91

同盟国人の希望 30日上海経由ロイター社発

ロンドンタイムスは、韓国に於ける関税問題の措置について論評し、我々は日本が同盟国である英国の意見をもう少し尊重するように望む。我々は常に日本の意見を尊重している故に、我々の意見も同様に尊重されるべきと思っている。

佛国の併合評 30日巴里通信社発

日韓合併は予想の実現に過ぎないので、佛国では深い感動を引き起こしていない。諸新聞は、何らの意見も述べず、唯英国人一般の世論に賛同して、これを掲載しているのみである。即ち英国人は、日韓合併に対して好意を表しているが、政治経済財政的に多少の考慮する点が無きにしも非ず。しかし日本人の平素の信義を信頼し、節度ある方針は日本と諸外国の友好や信用を確保するであろうとの意見を有している。

併合反響なし 30日桑港特派員発 

日韓合邦の公電が29日発表されたが、今日まで何ら反響なく、当地方の白人は平常で、別段注目する風情はない。英字新聞は論評すら掲げず、併合は自然の運命であり、韓国人の為には却って幸福であると短評を加えたに過ぎない。

92

日韓条約非難 1日タイムス社発

伯林来電=フランクフルテル ツアイツング通信員は、猛烈に日韓併合条約及び詔勅の内容を非難し、同条約が外人の権利について記載した所が無いのみならず、詔勅の中でも外人に関するものが不明瞭であることを攻撃し、日本は、併合以前に外人の條約権喪失に対し、これに代わる同一のものを列国に与える事ができた筈であると説き、今回の併合実行の遣り口は国際法上、新しい所があり、これは他国に対する日本外交の政治的勝利ということができると説いている。

朝鮮協会の決議 1日上海経由ロイター社発          

桑港に本部を置く朝鮮国民協会は、断固として主権の譲与を非難し、且日本の強圧を攻撃した決議を行った。同会は、この決議の末尾に「我々は真正な韓国の臣民である。決して自由と独立の為にする奮闘を中止することはない」と付言した。

93

マニラの暴動 2日上海経由ロイター社発

マニラ来電=前知事シメオン、マンダーク及び亡命者イロコスノルトを首領とする暴動がヌエザキスカヤで発生し、司法官及び警察官が現地に急行した。

解説:フィリピンは1901年からアメリカの植民地となっている。日露戦争後の1905年、桂総理大臣と米陸軍長官タフトの間で桂・タフト協定が結ばれ、日本は米国のフィリピン支配権を認め、米国は日本の韓国支配権を認めた。

朝鮮人団体の宣言 1日紐育特派員発 

在サンフランシスコ朝鮮人団体である愛国協会員は、1日夕、大会を開き、徹頭徹尾合邦に反対し、祖国の自由と独立の為に戦うべしとの宣言を行った。同協会会員は在外朝鮮人1万人の代表者であると自称している。

 

94

獨逸造船業界紛議 3日タイムス社発 

獨逸の造船業組合は、職工の罷業に対抗する為に断固たる手段を採ることを決定し、終に汽缶製造組合の会員に対し、工場を閉鎖した。これは紛争の続発及び事業停止等の弊害を根絶しようとの決心を現したものであり、その汽缶製造組合の会員に対しては、その組合が契約の履行を保障するまで、復業することを承諾しないと云う。この為影響を受ける者は約2万人に達すると思われる。そして北部地方の商業は大きな影響を被っていると思われる。結局各造船会社の支店もこの渦中に巻き込まれると思われる。

 

95

獨逸造船職工罷業 4日上海経由ロイター社発

獨逸造船会社職工の多数は、本日午後を以って罷業した。

ロ氏の海軍論 3日紐育特派員発

ローズベルト氏は、2日オタワ市に於いて、海軍拡張は平和の保証であるとの氏の持論を発表し、更にパナマ運河と海軍との関係について言及した。

解説:ロ氏とは、前大統領ローズベルトである。

新駆逐艦艇 同上

米国の新造駆逐艦ボルチツグ号は、試運転の結果、32,8ノットの速力を出した。この駆逐艦は、その機関に石油を使用していた。 

解説:当時は石炭が主燃料の主流であった。

 

96

パナマ防衛論 5日タイムス社発

ワシントン来電=パナマ運河に要塞を築く必要については、大統領タフト氏とローズベルト氏の意見は一致しているが、一般の世論はむしろこれに反対である。多分この砲台建設論は、海軍力倍加論の為に圧伏されると思われる。

解説:パナマ運河は、1904年に工事が始まり、19014年に完成した。

造船紛議形勢 同上

約束の履行を保障するに足る取り決めが成立するまで、職工の再就職拒絶する造船業組合の行動は、一般に是認されつつある。英国の世論は、職工の組合長等がその部下を制御する事ができず、商業界を撹乱する事に対し不満を持っている。

 

97

獨逸造船所罷業 6日タイムス社発

伯林来電=ステツチンのフルカン造船所の職工千余名は、同盟罷業を行った。これは、フルカン造船所が現在同盟罷業の影響を受けている他の造船所の仕事を引き受ける事を約束した故である。

エ博士の新剤 5日上海経由ロイター社発

エーリヒ博士は、新薬ヒ素化合物を医学社会にて問題となっている606名の黄熱病患者に適用したが、その経験によれば、その薬は、マラリア、睡眠病及び間歇病に有効なことが判明した。

解説:エ博士とはパウル・エールリヒ博士と思われる。 

ドイツの細菌学者、生化学学者で1908年にノーベル生理学・医学賞を受賞している。(ウイキペデイアより)

 

98

露兵撤退問題 7日タイムス社発

テヘラン来電=露国軍隊の撤退に関する交渉は、危うく進退両難の問題に陥ろうとしている。英国公使は、ペルシャ政府と露国公使の中間に立って、円満な解決を図っている。英国政府は、商業上の譲与を得る為に兵力を使用する方針を認める様議会に要求する事はできないと明言した。

解説:ペルシャは北半分は露国の勢力圏、南半分は英国の勢力圏となっている。

佛国無評 7日巴里通信社発 

日韓併合に関する英国諸新聞の意見は、一方に偏る傾向を示しているが、佛国の諸新聞は、この事件に関して評論していない。

 

99

英国児童陸軍教練 8日タイムス社発

2万の英国少年が斥候兵籍に編入された。陸軍大臣ハルデン氏は、英帝国の各学校に強制的陸軍教練を実施する法案を議会に提出すると思われる。

解説19147月から始まる第1次世界大戦まで約4

波斯財政顧問問題 8日上海経由ロイター社発

テヘラン来電=ペルシャ議会は、先に決定した佛国人の代わりに、米国人を財政顧問として招聘することを殆ど満場一致で可決した。 

解説:当時のイスラム教の大国は、トルコとペルシャであったが、トルコと比較するとペルシャは内紛が絶えず、露国と英国の勢力圏下に置かれていた。

 

910

獨逸陸軍演習9日タイムス

エルピングよりの特報によれば、今回の獨逸陸軍演習計画は、現在までに計画されたものの中で、最も手広く、行き届いた計画の様で、関係人数は9万人である。

解説:ドイツは、東側にロシア(当時の人口約1億4千万)、西側にフランス(当時の人口約4千万)に挟まれた国であり、陸軍作戦としては最初に東側ロシアを叩き、急いで兵力を西側に移動させフランスを叩く事を基本戦略としていた。これはシュリーフェン・プランと言われていた。第1次世界大戦まで約4年

米国とパナマ:8日桑港特派員発

パナマ議会は、7日より大統領後任者を選挙する為に開会した。排米派の首領である現副大統領が当選する情勢であることから、同国駐在米国代理公使は、若し同国が米国政府の希望に反する行動を取るならば、米国政府は自国の利益を擁護する為、パナマを併合するか、或いは占領するかの手段を講ずるであろうと声明した。 

解説:パナマ運河の開通まで後4年、19148月に約10年の歳月を掛けて完成した。

 

911

獨逸造船業紛議 10日タイムス社発

獨逸造船罷業の形勢は、増々容易ならざる情勢となってきた。雇主等に工場閉鎖をするようにさせた責任者とみられる汽缶製造職工協会員等は、その首領達に、国内全部を通じて「雇主及び労働者間の契約に将来決して違反せず」と言う確約を雇用主に対して行う事を許さない旨決議した。

英国紡績危機 同上

紡績業者は、職工との紛争の結果、これに対して工場閉鎖を断行する模様である。

米国罷業者勝利 10日上海経由ロイター社発

シカゴ来電=23週間に亙り罷業したイリノイ州炭鉱夫は復業した。雇主に労賃の一般的増加を行わせた。

軍用飛行機失敗 同上 

現在実施中の獨逸陸軍演習に於いて注目すべきは、飛行機の偵察任務が全て失敗に終わった事である。侵入軍の蛇行式飛行機は、暴風雨の為、余儀なく適地に降下して逮捕され、又防御軍の蛇行式飛行機は、観察を誤った情報を伝え、防御軍はこの誤報を基礎として予定の行動を変更した結果、全体の形勢に於いて、侵入軍は有利の地位を占めた。

 

912

半排日 10日桑港特派員発

9日デモクラット党上院議員カミニト氏は、、自分の意見、即ち加州発展の為に、日本人若しくはこれに等しい労働者は必要欠くべからざると言うのは、加州州民の世論ではないとの、加州労働局長マッケンジー氏へ宛てた決議案を提出し、上院は満場一致を以って可決した。下院には何らの決議もなく、州会同日閉会した。

 

913

獨逸陸軍演習 12イムス社発

伯林来電=獨逸陸軍演習に於いて、主に注意を引いたのは、虚偽の陣地を用いて、真実の陣地を隠蔽したことであった。赤軍の司令官は、この手段により、青軍が、敵が十分準備した場所に於いて攻撃せざるを得なくなり様にさせた。

加州排日決議 内国電報(12日)

加州労働党労働党労働局長が加州発展の為には、日本人若しくは之に等しい労働者が居なければならないと報告したのは、加州州議会の決議で日本労働者の状態を調査した結果であり、加州産業の状態は、実際日本労働者必要欠くべからざる事を示しているからである。(一部抜粋)

 

914

佛国演習と飛行器 13日タイムス社発

佛国陸軍演習の際、双方の軍隊は、共に偵察の為、飛行器を用いた。ブレリオ式単葉飛行器は、敵軍の全陣地の上を飛行したが、敵は高角度の発砲に適する海軍砲を自動車に乗せて、飛行器を追い、これに発砲した。又双葉飛行器は、右攻撃軍の本体の所在を明らかにすることができた。

英国労働争議 13日上海経由ロイター社発 

英国セフィールドに於ける労働同盟大会開会に際し、その首領連は,正に4個の重大な資本対労働の紛争に会した。汽缶製造職工事件、南ウエールス炭鉱夫事件、大北鉄道人夫の紛争及びまさに起ころうとしているランカッシヤー紡績工場閉鎖である。

 

915

英国と結核 14日タイムス社発

最近の調査によれば、英国に於いては、年間35万人の結核患者が発生し、内死亡者は9万人である。英国肺病予防協会に於いては、今や、肺病に対し教育的防御手段を開始しようとしている。

解説:当時の英国の人口は、日本とほぼ同じ約4千万人であった。英国の現在のコロナの死亡者は、累計13万に(文芸春秋10月号)であるのに比較すると年間9万人は非常に多い。

軍用飛行機成功 14日上海経由ロイター社発 

佛国の陸軍演習に於いて、飛行機は風が強く、且多くの障害物があったにも拘らず、有益な偵察任務を果たし、司令官は、止むを得ず軍隊の配置を変更せざるを得なかった。一方、飛行船の方は風に阻まれて、降下した。

 

916

米国公使召喚 上海経由ロイター社発

ワシントン来電=パナマ駐箚米国代理公使マーシュ氏が召喚された。その理由は、氏が新聞記者と会見した際「若し副大統領メンドサ氏が大統領に選出された場合には、米国は、止むを得ず同国を占領するか、若しくは併合する」と語ったからと思われる。

解説:910日の記事「米国とパナマ」の続報

ツ伯飛行船火災 同上

バーデン来電=乗客運搬飛行船ツェペリン第6号は係留場に於いて焼失した。これは石油運搬車に爆発が発生した為である。作業員6名が負傷した。

解説:ツェッペリン伯爵は、1909年に世界発の旅客を運ぶ航空会社を設立したが、1937年、米国でヒンデンブルク号の爆発事故が発生し幕を閉じた。

米国移民統計14日紐育特派員発

本年6月までの過去10年間に、米国に入国した移民は9772512人であり、これら移民の持参金は、平均20ドルである。但し日本人の持参金は割合に多く、一人に付き40ドル平均である。

 

917

英国労働同盟決議 16日上海経由ロイター社発 

英国労働同盟会議は、オスボーン判決(労働同盟が同盟員から強制的に会費を徴収し、これで下院内の同党議員を支援する事は違法であると判決したもの)の破棄をし易いように極力政府に圧力を掛け、且同判決を選挙の争点とするという議案が圧倒的な多数で通過した。

 

918

希土関係不穏 17日タイムス社発

アデン来電=ギリシャ政府は、トルコを激怒させない決心をしているが、人心は非常に不安に思っており、テサリーでは、トルコ軍が急に侵入してくるのではないかと憂慮している。トルコは、ギリシャ国境の軍隊を3倍とし、軍需品を集めたと言う噂がある。

埃及党大会禁止 同上

巴里来電=佛国政府は、パリーに於けるエジプト国民党会議の開催を禁止した。これは、佛国が、英国に反対する公然な革命的運動を許さない決心を示すものである。同時にこの措置は、佛国が北アフリカに於いて、自己の勢力を維持する必要がある点にも関係している。

解説:エジプトは英国の勢力下、モロッコは佛国の勢力下にある。

英国海軍砲術 17日上海経由ロイター社発

英国海軍砲術は進歩した。内国艦隊のドレッドノート型艦隊は、同時に射撃を行い、5マイル離れた所にあるドーバー海峡の大標的を3分間で完全に破壊した。 

解説5マイルとは、9000メーターである。これは、おおむね東京湾の観音崎灯台から対岸の富津までの距離であり、双眼鏡でなければ、標的を視認することのできない距離である。

 

 

919

土獨墺同盟論 18日上海経由ロイター社発

クイント神父派機関誌ファテルランドは、墺獨両国同盟を結ぶ様にトルコを勧誘する文案を掲げ、何れの強国の団結も、この様な結合を攻撃し、若しくはこれに敢えて反抗することはしないであろうと言明した。この文案は有力な陸軍筋より出たと信じられている。

解説:第1次世界大戦では、ドイツ、オーストリア、トルコは同盟国として戦った。第1次世界大戦まで4 

 

920

印度政策論 19日タイムス社発

ロンドンタイムスは、英国の印度政策について、次の様に述べている。

印度の改革を指導監督するという大事業は、決して解決しがたいものではなく、その為には、印度人が衷心より喜んで仲間となる様にすることが必要である。しかも時期尚早で失敗するような事を、試験的に行ってはならない。即ち英国は印度人の諸問題について、十分に広い心を持つと同時に、彼らが未だ自治を行うには早いと言う主張を維持しなければならないと言明した。

獨逸陸軍評 同上

獨逸陸軍演習に臨んだタイムス特派員は、獨逸軍が陸軍としての最上の性質を示したと説き、彼らは敵軍に接近するに、土地に適応して各種の装備品を使用したと言明した。

排軍隊運動鎮圧 19日上海経由ロイター社発

パリーに於いて伝えられた所に依ると、毎年の兵士除隊に際して、軍隊反対の示威運動が行われるが、政府はこれを鎮圧しようと厳しい手段を採ろうとしている。 

解説:第1次世界大戦まで4年、ドイツ軍は着々と準備をしていたのに対し、フランスは、迫りくる戦争への十分な備えが無かった。

 

921

英国紡績決議 20日タイムス社発

マンチスターの紡績業者連合会議は、若し労働争議が解決しない場合、10月より各工場を閉鎖する事を決議した。この影響を直接受けるのは15万の労働者であるが、利害関係がある者は、この外に35万人と言われている。

巴奈馬運河防備 19日紐育特派員発

米国大統領が次の議会に送る予定である教書の中で、重要な問題は、パナマ運河防備と海軍拡張案である。海軍拡張では、ドレッドノート型戦艦2隻を建造する事を要求している。運河防御案では、先ず200万ドルの支出を要求し、直ちに工事に着手し、計画全体では1400万ドルを要するものである。大西洋、太平洋の両端に砲台を築造し、さらに、付近の太平洋にある諸島にも防備を行う計画である。更に又海軍省に於いては、キューバ島のグアンタナモ湾にも海軍根拠地を置く予定で、9月下旬、同地へ海軍卿メーヤ氏が派遣されることになっている。これについて、海軍精通者の意見によれば、将来若し外国と戦端を開くことがあれば、パナマ運河付近に於いてであろう。

解説:キューバのグアンタナモ基地は、1903年に米国が租借して以来、現在も続いている。

 

922

獨帝墺国行 21日タイムス社発

ウイーン来電=獨逸皇帝は、墺帝訪問の為に到着された。帝は80歳を越えている墺帝に比べ、反対に年老いた体躯で、痩せて活気がない様に見えるとは一般の評である。

解説:獨逸皇帝は、1859年生まれで、当時51歳であった。難産の後遺症で身体障害者であった。

英国労働会議 21日上海経由ロイター社発

汽缶製造工の代表者会合が、英国のニューキャッスルで開かれた。同会合では、今回の工場閉鎖を促した所以の、部分的罷業を今後再び起こさせないとの誓約を雇主に与える件に賛成すると信じられている。

日本の南米発展 20日紐育特派員発          

 ワシントン来電によれば、日本は南米太平洋岸に於いて、大いに貿易を発展させようと試みている。チリ―の祝典に臨席させる為に特派大使を送り、南米枢要の地について、熱心に調査中である。

 

923

阿片会議と英国 22日上海経由ロイター社発

英国は、ヘーグに阿片会議を開催しようと言う米国の提議に同意した。但し英清間に存在する現條約は討議すべきではないとの条件を付けた。

米国大使冷遇 同上

 

トルコ駐在米国大使ストラウス氏は露国訪問を中止した。これは大使がユダヤ人である為、外交官特権がある旅券の付与を拒まれ、単にユダヤ人に与えられる普通の許可を得た為である。最も露帝は、同氏に特別許可証を発行するように命じたが、ス氏はこれを辞退した。