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獨逸領土交換 31日タイムス社発

巴里来電=英国首相アスキス氏の演説以来、引続き当地に於いては、モロッコ情勢を楽観視している。獨逸はモロッコに対する要求を放棄し、多分西部アフリカに於いて、佛獨両国間に於いて、領土の交換が行われると思われ、佛国新聞は、これに関し詳細な条件を指示した。

獨逸宰相に諮る 同上

伯林来電=獨逸皇帝は、スウイネミユンデ浴場に於いて、宰相ベートマンホルウエツヒ及び外相キデルレン、ウエヒテルと時局について、協議中であるが、その結果は未だ判明しない。

波斯の和睦策 31日上海経由路透社発 

テヘラン来電=ペルシャ議会は廃帝ムハマッド、アリの帰国の結果、一旦、当然没収となった年金額の16,500万ポンドを廃帝に支給し、その兄弟にも、これより少額の金員を支給しようと申し出る事に決定した。

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アルバニア内乱 1日タイムス社発

コンスタンティノープル来電=トルコ政府は、去る木曜日(727)アルバニア叛徒等に降伏を勧め、同時にモンテネグロ国に「若し同国が、引続き叛徒を庇護する場合には、非常に激昂するトルコ軍隊が、遂には国境まで叛徒を追撃する事になるであろう」と通告した。

波斯内政と英露 1日上海経由路透社発

テヘラン来電=露国公使は、インド軍少佐ストークスのペルシャ国庫及び憲兵隊建設係任命に大反対を表したと報道される。又同公使は、均衡を保つために、露国人をも同様の地位に任命する事を要求する意思がある旨を発表した。

獨帝憤怒説 31日紐育特派員発 

獨逸皇帝は、モロッコ事件に関し、英国がフランスを助けなければ、佛国は必ず我が要求を容れたであろうと憤っているが獨逸国民は戦争を好まないので、皇帝の憤怒も狂言ではないかとの説がある。

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佛紙の獨逸攻撃 2日タイムス社発

巴里来電=獨逸は、モロッコ問題について、冷然と公法を無視し、依然として改める様子が見られないので、佛国新聞の獨逸攻撃は一層激しくなった。

否認権案延期 1日上海経由路透社発

上院の否認権廃止案は、88日迄、下院の議に上る事はないと思われる。

英露同文通牒 2日上海経由路透社発 

テヘラン来電=英露両公使は、同文の通牒をペルシャ政府に送り、廃帝に政治的運動をさせない様に勧告した旨を公言し、且廃帝は既にペルシャ領地に入ったので、干渉することが出来ない旨を附言した。

8月4日

獨佛妥協案 3日タイムス社発

英国首相アスキス氏が、先に下院に於いて、英国の対モロッコ政策に関し宣言した結果、獨逸の法外な要求は、実際に撤去されたと信じられる理由がある。現在、獨佛両国間に一つの妥協案が進行中で、佛国は、多分モロッコに於けるその特殊な利益を獨逸が承認する交換として、カメルーン(獨領)とコンゴ(佛領)間の境界を多少変更する事に同意すると思われる。(一部抜粋)

土国内乱終了 3日上海経由路透社発

トルコは、アルバニアのマリソリ族との間に和睦の協約が成立した。モンテネグロ人等は、今やアルバニアより来た避難民を帰国させる様に尽力している。

船員同盟罷業続報 3日上海経由路透社発 

倫敦のドック人足は大会を催し、一般的同盟罷業を断行する事を議決した。2万人の人足は、本日(3日)罷業すると思われる。外国にある同盟会は、ロンドンより来る船舶に対し、罷業を行うよう依頼を受けた。

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波斯内政と英露 4日タイムス社発

セントピータスブルグ来電=露国は、英国ストークス少佐のペルシャ徴税憲兵隊長任命に抗議をし、のみならず北ペルシャに英国士官を任用する事にも反対を表し、非公式に抗議を送った。

(ペルシャ政府は、徴税事務を担任する憲兵隊の組織を企図し、この隊長に英国印度陸軍少佐ストークスを任命しようとしたが、露国はこれに反対中である。)

英国新聞記者放逐 4日上海経由路透社発

英国のデイリーエキスプレス及びウエストミンスター、ガゼット両新聞の特派通信員は、モロッコのアガジル(獨逸軍が占領している地)より追放された。英国は、アガジル及びタンジール府に於いて、強烈に同件について、抗議中である。

墨国形勢不穏 3日桑港特派員発

メキシコ政府革命党内の猟官運動の結果、大統領デラバーラ氏、革命派首領マデロ氏、内務卿コノス氏との間に衝突があった。大統領とマデロ氏が相談の結果、コメス氏が辞職を余儀なくされた事に、革命派中には憤慨する者が多く、もし4日朝までにコメス氏を復職させない時は、戦闘を開始すると恐喝した。よって政府はレイネ将軍を指揮官に任命し、大統領官邸及びその附近を警戒している。(一部抜粋)

東郷歓迎に狂す 3日紐育特派員発 

東郷大将の乗り込んだルシアタニア号は、3日午後11時サンダーフックに到着する予定である。大将の上陸は、4日の早朝になる予定で、その際、米海軍の小蒸気船にて、特別に出迎えを行う予定と決まっているが、新聞記者等は、非常に都合が悪いと大騒ぎをしている。大将の到着時には、非常な騒ぎとなると思われる。

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佛伊の対波抗議 4日上海経由路透社発

テヘラン来電=佛伊両国代表は、ペルシャ政府に通牒を送り、ペルシャ政府が雇入れた、新任の米国人財務官が、年金を受ける自国民に対する支払いを行う事に抗議した。

モロッコ問題別報 5日上海経由路透社発

巴里来電=半官的通報によれば、モロッコ問題に関し、佛獨間の関係は緩和し、情勢は改善されたけれど、なお獨逸の要求と佛国が承諾し得る譲歩との間には、非常な開きがあると言われている。

摩兵退去を命じられる。同上

巴里来電=在アルカザル西班牙軍司令部は、本日正午、モロッコ守備隊に対し、同地からの退去を命じた。守備隊は、西班牙の命令に服従するであろうと信じられている。

東郷大将着米 4日紐育特派員発

東郷大将の乗船したルシタニア号は、3日午後1140分、検疫所附近に停泊した。小蒸気船が本船に赴き、大将、谷口少佐を移乗させ帰った。大将は甲板の椅子に座り、グラント将軍は絶えず両岸の夜警を説明された。大将が無事ホテルに到着したのは、4日午前1時であった。(一部抜粋)

上陸後の大将 5日紐育特派員発

4日午前11時東郷大将は、ニューヨーク市長を市役所に訪問した。この日大将の自動車は、50名の騎馬巡査が前後を警備し、その先駆けとしてオートバイに乗った6名の巡査が居た。 

大将がホテルに帰った20分後、市長が大将をホテルに訪問し、答礼した。(一部抜粋)

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東郷大将歓迎 5日タイムス社発

紐育来電=ニューヨーク市長ダイナー氏は、東郷大将を市会堂に迎えた。公衆は、所謂、東洋のネルソンに対して、盛んに喝采した。(一部抜粋)

アルバニア内乱鎮定曙光 6日上海経由路透社発

アルバニアのマリソリ族はトルコ政府の約束を少しも信じていないと称しているが、モンテにグロ国王の忠告に従い、遂に政府の譲歩條約を受け入れた。

墨国大統領候補 5日紐育特派員発

メキシコ大統領候補として、レース将軍が打って出てより日が浅いが、勢力はなかなか盛んである。今回、同国のカソリック教徒が同将軍を強く支持する事になれば、マデロ将軍の為には大事件となるであろう。

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佛国とモロッコ 7日タイムス社発

巴里来電=佛国の輿論は、モロッコ問題について、情勢の進展を待望する態度を維持している。領地の協定問題(カメルーンと佛領コンゴの境界について、譲歩する問題)については、深く感情を動かした。但し所謂獨逸の国民的感情に対して、過大な譲歩が行われるであろうとは、考えてはいない。

波斯雇英人問題 同上

露都側では、英国はストック大尉をペルシャ憲兵隊長の職より外す為に、進んでその方法を講じなければならないとの意見を持ち、又その抗議は不十分であると述べ始めている。

東郷大将と大統領 7日上海経由路透社発

米国大統領タフト氏は、大統領官邸に於いて東郷大将の為に饗宴を開き、席上日本の天皇陛下為に乾杯し、日本が最近改定した日英同盟に於いて、遅滞なく仲裁という一大道徳的主義を十分に承認し、もって英米仲裁條約の成立を容易にさせた事を称賛した。(一部抜粋)

波斯僧正の勧告 同上 

テヘラン来電=ペルシャのイスラム教主教は、廃帝を以って、不信者、背教徒であるとして、これを攻撃し、人民に対し、ペルシャ防衛の為に協力する様に求めた。

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佛獨談判の難関 9日タイムス社発

巴里来電=現在ベルリンに於いて、佛国大使と獨逸外相との間で進行中のモロッコ問題談判の、最難関とも称すべき獨逸の要求と佛国の提出条件を如何に調和すべきかにあるとは、一般に認識されている事である。

憲兵隊長任命事件 同上

テヘラン来電=ペルシャ財務官兼管理官の米人シュスター氏は、通信員との会見に於いて、英人ストークス少佐をペルシャ徴税憲兵隊長に任命した件に関し次の様に述べた。「余はストークス少佐を憲兵隊長に任命したが、決して英露間に葛藤を起こす考えは少しもない。ペルシャの財政を改善する唯一の方法は、徴税憲兵隊長に有能な士官を採用するにある。そしてストークス少佐を措いて他にその地位に最適任の士官なし」云々 英国はこの事件に対し、別に何らの干渉もしないと信じられる。

英国罷業情勢 8日上海経由路透社発

 

船員罷業情勢が重大となったのは、ロンドンの電車人夫及びその他の労働者が、遂に船員の同盟罷業に加わった為である。2万名のドック人夫の要求は入れられたけれど、彼等は、罷業者の要求全部が、採用されるまでは、就業を受け入れないので、ロンドンに於ける工業は従来よりも重大な影響を受けた。(一部抜粋)