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獨露の協商 31日タイムス社発

露都来電=獨逸は、英露協商がアジアに於ける獨逸の利権に影響するのではと疑念を抱き、その眞意義について説明を求めた。露国政府はこれに対し、遠からず回答を送るが、重要な2点を表示すると言われている。第1現在の列国の団結状態をそのまま維持する事は無論である。第2ペルシャに於ける露国の利権、トルコに於ける獨逸の利権に反する何らの新たな連合はしていないである。

米人の神経過敏 30日紐育特派員発

近来、日本の軍事探偵が頻りにフィリピン方面に徘徊するとの説が盛んである為、あの日本嫌いのホブソン氏が、今期議会に対し、軍事探偵を罰する法律案を提出するであろう、又米政府も何かこの事に対し、日本政府に対し注告するであろうとの説もある。今朝のサン新聞は、日本の軍事探偵がマニラ方面に頻りに出没しているのは憂うべき事であり、これに対し政府は、相当の処置を執れと論じている。

葡萄牙共和政衰兆 同上

ポルトガル共和内閣の勢力が次第に衰えた為、陸海軍人が共和政府の命令に服従せず、情勢は甚だ不穏である。その為に英国公使は、本国政府に向かって、軍艦の派遣を要請する電報を発信した。現在の状況は、商工業共に休業の姿であり、市民は新政府を恨んでいる状態にある。或いは再び王国となるかも知れないと言われている。

練習艦隊歓迎 内国電報31日発

▽メキシコに於いて(八代司令官発31日着電)

練習艦隊はメキシコの於いて多大の歓迎を受けたが、特に艦隊がサリナ、クルーズに到着すると兵学校長並びに陸軍将官が歓迎の為に来訪し、矢代司令官、両艦長、士官並びに候補生は特別列車で政府の賓客として、首都メキシコに入り、官民の熱烈な歓迎と優遇を受け、各種の宴会に忙殺された。

 

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南満社債募集妨害 31日上海経由路透社発

南満州鉄道債発行に関し、ロンドン商業会議所は、先日代表者が外相サー、グレーを訪問して、日本新関税問題に関して抗議を申し込んだが、各地商業会議所に回文を送り、日本の新関税率に関し、満足の保障を得る迄、英国の資本を日本に供給しない様にする手段を採る事を勧告した。

葡萄牙政局近報 同上

ポルトガル政局は平穏であるとの説を伝える者がいるが、最近の情報では、革命後、期待された各種の希望が実行されない為に、市民一般が不平を抱き始めている点に就いては皆一致している。

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葡萄牙の形勢 2日タイムス社発

リスボン来電 当地では外国の諸新聞に現れる様々な誤解や風評を笑っている。司法大臣は、同国の政局は静穏であり、パリーで行われている馬鹿馬鹿しい虚報の如きは、全く数名の守旧派の捏造に係るものであると公言した。

印度人種軋轢調和 2日上海経由路透社発

ヒンズー人及びイスラム教徒の会議は、双方の一致点を発見する目的で、アラハバツトに於いて開催された。言語問題、商人代表問題、イスラム教徒教育問題及びイスラム教寺院に於いて儀式として行われる牝牛殺害及び奏楽等の諸問題を講究する為に連合委員が任命された。

 

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土領反軍敗北 3日上海経由路透社発

タイムスのコンスタンティノープル通信員の報道によれば、激戦4日に亘り、トルコ軍も107名の死人を生じた後、ドルーズ反乱軍の残余は砂漠に追い込まれた。反乱軍は多数が死亡し、1千名が降伏した。

解説:当時は、トルコからスエズ運河までの地域はトルコ領であり、トルコ総督が治めていた。それに対しシリア太守を中心とするアラビア蛮族が反乱を起こしている。ローレンスのアラビアにその様子が詳述されている。

波斯外相演説 4日上海経由路透社発

テヘラン来電=ペルシャの新外務大臣は、議会の協賛を条件として、150万トメンルを帝国銀行から借入る予定である。その借入金は安全維持の費用に充てる事及びペルシャ憲兵隊組織に付士官を貸すとのスエーデン政府の申込を喜んで受けた旨議会に通報した。

英国対波斯 3日伯林特約通信社発

英国新聞は、シラスを通る隊商道路の保護に関するペルシャの回答につき、満足したと公言した。そうであれば英人側よりペルシャに対し、断固とした行動を執ることはないであろうと予期される。

 

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阿片と印度政府 5日上海経由路透社発

カルカッタ来電=印度政府は、一つの覚書を発表した。印度は、毎年5千バレルの阿片輸出を減少するという英清間の約束を厳守する意思がある。そして清国の阿片価格が高い為に、輸入の増加を来している状況にあるので、印度は、1月より印度を出荷し清国に向かう阿片の全部、即ち3万6千6百バレルに対し、荷主が宣誓した上で特別の証明証を発行する事に決定した。依って清国に対し、証明証の無い阿片が清国内の條約港に入るのを禁止する事にしてもらいたいと提議した。

獨露協商 4日伯林特約通信社発

露国政府はペルシャ問題に関する協議が、なお両国間で継続中である旨を明言し、獨逸政府もこの事実を確認した。そしてその結果は通牒の交換か、若しくは公式の露獨協約かによりはっきりさせる様である。

米国陸軍の現状 内国電報5日発

米国政府が最近軍備の拡張に熱心であるが、陸軍の現状は、常備軍及び第1民兵の2種があり、常備軍は現在84,767人、第1民兵は124,074人を有している。そして1905年から1910年迄に約50万人の予備兵に対する予備武器、装具を調達する予定であり、一朝有事の際には、右常備軍と第1民兵の205,241人の他に、更に50万の義務軍を招集し、編成する準備が整っている様である。

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日本裁判に対する非難 6日タイムス社発

ロンドンタイムは、ジャパン・クロニクル主筆のヤング氏が言明した次の書簡を掲載した。

幸徳伝次郎等の審問に対する日本官憲の措置は、極めて不法であり、警察は、彼ら被告には非常な重罪があると言明しているが、被告は口を塞がれて何事も言う事が出来ず、又各新聞は、本件に関し何らの報道も掲載する事を差し止められ、若し逮捕の理由を報道すれば、その社は告訴される恐れがある。

排日案提出(但し通過は覚束ない) 5日桑港特派員発

加州の州会は、去る2日より開会したが、民主党議員サンフォードなる者は、上院に日本人土地所有法案を提出した。しかし議員中には桑港の大博覧会を眼前に控え、外人排斥問題などを提起するのは不利であるとの議論が多いので、通過は多分しないと思われる。

 

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波斯と露獨(露国回答の内容) 7日上海経由路透社発

イブニング、タイムス紙は、1907年の獨逸の通牒に対する露国回答の本文と思われるものを発表した。これは露獨関係に関するもので、その主な内容は、露国はバクダット鉄道の完成に反対せず、又外資が獨逸の同事業へ参加する事を妨害しないと約束し、獨逸がペルシャに政治的野心を持たず、単に商業上の目的のみで活動すると表明した事に対し、ペルシャに於ける獨逸の商業について絶対的均等の主義を承認した。

再び排日案提出 6日桑港特派員発

カルフォルニア州の州議会上院に於いて、再び日本人の土地所有禁止案が共和党上院議員ラルギンスなる者より提出された。同提案は5日の民主党上院議員サンフォード案より大幅に緩和なものである。

 

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排日法案続出(日本人書記禁止案) 7日桑港特派員発

カルフォルニア州の州議会に於ける排日諸議案が、今期の州議会の大問題となっている。

6日、又民主党員が日本人排斥の法案を提出した。これによれば、英語及び読み書きが出来ない者は書記に採用できないと言うにある。これは、過去3年、日本人が各所のホテルや商館に雇われているからである。そして諸新聞の論調は、日本人の土地所有禁止案に賛成するものが多い。又7日、例のクロニクル新聞は、社説で外国人土地所有禁止の必要を書き立てた。

露獨協商と英仏 8日巴里特派員発

ポツダムに於ける獨露両帝の会見に関する獨逸の批評は、非常に英仏を騒がせた。佛国の諸新聞は、英国はあまりにも悲観的であるが、しかしながら英佛の外交戦略としては、欧州三国の協定を活発に主張する必要があると論じた。又佛国のルマタン新聞の露国通信員は、楽観的な長文の記事を同紙に掲げ、その中で次の様に述べている。最近露国皇帝は、欧州三国同盟の力強い事を明言し、露獨間に何らの秘密協定が無いと確言している。何れも一日も早く露獨協定の内容が発表され、猜疑、悪評その他悪意の誤謬等を一掃されることを希望する。

 

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露獨協商と英佛 9日タイムス社発

巴里来電=露国外相サンノフ氏は、バクダット及び北ペルシャ鉄道の将来に関す露獨協議の状態について、常に佛英両政府に十分事情を通報していると信ずべき理由がある。

練習艦隊巴奈馬着 8日紐育特派員発

我が練習艦隊の浅間、笠置は7日、パナマ着 八代司令官は英米両公使館を訪問し、又パナマ大統領にも会見した。8日はパナマ運河を視察の予定である。

排日案内容 内国電報9日発

永井桑港総領事より9日、その筋に達した米国の所謂排日案は次の通りである。

△サンフォード案 市民権を習得する資格が無い外国人は、土地又は不動産の所有権を獲得し、又はこれを所有する事ができない旨を規定

△ラーキンス案 民法第671条を改正し、現に市民権を有しないか又は市民権を得ようとする意思を適法に表示しない者には、不動産を取得、所有又は保有する事を禁ずるとの規定を設けようとする

解説:サンフォード案は民主党案でラーキンス案は共和党案である。

 

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土勃兵衝突 10日タイムス社発

コンスタンティノープル来電=ドシュナイバラに於ける境界付近に於いて、トルコ軍隊とブルガリア人との間で激烈な戦闘があった。

解説:ブルガリアは、1908年、オスマン帝国に起こった青年トルコ党の革命を機に独立w宣言し、以来トルコとの紛争が絶えない国である。

ローレンの紛憂 10日上海経由路透社発

メッキ(獨逸ローレン州)来電=警吏は、昨日フランス音楽祭の開催を許さなかった事に対し、示威運動者等は、佛国の為に喝采し、マルセイユの曲を歌い、行列をなして、佛国名将チユ元帥の銅像の下に集まった。その為軍隊は、銃槍を使用し群衆を解散させた。8名負傷し8名捕縛された。

解説:アルサス、ロレーヌ地方は、普仏戦争の結果ドイツ領となり、第1時世界大戦の結果再びフランス領となった。

獨逸柘相阿弗利加行 9日伯林特約通信社発

新獨逸植民卿リンデングイスト氏は、4月南西アフリカに赴き、植民地行政に関する重要問題を決定する。

解説:ドイツ領南西アフリカは、現在のナンビアである。私の中学時代の教科書にはホッテントット族と書かれていたが、現在では侮蔑的な名称として使われず、コイコイ族と言われている。この民族はドイツ軍によって殆どが殺害され、歴史学者らは、20世紀で最初に起きたジェノサイド(大量虐殺)と言っている。ナンビア大統領は、現在、この補償問題でドイツと交渉中である。

 

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日本艦隊巴奈馬着 11日タイムス社発

巴奈馬来電=八代司令官の統率下にある本練習艦隊が当地に到着し、5日間の予定で滞在中である。同運河技師長の海軍大佐ゲータル氏は、自ら日本の士官を案内して、運河工事を見学させ、これに地図、海図等を与え、且詳細にこれを説明した。

解説:運河開通まで後4

印度の阿片輸出 11日上海経由路透社発

カルカッタ来電=昨日、当地に於いて阿片2,620箱が売却された。平均価格1箱につき、3,365ルピー(約2,180円)である。この為政府の収入は既に予算を超過すること3,580万ルピーとなった。アヘンの輸出減少の件は、1911年に適用されるものである。(一部抜粋)

運河防衛問題 10日桑港特派員発

巴奈馬運河の武装に関して、ヘラルド紙とサン紙の両新聞が、論戦中である。ヘラルド紙は極力武装に反対している。

 

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葡国の大罷業 12日タイムス社発

リスボン来電=各鉄道の労働者は、賃金引き上げを要求して同盟罷業を行い、又当市に於ける多数の商店従業員等も、就業時間を12時間に短縮するよう要求して同盟罷業し、各商店が閉鎖の状況である。しかし秩序は維持されている。

解説:ポルトガルは、革命で皇帝が追放されたばかりである。

白国皇帝と公果 12日上海経由路透社発

ブルッセル来電=ベルギー皇帝は、コンゴに於ける御料地の収益金3百万フランでコンゴ内河川用汽船3隻の購入費の充てる予定である。

解説:ここのコンゴは、現在のコンゴ民主共和国である。当初この地域はベルギー皇帝の領地であり、天然ゴムの生産では、収穫が少ない先住民の足を切断する等の残虐行為を行い、英仏等から植民地経営で最も残虐な経営と非難され、ベルギー政府がその領地を買い上げて、解決した事が有る。

 

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日英関税協議(満足に進行する) 13日上海経由路透社発

本社の聞知するところによれば、現在、ロンドンに於いて行われている日英関税協議は、満足に進行しつつある。多分この結果、通商条約に於いて英国より日本にある譲歩を行い、日本はこの譲歩に対する報酬として、その関税率を変更する事に取り組むと思われる。

パ運河防備論 同上

米国要塞局は、パナマの備砲に14インチ砲8門、6インチ砲12門、12インチ自動砲14門を備付、且平時の守備兵として、重砲兵2個中隊、歩兵4個連隊、野砲兵1個大隊、騎兵1個中隊を配置する事を建議した。なお大統領タフト氏はパナマ運河が完成したならば、同運河は事実上合衆国の広大な海岸線となるので、同地に砲台を置くのは合衆国の権利であり、又義務でもあると言明した。

学童排斥案 12日桑港特派員発

4年前の加州の州議会に於いて、大統領の干渉を引き起こした日本児童隔離学校案が再び、1両日中に下院議員ホールなる者によって提出されようとしている。同人は熱心に学童隔離を主張している。

 

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名画破壊 14日上海経由路透社発

ターダム来電=国立博物館にある17世紀オランダの画家「レンブラント」の有名な「夜警」の絵を、小刀を以って激しく破壊した者がいたが捕縛された。同人は海軍の調理人であったが身体がその職に相応しくなく、解雇されたと言われている。

(備考)レ氏は1607年に生まれ1669年に死去した大画家である。その筆になるものは、英国バッキンガム宮殿,獨逸ドレスデン美術館、上記のオランダ国立博物館等至る所で珍蔵されている。前記の「夜警」は35歳の筆であり、最も有名なものである。

運河防備の教書 13日紐育特派員発

大統領タフト氏は、12日の議会に於いて、パナマ運河交通に関する教書を朗読した。昨年議会に下した教書には、防禦工事費用として1千9百万ドルを要求したが、13日の教書には、1千2百万ドルを要求した。これは砲台と大砲を減らした為であると言う。なおタフト氏は、パナマ運河に防禦設備を行うのは、これは我々の義務であると言明した。

佛国外相の宣言「日仏協約と露国」 13日巴里特派員発

佛国外相ビション氏は、外務省の予算を説明し、代議院に次の様に述べた。

露国との同盟及び三国協和は、確固として動かしてはならない。ペルシャ及びモロッコに関する協和もまたしかり。又日仏協約は極東の平和を保障するものであり、日露協商を一掃容易ならしめた。

代議院を始め、佛国各新聞社は、外相の言に賛同し、その宣言が実行をされる様、熱心に期待している。

解説:第1次世界大戦まで4年、佛国にとって、怖い獨逸に対して大陸軍国である露国は頼みの綱であった。

 

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佛国外相演説と獨紙 15日上海経由路透社発

獨逸諸新聞は、一方に於いて露獨協約が獨逸を孤立させようとする陰謀の終わりを示すものであると公言しているが、同時に又一昨日の新聞に掲載された佛国外相ビション氏の冷静にして筋道の通った演説を称賛した。

英国の大罷業(戴冠式を機械に水夫)

英国に於いて商船の水夫等が大同盟をし、罷業を行おうとする形勢がある。これ等は、皇帝の戴冠式を機として、これに乗じて実行しようと計画しているようである。

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米国飛行学校 15日紐育特派員発

ジョージア州オーガスタ市に新設された飛行機練習学校は、16日より開校する。

副知事の排日論 15日桑港特派員発

加州の副知事で上院議長であるウオレース氏は、以前排日案調査委員中より排日議員を辞職させた人物であるが、氏は日本人の土地所有禁止問題につき、次の様に語った。

予は東洋人の我が州に於ける土地所有に反対する者であるが、されど日本領事の説明の様に、3年前に比べて加州の日本人人口が7千人以上減少したとすれば、我々は、最早これによって我らの文明が危急に陥るという事は言えない。余はこの際、日本人問題を惹き起こさねばならない必要性を認めない。何となれば、日本人が年々帰国することによって事件は解決されるべきものである。

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排日派の意見 16日桑港特派員発

日本人の土地所有禁止案の提出者である上院議員ラーキンス氏は、その議案に対し、次の様な意見を発表した。合衆国中に既にニュウヨーク州、;イリノイ州その他7州は、外国人の土地所有を禁止しているのみならず、不動産の外人所有を許していない。故に中央政府は、カルフォルニア州の禁止案に反対すべき理由はないはずである。諸国との条約を見ると、英佛露獨は合衆国との条約により土地所有権を有するが、日本の條約には土地所有に関する条項が無い。(一部抜粋)

運河防備反対 同上

ボストン来電によれば、パナマ運河防備反対理由を列挙した意見書が16日発表された。曰く運河は防備をしない方が戦時に於いて安全である。この意見書に署名した者は、国務卿オルネー氏、スタンフォード大学総長ジョルダン博士、ブラウン大学総長グリアス、銀行家ベヤボティーその他著名の学者、政治家が数名いる。(一部抜粋)

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日本学童隔離案 16日桑港特派員発

日本学童の隔離学校案は、16日加州下院にホール氏によって提出された。この法案は、各区の教育会に日本人、支那人、米土人、マレー人及びアジア印度人の為に、隔離学校を設ける権利を付与し、もし隔離学校を設立できない場合には、教室を別にして教育すべしと定めている。

東西洋衝突論 同上

加州大学総長ホイラー氏は、16日夜、「米国人」と題する講演を行い、太平洋の将来に関し、次の様に述べた。数世紀間、殆ど他と没交渉の姿である米国は、現在、太平洋岸に於いて東洋と相対するに至った。この太平洋は、東洋と西洋の衝突の大戦場となるであろう。

米国巨艦建造 17日紐育特派員発

米国政府は新たに3万トンの大軍艦2隻の建造案を議会に提出する様で、海軍卿は18日、委員会に於いて、この事に関し説明をすると言われている。搭載主砲は、14吋砲12門である。

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土耳古の不安 19日タイムス社発

欧州政局に重要な現象が見られる。獨逸の態度が俄然と一変し、トルコに関係する問題をトルコ政府に諮らず、唯露国との間に協定しようとしているが、それを見て、トルコが驚愕と不安の念を示している点である。トルコ領アジアのネエフに於けるスラム教高僧等は檄文を発し、正統派イルラム教徒たるとシヤ宗派たるを問わず、共に各種意見の差異を捨て、一致して外国の野心よりトルコ、ペルシャを保護しなければならないと勧告した。

波斯湾利用論 同上

タイムスは、英国政府がペルシャ湾地帯に於けるその政治的権利につき、トルコと協約を結ばなければならないと主張し、同方面に於ける英国の改革事業は、百年の長きに亙っており、今こそ、明確な決定を見る様にすべきであると言明した。

学童案提出 19日上海経由路透社発

サクラメント来電=一昨年と同様なカルフォルニア州に於ける公立学校の学童隔離案が、同州の議会に提出された。

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獨紙の英仏攻撃 20日タイムス社発

ベルリン来電=ドイツの諸新聞は、依然として佛英両国の攻撃を継続し、露獨関係の改善に反対して、陰謀を逞しくするものであると説きつつある。

土国の大兵派遣 20日上海経由路透社発

トルコ政府は、30個大隊と強大な砲兵隊とをアラビアに派遣することに決定した。これはアシル及びエーメン両州に於けるアラビア人の反乱を完全に撃破する為である。

商業同盟問題 大熊伯の直話 内国電報 20日発

▲獨逸駆逐の目的

モースリ氏の真意は、日英実業家及び一般国民の意思を疎通させることにあると雖も、裏面には、これによって獨逸を駆逐しようとする意思の歴々たるものがある。英国の製造業者は、その国民性として堅実、高価な貨物を作成するのみで、獨逸人の模造的速製手腕に及ばない。その為、独逸人は着々とその製品を英領インド、カナダ、海峡植民地等に輸入し、巨利を得つつある。

解説:海峡植民地とは、シンガポール等マレー半島に於ける英国の植民地

1次世界大戦まで後4年、ドイツは現在の中国の様な国であった。

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日英協定満足 21日タイムス社発

日英関税協議は、現在進行中である。そしてその結果は、国内、特に北部商工業者が行おうとする日本反対運動実現の危険を救うに足る性質のものであると信ずべき十分の理由がある。

波斯武器輸入 同上

ボンベイ来電=ペルシャ湾の密輸入防止方法は、殆ど完全に実行されるようになり、昨今は、稀な機会に、極僅かの武器が陸揚げされるに留まっている。

カーネギー氏の寄付 20日紐育特派員発

カーネギー氏は、今回、又々1千万ドルをワシントンのカーネギー協会に寄付した。これで同氏は、同所に25百萬ドルを寄付した。

解説121日大隈重信のインタビュー記事に、カーネギー氏が早稲田大学に1百万ドルの寄付をしたいと大隈伯爵に申し込んだとある。

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葡国政局現状 22日上海経由路透社発

リスボン来電=ポルトガル外務大臣は、その演説に於いて、次の様に言明した。ポルトガルの共和政体は、今回の罷業の結果、却って鞏固となり、労働者と官憲とは互いに信用する心が増加した。又ポルトガルが外国の干渉を受けたとの風雪は無根である。なお英米両国の会社は、ポルトガルが何らの犠牲を払うことなしに、海軍改造計画を実行することが出来るある提案を行った。

水兵3百名銃殺 21日紐育特派員発

先般、ブラジルに於いて謀反を企てた水兵に対し,取調中であったが、この程、この暴動に加盟した水兵3百名を軍艦に乗せ、海上に於いて銃殺し、悉く海中に投じた由

解説1214日「伯国水兵反乱」の記事で巡洋艦が、リオデジャネイロ市の砲撃を続けたとの記事がある。市民に200名位の死者が出た模様であるが、これは待遇改善を求めた水兵の反乱であった。

軍艦建造通過 同上

米国政府が新たに建造しようとする2万7千トン以上の戦闘艦2隻を建造する案は、20日、議会の委員会を通過した。

 

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巴奈馬防備論 23日タイムス社発

ワシントン来電=大統領タフト氏は、パナマ運河に砲台を築き、且同運河の中立を維持する事は合衆国の権利であり、又義務である旨を主張する演説を行った。これは米国の政策を明白に発表する最も有力な議論である。しかし大統領の意見にマハン大佐を

同意させる為には、その運河の防備を砲台建築に限り、海軍を用いない事にしなければならない。

解説:マハン大佐は、米国海軍軍人でその戦略論は世界的に高い評価を受けている。退役後、1906年に少将となっている。

ペスト予防 23日上海経由路透社発

デーリーメイルの北京特電に依れば、ペスト蔓延の為に、外交団は公使館街と外部との交通を遮断したと云う。

露獨協約と土国 22日伯林特約通信社発

トルコ代議院に於いて、露獨協約に対する質問が起こり、トルコ外相は、これに答えて、トルコの利益は、この条約によって少しも毀損されないと言明した。なおこの協約に関し獨逸政府の発したドルコに対する友愛宣言に重きを置いた演説を行い、代議院はこの答弁に満足の意を表した。

 

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米国政界動揺 24日タイムス社発

ワシントン来電=共和党内の進歩主義者が共和主義の新団体を組織する為、政界が非常に動揺している。新団体の宣言書には、多数の元老院議員、下院議員、西部地方に於ける進歩的運動を代表する各州の知事等も署名している。この新団体の目的は、人民の輿望に副える政府を作る為であり、タフト氏の再選を援ける意がないのは明瞭である。

英波交渉近情 24日上海経由路透社発

テヘラン来電=英国政府は、ペルシャ政府の措置が失敗した場合には、印度軍隊の将校を招聘して、道路警察を組織する事を主張する権利を保持すると言明し、又南部地方の税関に1割の付加税を課し、この増加を安寧秩序の維持費に充当したいとのペルシャの要求に関しては、これは主として英国の貿易に影響を及ぼすものであるので、英国はペルシャの憲兵組織に英国の将校を聘用しない限り、ペルシャの要求に同意する事は出来ないと言明した。

 

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佛国出産減率 25日タイムス社発

パリー来電=佛国にては、出産率現象の結果、各植民地の軍隊は、新たに土人を以って編成し、以って実力減少を補充しようとの議論がある。

墺国海軍拡張理由 25日上海経由路透社発

ウイーン来電=1911年度墺国海軍予算の説明書に依れば、海軍の拡張は、墺国海軍の為に開かれた海路を維持し、且海岸線保護の必要に基づくものであり、海岸線の保護はボスニア併合によりますますその必要を増加したと云う。

土人減刑反対運動 25日上海経由路透社発

ケープタウン来電=南阿連合総督グラッドストン男爵は、白人の夫人を辱めて、死刑の宣告を受けた土人に対し、減刑を施した為、ローデシア地方に居る欧州人は、大いにその不当を叫び、大会を開き、総督が法律に干渉する事に反対し、過激な演説を行い、私刑を加えるべきと怒号した。

 

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カーゾン卿の講演 26日タイムス社発

カーゾン卿は、グラスゴー大学に於いて講演を行い、ヨーロッパとアジアの歴史的関係を詳述した後、日露戦争との重大な関係を切言し、東洋諸国の国民が至る所で、選挙による政治を要求するようになったのは、東洋人の覚醒の表れであると述べた。又卿は印度に於ける英国の優越的地位に関しては、将来を楽観し、英人特有の資質は、東西の利害を調和するに適していると言明した。

ロンドンタイムスは、カーゾン卿のこの演説は、東洋に於ける真の危険を聴衆に感じさせることが出来なかった。東洋に於ける真の危険は商工業に与える影響であり、これについては、欧州人に比べ東洋人の方が過敏であると論評した。

解説:カーゾン卿は、1899年かた1905年までインド総督を務めた人物であり、第1次世界大戦のロイド・ジヨージ内閣では5人の戦時内閣の一人であった。

土領反乱後報 26日上海経由路透社発

コンスタンティノープル来電=アラビアの蛮族は、ホデーダを包囲した為、同地の住民は多いに激昂した。しかし同地の守備隊は、十分の防御力を有すると信じられる。なおトルコ兵は、去る23日、ホデータとサナサとの連絡を開こうとしたが、この企ては失敗に終わった。

日本逆徒処刑反響 25日紐育特派員発

マドリード来電=東京に於ける無政府主義者の処刑に抗議する為、集会を催すべしとの張り紙をバルセロナ市中に掲げた者があり、この張り紙は警官の手により撤去された。そしてスペイン国首相は、若し少しでも日本政府を攻撃する様な事が有れば、この集会を解散すべき旨をバルセロナの官憲に訓令した。

巴里来電=佛国の革命的社会党員が東京に於ける無政府主義者の死刑に抗議する為、佛国政府は特に警官を派して、パリーの日本大使館を警備させた。

解説:幸徳秋水は、118日死刑を宣告され、24日処刑されている。

 

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佛国労働者年金 27日タイムス社発

パリー来電=代議院は、新労働者年金法案の審議を終了した。この法律は、7月から施行される。そしてこの法律により年金を受ける労働者の総数は、千2百万人の予定である。

前国務卿の演説 26日紐育特派員発

上院議員である前国務卿ルート氏は、25日、上院に於いて航海奨励法案に関する演説を行い、カルフォルニア州、オレゴン州及びワシントンの諸州の商業は、今や日本の商船に依って営まれ、太平洋沿岸3マイル以外は、日本の領域の様な感じがする。又米国は、清国の門戸開放を主張しても、清国は米国の物品を多く購入しない。その為に南米の様な有利な国に向かって、発展しなければならない。この場合に必要なものは商船であり、この商船は政府で保護しなければならない。

ガラパゴス買収運動 同上

エクアドルのガラパゴス諸島を買い入れようとし、米国は盛んに、同国に対し威圧を試みている。その買収費用は3千5百万ドルであり、米国が、これを譲り受ける場合には、同国の安全を保障するとの条件を付けた様である。

 

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日米通商条約談判進行 27日上海経由路透社発

本社の探知する所に依れば、駐米日本大使と米国国務省通商代表との間に日米通商条約改定に関する商議が行われつつある。その模様は、秘密に付されているが、協議は進行していると言われている。

排日諸案件消息 27日桑港特派員発

ワシントン州議会の上院では、26日東洋移民入国を更に制限する事を議会に請願しようとの決議案が通過した。又カルフォルニア州議会は、先に提出した日本移民制限案を26日委員会に提出した。そして戦艦の太平洋派遣案は同委員会を通過した。

 

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条約に対する排日運動 28日桑港特派員発

共和党のカリフォルニア州会に於いて、下院議員ボルスレー氏は、日米條約に日本移民禁止案の項目を挿入する様に、カルフォルニア選出の上下両院議員に運動する事を望む旨の提案を28日の集会に提出した。これは27日ワシントンより、米国政府が日本の要求を容れ、新日米條約より、第2条の但し書きを削除する事に同意したとの報道があったので、予めこれを防ぐためである。

 

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土国官軍勝利 30日タイムス社発

コンスタンティノープル来電=トルコアジアヘーヅヤス鉄道に於いて、又々激戦があり、ベトウイン蛮族は敗北し、死傷300名を出した。官軍の死傷は56名に過ぎない。

解説:当時、トルコから西スエズ運河まではトルコ領で、トルコ総督が治めていた。記事に出てくるベトウイン族とは、この地域に住むアラビア語を話す人種である。当時はシリア太守(シリアの酋長)がこの地域の種族を纏めており、その活動は「ローレンスのアラビア」に物語として詳しく書かれている。

但書削除反対論 29日桑港特派員発

加州の上院に於いて、28日午後、議員サンフォード氏によって、前日下院に提出されたものと同様の日米條約第2条但書削除反対の決議案が提出された。議員中には、他の排日的諸議案に反対の意見を唱えるものも、この案には賛成する者が多い様である。

西国移民食止策 同上

 

スペイン政府は、同国の労働者が年々20万人も南北米国に移住する事を憂い、これを防ぐ為に、国内に公共事業を起こす計画に着手したそうである。