量を運搬する事が出来た。
6月13日
ダ海峡公開行悩 12日上海経由路透社発
コンスタンティノープル来電=ダータネルス海峡より機雷を一掃する事業は、天気不良という口実の下に中止された。
獨逸海相演説 同上
伯林来電=獨逸議会予算委員会は、海軍案の討議を開始した。海軍卿テルピッツ海軍大将は、一方に英国首相アスキス氏が「英国は獨逸を攻撃する意思なし」と説いている点に聴衆の注意を促すと共に、他方に昨夏、英獨間の情勢が面白くない事を説き、「英国は必ずしも戦闘を開始する意味がないとは言い難いが、兎も角も膨大な規模を以て準備を行った事は疑いなし」と説いた。
5月14日
支那政府同意 13日上海特派員発
支那政府は、六国シンジケートに覚書を送り、支那は今回修正した財政監督方法(即ち支那政府より1名、シンジケートより1名の合計2名を任命して監督の任に当たる案)に同意すると通知した。借款契約の成立が非常に有望となった。
5月15日
サロニカ来電=土耳古軍は、ブルガリア反乱軍の侵入を防ごうと苦心惨憺としている。反乱軍の進路に多くの伏兵を置き、又3千5百の憲兵はブルガリア軍としばしば開戦し、これを追撃している。
墨国叛軍退却 13日桑港特派員発特派員
叛軍オロズコ将軍5千の兵を以て官軍ウエルタ将軍の本体と12時間に亘り奮闘したが、官軍の砲火に敵し難く6百の死傷した兵を遺棄し、エスカロンよりレラまで退却した。
5月16日
六国借款略纏まる 15日北京特派員発
14日熊希齢は、六国団と商議の結果、資本団は先ず6百萬両の借款に応じる事となり、上海、北京にて、それぞれ3百萬両を引渡す事となっている。支那側の請求した軍隊解散費用3千5百万両、行政費4千万両の借款は例の借款条例の調印を待ち引渡される予定である。
獨逸の排決闘案 15日上海経由路透社発
獨逸帝国議会は「如何なる将校も決闘を挑まれ、これに応じないとの理由で免職される事はない」と言う社会党の修正案を採用した上、陸軍軍人間の決闘制限を目的とする決議案を可決した。
5月17日
英国の対抗策 16日タイムス社発
▽新海軍拡張案出る
英国政府は、獨逸議会が一大海軍拡張計画を採用した結果、直ちにこれに答える手段を講じるに至った。海軍卿チャーチル氏は、海軍建造計画及び予算を増加する追加案を議会に提出する旨を発表した。(一部抜粋)
5月18日
参議院と監督 17日北京特派員発
参議院は六国シンジケートの任命する外人会計検査役を置く代わりに、支那政府自ら会計検査院を組織し、1名の外人顧問を招聘したいとの意見を発表した。
5月19日
伊軍土軍を破る 18日上海経由路透社発
ローマ来電=伊太利軍はローズ島山間の土軍守備隊を包囲し、土軍の損害は死者83名、負傷者26名であり、伊軍の損害は死者4名負傷者26名である。(一部抜粋)
ダ海峡解放 同上
コンスタンティノープルに於いて公式に宣言された所によれば、ダータネルス海峡は5月18日午前に開放される予定である。
5月20日
南波斯不穏 19日上海経由路透社発
ブシール来電=蛮族は、波斯南端の港(英人の貿易港)を攻撃した。英国海軍船より一隊を上陸させた。英国巡洋艦フォツタス号は直ちにバンダーアバスに向かう様命令された。アラビア人等は武器の密輸入に関する英人の干渉を憤怒していると言われている。
5月21日
外人の新顧問 20日上海特派員発
北京よりの報道によれば、北京政府は米人スウイング氏をアヘン禁止な関する顧問として、米人ジェンクス博士を幣制改革顧問として、英人フルング氏及び日本の岡田朝太郎博士を法律顧問として招聘しよとしている。
伊艦土領砲撃 20日上海経由路透社発
伊太利戦艦1隻は
、ロードス島の対岸にあるマリマルス島の兵営及び弾薬庫を破壊した。
5月22日
西蔵形勢危急 21日上海特派員発
支那官憲側の電報に依れば、達頼喇嘛は、独立を企て、支那兵を撃破し、パンチェンラマも追われた。情勢は非常に危険で、その為に現在雲南、四川に向け、ラマの救援の為の援兵派遣を求めるに至った様である。
墨国叛軍退却 20日紐育特派員発
墨西哥軍が前進し、叛軍は次第に退却し始めている。叛軍はジュアレズの防備を急げ、且南部に居たダラザ将軍は守備司令官に任ぜられた。
5月23日
土国の英将校招聘 22日タイムス社発
土耳古は英国に欧州土耳古憲兵隊司令官補佐として、5名の英国将校を任用したいと要望したが、英国はこれを承諾したと言われている。
伊国民放逐決定 22日上海経由路透社発
コンスタンティノープル来電=土耳古政府は、臨時閣議を開き、14日以内に労働者、貧民,及び寡婦を除いた全ての伊太利人を土耳古帝国領土以外に放逐する事に決定した。
伊軍コス島占領 同上
伊太利軍は、アジア土耳古コス島を占領した。
5月25日
墨国激戦 23日桑港特派員発
墨国の叛官両軍は、22日午後よりレオン付近にオロズコ、フエルダ両軍総司令官自らが陣頭に現れ、激戦を開始し、猛烈な砲火を交えつつあるが、官軍は既に150の死者を出し、数門の大砲が叛軍に占領され、叛軍が優勢である。この戦いに参加した両軍の総兵数は7千である。
モロッコ内乱 24日上海経由路透社発
モロッコのフエツ市よりの報道によれば、情勢はますます容易ならず、蛮族が何時フエツ市を攻撃するかも知れない情勢である。
5月26日
辞職不許可宣言 25日北京特派員発
袁総統は24日、総理、国務院に手紙を送り、国家前途の意見を述べ、如何なる事情があっても、この際閣員の総辞職は無論、単独の辞職も許可しない旨を宣言した。
墨国官軍勝利 25日上海経由路透社発
紐育来電=墨国官軍は大勝利を得た。叛軍の死傷者1千名である。官兵の死傷者もまた多い。
5月27日
海軍卿の大気焔 25日紐育特派員発
現政府の2戦艦を毎年建造する規定について、下院は反対したが、これに対し海軍卿は次の様に述べた。戦艦は戦争よりも安価である。米国は極東に於いて、英獨佛日露の後塵を拝する事を欲するのか、モンロー主義は有力な艦隊があってこそ初めて世界に認められるのである云々(一部抜粋)
前門の虎後門の狼 25日桑港特派員発
▽墨国の内乱
墨西哥政府は、仇敵オロズコを破り市民が安堵しようとする間もなく、モレロ州の叛将ザバタは、マデロに対し、8日以内に辞職しなければ首府を攻撃すると脅迫した。その兵8千と称している。(一部抜粋)
キュウバの反乱 26日上海経由路透社発
▽米国艦隊
ワシントン来電=大西洋艦隊第三及び第四艦隊はキュウバに向け出発の準備でキーウエストに集合する様命じられた。
5月28日
借款支払い 27日上海特派員発
外国銀行家は土曜日、上海及び北京官憲に3百萬両を支払い、これで既に支払い済みとなった金額は6百萬両に達した。
唐紹儀は参議院に出席し、外債条件を説明すると伝えられる。
米国派兵準備 27日上海経由路透社発
ワシントン来電=総計12隻の米国軍艦は、キューバ付近に遊弋している。米国政府は必要な場合には、遠征軍を派遣する用意を行っている。キューバの政府軍と叛軍との間で、近々一大決戦があるだろうと予想される。
5月29日
大連占領記念日 28日大連特派員発
28日は大連占領記念日に付き、大連神社で祝賀会を催し、神輿は28日、29日両日、市中を練り回る。
米艦キュウバ行 27日紐育特派員発
米国政府は、キュウバの一揆に就き、大西洋艦隊中の戦闘艦4隻、巡洋艦1隻を派遣することとなり、26日ケイ、ウエストに向かった。
5月30日
熊総長各省に打電する 29日北京特派員発
▽国民損の確かめ
熊財政総長は、各省に向け、今や国民は外債に反対すると共に米国公使も又外債の不可である事を予に勧告している。予は何で好んで外債募集を願っていようか。今日までに協定した借款条件7ヶ条は、単に書信で約束したもので、正式に調印したものでない。よって卿らが若し国民義損の法によって南北の軍費毎月7百萬両を調達されるのであれば、断然外債を取り消す旨を打電した。
5月31日
借款協議中止 30日上海特派員発
北京よりの報道によれば、倫敦の国際銀行シンジケート代表者より、次の様な電報が政府に送られた。財政総長熊希齢は外国借款を計画したが、人民に不信で全国より激烈な反対を受けている為、我らが熊希齢の約定した7ヶ条が到底実行されない恐れがあり、その為既に前払いした物を除き、今後新たに前払いする事は出来ない。又大借款の協議も中止するであろう云々
米国海軍案否決 29日紐育特派員発
▽2隻建造計画
海軍予算案が28日下院で討議されたが、125対82で毎年2隻の戦艦を建造する計画は否決された。ある議員の動議で毎年1隻建造する妥協案も否決された。しかし上院は多分これを復活すると思われ、少なくとも毎年1艦に修正され通過するであろうと言われている。