10月1日

日露鉄道協定成る 30日タイムス社発

露都来電=日露間鉄道汽船の通し切符に関する諸条件が遂に決定した。日本代議員等は高級な勲章を受けた。又本野大使は、10月1日東清鉄道会社重役を招き、饗宴を催す事になっている。

獨逸工場閉鎖 30日上海経由ロイター社発

獨逸ラウシツツの織物業雇主協会は、一工場で同盟罷業が行われた結果、2万5千の職工に対し、工場閉鎖を宣言した。これは、英国の紡績工場閉鎖と同一性質である。

 

10月2

基督教徒迫害 30日上海経由ロイター社発

アデン来電=諸電報によれば、マケドニア、モナスチールの状況は、到底耐え難い程である。武装解除を実行させつつあるトルコ兵士は、種々の方法で、農民を迫害し、武器を引き渡さない人々の家屋を焼き始めている。その為、キリスト教徒は益々憤激している。

解説:マケドニアはトルコ領で、ギリシャの北側に位置する。住民の7割がキリスト教徒である。

紡績仲裁不成立 同上 

英国商務院官吏アスクイス氏は、非公式であるが紡績業者及び職工の紛争解決を図り、工場が閉鎖される事態に陥るのを救いたいと考え、マンチスターに赴いた。そして双方が同席した会議を開いたが、何ら解決することなく、散会した。

 

103

日本関税に対する運動 2日上海経由ロイター社発

英国ヨークシャー州ホツデルスフィールド商業会議所の報告によれば、商務院長は、同州の毛織物貿易に及ぼす日本関税の重大な影響について、陳情しようとした委員に対し、効果がないであろうとの理由で、面会を謝絶した。この為、同会議所は、商務院長に面会を求める件を決議し、且日本関税が過重である事、即ち日本の貧民は、冬季に毛織物を着る事ができない事になるであろうと陳述する予定である。

英国紡績工場閉鎖 同上 

7百の木綿紡績工場が本日正午、閉鎖された。この為に影響を受ける者は約15万人である。

 

104

希土関係険悪 3日タイムス社発

アデン来電=責任ある方面では、ギリシャの対外関係が非常に危険となっている事を認めており、且和戦の問題を決定するのは、トルコ政府ではなく陸軍を支配している青年トルコ党委員である。故に同委員はギリシャ侵攻を決定することもあり得るであろうと信じられている。

ギリシャ政府は、去る金曜日、クリート人3名が選出された国民会議の議席が空席となった旨宣言した。

解説:トルコ委員とは、立憲制の復活を主張する青年トルコ党で1908年に革命に成功している。1923年にはこの党の急進派ケマル=アタチェルクがトルコ共和国を建設している。

このクリート人とは、元オスマン帝国領であったクリート島から選出された議員である。青年トルコ党は、この島はトルコ領土であると主張している。

英国紡績紛議解決近し 同上

英国の紡績業工場閉鎖の解決は近いと思われる。職工等は、商務院商工局総長アスクイス氏の提出した条件を入れたが、多分本日、雇用主側の承諾を得たれると思われる。 

解説10月2日の記事「紡績仲裁不成立」の続報

 

105

紡績紛議解決せず 4日タイムス社発

英国の紡績紛争は、未だ解決していない。紡績業者等は、職工連が合意した商務院商工部長アスクイス氏の妥協案を拒絶した。

解説:昨日の記事「英国紡績紛議解決近し」の続報

英国首相の回答 4日上海経由ロイター社発

英国首相アスキス氏は、ベレスフォルド大将の公開質問状に答え、英国政府は、海軍上の優勢維持が最高の要件である事は十分に認めている。故に如何なる必要な手段でも、これを執る様に議会に求める点に於いて、決して躊躇する事はないであろうと言明した。

解説929日の記事「ベ卿の海軍拡張論」の続報である。

英国海軍の基本方針は、海軍力第2位と3位の合計海軍力を上回る勢力を維持する事で、当時第2位は米国、第3位は独逸であった。

 

106

土英国際談判 5日タイムス社発

コンスタンティノープル来電=トルコ兵士はマケドニアに於いて、武器没収を強制執行中であるが、モナスチールに於いて、英国副領事館に入り、探索を行った。英国大使館は、その詳細を得た上で、トルコ政府に対し、強硬に抗議をすると思われる。

波斯廃帝陰謀 5日上海経由ロイター社発

ペルシャ政府は、英露両国大使館に対し、前帝モハメット、アリがターコーマン種族に反乱を教唆している事を伝え、両公使館より本国政府に通知する様、要求した。つい

解説:ペルシャは、北半分は露国、南半分は英国の勢力圏である。ペルシャは内紛が多く、前国王は、追放されている。

葡萄牙革命運動 同上

リスボンに革命運動が起こったとの噂が数時間前より、盛んに行われるが、しかし未だ確かめられていない。王宮は共和党の手に落ちた様だ。

葡萄牙皇帝囚わる 同上

デーリー、メールの報道によれば、マヌウエル皇帝は、革命派に囚われた。革命派は、ポルトガル王家の紋章を取り外し、その後に革命派の青緑旗を掲げた。 

解説1910年ポルトガルは、王政からポルトガル共和国となった。

 

10月7

ベンゴール問題 6日タイムス社発

カルカッタ来電=インド政府は、ベンゴール州の分離に反対する示威運動に賛成しないが、人民が同運動を行う事を許可する旨を通達した。欧州人の多数は、政府の態度を是認するが一部の人は、あくまで同運動を鎮圧する事を希望している。

解説:ベンゴール州とは、インド東部で、現在のインドの西ベンガル州バングラデシュからなる。「バングラデシュ」はベンガル人の住む土地を意味する。

1947年パキスタンがインドから独立、1971年東パキスタンからバングラデシュが独立した。

共和制布告 英国公使報告 同上

リスボン駐箚英国公使は、5日、次の打電を行った。

3(月曜)夜、重大な騒動が起こった。守備隊の一部は、自ら共和党である旨を宣言し、4日朝から夜まで、戦闘が行われた。夜に入って、共和政が布告され、人民は熱烈に歓迎した。現在、仮政府を組織中であると信じられる。ポルトガル帝はマツラ(リスボンの西北の一小市)に居ると報じられている。又皇太后及び皇叔(こうしゅく)は、4日、当地からカスカエス(リスボンの西)に赴いたという。但し何ら確実な報道はない。

日本農民歓迎(伯国近信による)

武村移民会社は、旅順丸によって、第2回移民9百名をブラジルに送ったが、その成績は良好と言える。これは、同国の農園主の希望により、純然たる農民家族のみを選抜した為と思われる。第1回移民は、学生、教師、巡査上がり等労働に慣れない血気盛んな青年が混じり、甚だしいのは同盟罷工を行った者も居た。しかし大部分は従順な労働者で、特に熊本県人は日本移民の模範として重んじられ、郷里への送金が盛んな為、熊本県に於けるブラジル出稼ぎは、恰も広島地方に於けるハワイ出稼ぎの様に好評である。 

解説:第1回ブラジル移民は、1908(明治41)笠戸丸で行われた。

 

108

英国紡績紛議落着 7日上海経由ロイター社発

英国紡績工場閉鎖は終了した。諸工場は月曜日より操業する予定である。

解説105日「紡績紛議解決せず」の続報

列国への通告 6日上海経由ロイター社発

ポルトガル政府の大統領プラガ氏は、列国に対し共和国政府と布告され、仮政府の組織が成立した事及び人心、財産の安全を保障すると通告した。

造船所紛議妥協 同上

ハンブルク来電=造船職工は、資本家の側から出した妥協案に同意した。

解説:911日「獨逸造船業紛議」の続報

葡国皇族の消息 同上 

ジブラルタルの本社通信員の報道によると、皇太后アメリー及びアンファン、アルフォンツを乗せた快速艇がジブラルタルに到着し、マヌエル陛下も乗り組んで居たと言われている。

 

109

新西蘭禁酒案 8日タイムス社発

ウエリントン来電=ニュージランド政府は、酒屋免許案に関係して、若し有権者の多数が賛成するならば、全州に亘って国民全体の禁酒法を実行するという提案を定めた。

葡萄牙新政府方針 同上 

葡萄牙政府の司法大臣コスタ氏は、タイムスに打電し、今や国内諸州の軍隊は、遂に新政府に味方するようになり、税関及び政府の諸官庁も再び業務を開始した。今後同政府は、防備を強固にし、且英国の真の、且真面目な親友となりたいと考える。又各植民地には、自治を許し、国内には自由な普通選挙制を布き、僧尼を放逐し、政教分離を断行し、皇帝及び皇族を追放すると言明した。

 

 

 

1010

獨紙の葡萄牙革命観 9日上海経由ロイター社発

伯林来電=ライヒスホウテ新聞は、ポルトガル革命について、次の様に論評している。英国は、ポルトガル革命党の計画に参画していた。又ポルトガル皇室は、英国に強制されて、ジブラクタルに出奔したのである。我々が今回のポルトガル革命で得た一大教訓は、何れの国民及び皇室も、英国の政策の道具に使われるならば、その地位を保つことはできず、そしてその運命を計ることができない。マキャベリ主義に託さざるを得ない事である。云々

解説:マキャベリの君主論では、「君主が善良で敬虔、慈悲深い人間であることは称賛すべきであるとしつつも、人間の現実をみるならば、もしこの理想のままにふるまうならば、そうした君主はかならずや没落するだろう」と論じた。マキャベリ主義とは君主には、目的を達成する為には手段を択ばない権謀術数をさす。

葡国革命と米国 8日紐育特派員発

ポルトガルの新共和制の発表に対して、米国国務省は未だ承諾の回答を与えていない。これは英国の承認待ちをしているものと思われる。

 

 1011

葡国の僧侶迫害 10日タイムス社発

リスボン来電=人民が、ローマ教会の寺院、会堂等を襲撃するので、軍隊はこれらを保護する為に、群衆を阻止した。特に尼達は他に移された。

解説1936年に始まったスペイン内戦でも、子供の教育を担当していた女性聖職者がたくさん殺害された。

波斯南部騒乱 10日上海経由ロイター社発

テヘラン来電=ペルシャ南部の諸州に於いて秩序が紊乱し、匪賊の横行が盛んである。

解説:同じイスラム教の大国トルコと比較し、ペルシャは内紛が絶えない。現在のイランを見ていても、国としてまとまり難いのは、民族性とも思われる。

フィンランド議会解散 同上

フィンランド議会は解散を命じられた。露帝は、フィンランと議会が議事に付する事を拒絶した諸議案を露国国民議会に提出する様命じた。

解説:当時のフィンランドはロシア領であった。

列国共和政承認期 8日伯林特約通信社発

列国は、ポルトガルが統一し、いよいよ強固となることが確実となった上で、ポルトガルの新共和政を承認する意思がある旨公言した。

植民地帰属 同上

ポルトガルの植民地であるアゾレス諸島及びマデイラは、共和政府に服する旨宣言した。

英国の新要求 9日北京特派員発

英国公使は、現在の様に交通不便ではチベットの改革を行うことが困難であるので、速やかに四川省とチベット間の鉄道敷設に着手する事を、清国政府に勧告した。この為に外国より資金を借り入れる必要がある場合には、清国は英清両国間条約により、先ず英国と協議しなければならない旨を通告したと言われている。

 

1011

総督府特別会計 10日京城特派員発

10日総督府の特別会計の歳出、その他予算外支出を官報にて発表する。歳出経常部694万余円、臨時部491万余円である。

中枢院組織成る 同上

中枢院副議長以下顧問、賛議、副賛議64名は、10日朝、総監邸にて任命の辞令を受け、山縣議長は、総督の紹介にて、各員に簡単な挨拶を行った。金副議長その他数名は病気、事故で欠席し、代理人にて辞令を受けた。

総督の各部視察 同上 

総督は、10日より各部の事務状態を巡視した。